女の子は難しい
【櫻の魔法 〜女の子は難しい〜「遠藤理子&小田倉麗奈」】
「理子が悪いんでしょ!」
「もうママなんか嫌い!!!!」
気まずい....非常に気まずい......。
帰るとリビングから怪獣の声がすると思ったら2人が大喧嘩してる.....。
「あーそうですか!じゃあママ作ったご飯もいらないね?」
「いらない!!」
「ふんっ」
「た、ただいま......」
「おかえり」
「パp」
僕の名前を呼ぶ前に麗奈に塞がれてしまった理子は麗奈の後ろで今にも殴りかかって来そうな顔でこっちを見てる......。
初めての殺意とでも名付けようか。
いや、物騒すぎるか。
「パパ、今日もお仕事お疲れ様〜。ご飯さっき出来たから先ご飯食べる?"ハンバーグ"だけど」
うわぁ.....わざと強調して.....怒ってる時の言い方だ.....しかもよりにもよって理子の好物......。
「😠」
「なに?なにがあったの?」(小声)
「いつまでもゲームしてるから怒ったの」
「そっか.....」
「言っとくけどパパはすぐ許しちゃうから黙っててね?🙂」
なにその怖い笑顔、僕知らないんだけど。
「ドレッシング、ゴマでいい?」
「うん、ありがとう」
理子の視線が痛い。
というか後ろからも鋭い針で「絶対に助けるなよ」という視線を感じて板挟み状態だ。
部長も今頃家ではこんな感じなんだろうか....。
「いただきま〜す」
「いただきます......」
「.....あ〜美味しいな〜」
「ちょっとママ、可哀想だって理子泣きそうじゃん」(小声)
「泣くぐらいがちょうどいいよ。ほらパパも」
「えぇ....」
「パパ?🙂」
「っ!ママのハンバーグ美味しいなぁ....あはは...」
っったぁ.....なにも営業で回って疲れた僕の大事な大事なつま先を踏まなくても.....。
いつも頑張ってくれてるつま先がこんな可哀sそんなことより今は理子が可哀想だ。
「........ママお腹空いた」
「言うこと聞かない子に食べさせるご飯はないです」
「ふぐっ......うっ......」
「理子ぉ.....」
部屋の角にうずくまってしまった....。
「パ、パパなんだかお腹いっぱいになっちゃったなぁ....。最近太ってきたしダイエットしなきゃかなぁ.....。」
「ならラップして冷蔵庫入れといて。明日のお弁当に入れるから」
鬼かあんたは。
「いや、でもせっかく今温かいから誰かに食べて欲しいなぁ....レンチンしたら美味しくなくなるしなぁ....」
言ってる間に理子が静かになる。
「.......はぁ。理子おいで」
「.......やだ」
「お腹空いたんじゃないの?」
「空いてないもん......」
「ハンバーグ嫌いになったの?」
「......好き」
「今なら3個あるけど」
「ママァ.....🥺」
「......いいの?」
「その代わり次言うこと聞かなかったらほんとにご飯作ってあげないからね」
「......はぁい」
「なにか言うことは?」
「......ごめんなさい」
「それと?」
「それと.....?」
「このハンバーグ誰の?」
「......パパとママの」
「じゃあなんて言うの?」
「......パパママありがとう」
「どういたしまして😊」
「手洗ってきなさい」
「.....はぁい」
洗面所に向かう理子を追いかける。
「理子〜」
「パパ....」
「僕も手洗おうと思って」
「パパごめんなさい」
「なんで?理子、パパにはなにもしてないよ?」
「ハンバーグ.....」
「あぁ笑 パパならさっきご飯食べてきたからお腹いっぱいなんだよ😊」
「ほんとに?」
「ほんとほんと」
「......でもパパもハンバーグ好きじゃん」
また泣き出してしまった理子にも、小さいなりに罪悪感がちゃんとあるのだろう。
これも麗奈のおかげか。
「じゃあ今度の日曜日パパとハンバーグ食べに行ってくれる?」
「.......行く」
「よぉし!じゃあ今度の日曜日はパパとデートだ!オー!」
「......おー」
「オー!😊」
「......おー!笑」
「よしいい子だ!さぁご飯食べておいで」ヨシヨシ
「ちょっと待ちなさい」
さっきまで暖かかった空気が一気に凍り、理子の顔から笑顔が消える。
「パパとデートしていいのは私だけだから!行くなら私が行くの!」
おい麗奈、勘弁してやってくれよ。
今今、笑顔になったのに
「やだ!!ママはお留守番!!パパはりーとデートするの!!」
ほらぁまた泣きそうじゃん....。
「ダメって言ったらダメ!」
「もうママなんか嫌い!」
「私も理子ちゃん嫌い!」
よし、お風呂入ろう。