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いつまで経っても 5話
【いつまで経っても「小島凪紗」】5話
朝、なぎの匂いがするなと思って目を覚ますと目の前になぎが居た。
「あ、起こしちゃいました?」
「びっくりした.....どうしたの?」
「寝顔を見てました」ピコン
「スマホ貸して」
「げ」
「やっぱり.....削除っと」
「待って!!!やだ!!!」
「はい、ばいばーい」
「ひどいです.....最低です.....」
「盗撮する人に言われたくないです」
「朝ごはん出来てます」
「すぐ行くね」
「はい!」
立ち上がったなぎを見るといつものメイド服じゃなかった。
「なぎそれ.....」
「あ!はい!似合ってますか.....?」
「可愛い.....」
「えへへ.....嬉しいです」
「今日休みなんでしょ?」
「はい」
「敬語じゃなくていいよ」
「分かった!」
「ふっ笑 元気だね」
「だって楽しみすぎて.....笑」
なぎはニヤケを止める為に両頬を押さえてた。
「ニヤニヤするな」
「無理.....笑」
今日の朝ごはんは鮭、卵焼き、小松菜のおひたし、味噌汁だった。
「なぎってさ」
「うん」
「昔、料理全然出来なかったじゃん?」
「うん」
「なのにこんなに上手になって偉いね」
「だって好きな人のためなんだもん」
なぎは僕がご飯を食べるところを目の前で見ながら微笑んだ。
「.....そっか」
「美味しい?」
「うん、美味しい」
「良かった笑 ○○が好き嫌いせず食べてくれるから嬉しい」
「だってほんとに美味しいもん全部」
「なんでだと思う?」
「なんで?う〜ん.....勉強頑張ったから?」
「それもだけど違うよ」
「なに?」
「愛情いーっぱい入れてるから!」
どうしてこの子はこうも真っ直ぐな事が言えるんだろうか.....。
僕には出来ない.....。
「はいはい」
「ほんとだからね?」
「分かったって笑」
「早く食べて!」
「喉詰まるよ」
「食べさせてあげよっか?」
「自分で食べれるから笑」
「だって遅いもん」
「味わって食べてるの」
「なにそれ可愛い好き大好き愛してる」
「うるさい」
朝ごはんも食べ終わり、シャワーも浴び準備を済ませた。
「車お願いするね」
「待って」
「?」
「自分たちで行こ?」
「どうして?」
「なんかそっちの方がデート感あるじゃん」
「デー.....ト.....」
「ほら行くよ」
バレないようにこっそり屋敷を出る。
「うわ〜.....緊張したぁ.....」
「なぎ」
なぎに手を差し出す。
「なに?」
「手繋ご」
「え」
「ほら」
「いいの?」
「もちろん」
なぎは嬉しそうに繋いだ手をぶんぶんと振る。
「やめて笑」
「だって嬉しいんだもん!」
「恥ずかしいって笑」
「いいじゃん!誰も見てないよ」
「いやいやちょくちょく目合うって」
「む〜.....分かったよぉ」
出た犬顔。
「なぎってほんと子犬みたいだよね」
「今?笑」
「うん笑」
「何犬?」
「柴犬」
「柴犬かぁ笑」
「豆柴?」
「豆柴?笑」
「黒の豆柴」
「めっちゃ具体的笑」
「可愛い」
「なんか恥ずかしいんだけど.....笑」
「今度リードプレゼントしてあげる」
「いらないよ!笑」
散歩されるなぎを想像して笑う。
「あ!今、頭の中でバカにしたでしょ!」
「してないよ?笑」
「絶対してるじゃん!」
「なぎ可愛いね」ヨシヨシ
「そんなんで喜ばないから!!」
しっぽが見える。
「電車に乗るよ〜」
「はぁい」
その日は割と空いており、2人で並んで座れた。
「ねぇねぇ今日どこ行くの?遊園地とは言ってたけど」
「もうすぐ分かるよ」
「.....ねぇもしかして」
「いや〜違うんじゃない?」
「絶対そうじゃん!」
「もうつまんない。笑」
「ねぇ嬉しい!!」
なぎは僕の方を見ると手を握ってくる。
「なぎ、友達とも遊んだりしないからあんまり行ったことないかなって」
「なんなら一回も行ったことないかも」
「ごめんね、僕もあんまり興味がなかったから」
「ううん、むしろ今日がすごい特別な日になるってことでしょ?」
いつもこうやって前向きにさせてくれるところが本当に好き。
「そうだね」
「えへへ.....楽しみ」
2人で他愛のない話をしてるとすぐに目的地の舞浜に着いた。
「わぁ.....あ、ちょっとだけ海の匂いする」
「ほんとに?」
「うん」
「.....分かんない笑 なぎが犬だからじゃない?笑」
「違うでしょ笑」
なぎは走り出す。
「早く行こ!」
「走らないで笑」
「ほら!」
僕の手を掴んで小走りで向かう途中、潮の香りが鼻を掠めた。
「うわぁ!!可愛いぃ〜.....😳」
「ほんとだね」
「楽しむぞ!」
「うん笑」
いつも以上にテンションが高いなぎが隣に居て、笑ってくれてる事がこんなに嬉しかったとは。
でも楽しい時間はすぐに過ぎていく。
「もうだいぶ暗くなってきたね〜」
「ね〜」
「え!見て!!」
「ん?」
いつの間にか付いたライトが中央の海に反射して綺麗だった。
「わぁ.....」
それがなぎの目にも反射していた。
「なぎ」
「なに?」
「楽しかった?」
「うん!!もう最っっっっ高に楽しかった!!!!」
「そっか笑 良かった」
「ねぇねぇ最後にお土産コーナー行こ!」
「最後?」
「え?もう帰るんでしょ?」
「うん、帰るけどお土産はまだ大丈夫だよ」
「え?」
「着いてきて」
今度は僕からなぎの手を握る。