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超能力少女

【櫻の魔法 〜超能力彼女〜「大園玲」】
「ねえ〜そろそろ心読ませてよ〜」

隕石飛来時の謎の電波により、1人につき1つまで超能力が携わってしまった未来。

「やだよ」

それぞれに与えられた能力は、
大園玲「読心《テレパシー》」
○○「不可心《ポーカーフェイス》」

「君だけなの、心読めないのは」
「頑張りが足りないんじゃない?」
「そんな事ないよ、だって半径2kmまで聴こえるのにおかしいもん」
「じゃあ一旦どいてくれない?」
「いやだ」
「邪魔なんだけど」
「心読ませてくるまで退かない」
「重い」
「あー!!!!1番言っちゃいけないこと言ったー!!!!!」
「うるさいな、目の前で大声出すんじゃないよ」

そう、何故か座って本を読んでいたら大園さんが僕の膝の上に座ってきた。

「教えて」
「しつこい」
「それ何読んでんの?」
「読んでない」
「どういうこと?」
「君に話しかけられたくなくて読んだフリしてたのに意味なくなったから」
「ひどーい」
「そろそろ退いてよなんか大園さんのおしり硬い」
「泣きそう」
「......うそですごめんなさい」
「あ、ボタン踏んでるんだ」
「ほんとだ、通りで痛いと思った」
「今、私のせいにしたでしょー!」
「してないよ」
「心読んでやる!!」
「どうぞ?」
「.........ふぬぬ」
「.....読めた?」
「読めない.......」

僕には絶対に読まれたくない理由がある。

「ね〜.....教えてよなんて思ってるか.....」
「そもそも何が気になってるの?」
「え?」
「いや、なんで僕の心読みたいのかなって」
「なんで.....?」
「うん」
「なんで.........なんでだろう」
「目的もないのに人の心読んじゃダメじゃない?」
「うっ......仰る通りです......」
「じゃあそういうことで退いてくれる?」
「やだ」
「なんでだよ笑」
「だって君だけ心読めないのなんか腹立つもん」
「それ理由にしたら最低だよ?」
「え〜....じゃあ好きって事でいいから」
「え」
「○○君の事が好きだから心読みたいの」
「.......」
「って事じゃだめかな?」
「🤯」
「......ん?......えぇ!!?」

大園玲の頭に急激に流れ込んできた言葉。
それは目の前にいる彼の能力が解除された瞬間でもあった。

「え.....ちょっ.......」
「........あっまずった」
「ねぇ.......これって......」
「だから退いてって言ったじゃん......」
「........ご、ごめん」

僅か0.00002秒。
人間の思考速度の限界値の間ではあったが、その僅かな間に大園玲に流れてきた感情は彼女の思考を停止させるのに十分であった。

「もう絶対心読もうとしないでね」
「.......はい」

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