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体温の熱さ

【櫻の魔法 〜体温の熱さ〜「遠藤光莉」】
「遠藤さん!付き合ってください!」
「はぁ...また来たの?」
「やっぱりだめですか?」
「やだ!」

これでフラれた回数はついに2桁突入.....。

「やっぱり〜.....?」
「.....ねぇ」
「なに?」
「あの...さ.....」
「うん?」

ノートを片付けていた手を止めた遠藤さんと目が合う。

「私のなにがそんなに好きなの?」
「えっ」
「ほら答えらんないでしょ.....?」

一瞬だけど寂しそうな顔をしたのを見逃さなかった。

「それ!!」
「え!!?」

すっごいびっくりさせてしまった.....。

「あ、ごめん.....」
「もう!!びっくりしたじゃん!!ばか!!」
「ごめん.....笑」
「.....で?なに?」
「遠藤さんのすぐ顔に出ちゃうところ可愛いなぁって」
「え.....」
「あとこの前の日曜日、花屋さんに居たでしょ」
「えぇ!?」
「いや、たまたまだよ?ほんとに」
「ストー...カー.....?」
「待って!笑  ほんとにたまたまバイトの帰り道だっただけだから!笑」
「それが.....?」
「ほんとはその時話しかけようとしてたんだけど、なんか花を見てる遠藤さんの横顔見てたら邪魔したくなくて」
「.....?」
「なんて言うんだろう...愛おしい?」

夕日のせいじゃないと分かるくらいどんどん顔を赤くしていくので少しからかいたくなった。

「あと遠くでクラスの奴らがバカやってるのを遠目でにこにこして見守ってるのも好き」
「え.....」
「なにもないところでつまづくのも」
「ちょっと.....」
「あ!あと重たいもの持ってる人見つけたらすぐ助けちゃうところも好きだし、それが意外と重いけど助けた手前しんどい顔出来ないなって我慢s」
「待って待って!!分かったからこれ以上やめて!!笑」

両手で顔を隠してる...可愛い.....。

「なんで?まだ言いたいんだけど」
「もういいからぁ.....」
「伝わった?」
「伝わったってば.....」
「え、じゃあ.....?」
「でも嫌なものは嫌!!」

えぇ.....すごいイケそうな空気だったのに.....。
遠藤さんにはそのままダッシュで逃げられた。

次の日、今日も懲りずに遠藤さんに会いに行く。

「△△〜」
「遠藤?」
「あ、うん」
「遠藤ならさっき帰ったよ」
「そっ...か.....」
「お前さぁ...そろそろ諦めたら?」
「いやぁ...無理だなぁ.....」
「でも嫌われたら終わりじゃん?」
「うっ...たしかに.....」
「お前のためを思って言うけど、さすがにそろそろウザイんじゃね?」
「そう...だよね.....」

自分でも思ってた事を言われ、勢いは止まる。

今日はもう諦めて教室に戻ろっていた所を話しかけられる。

「○○先輩!」
「誰ですか.....?」
「付き合ってください!!」
「えぇ!!?」
「部活してる姿かっこいいなぁってずっと思ってました」
「ありがとう.....でもごめんね?」
「え」
「好きな人居るからさ」
「.....そうですか」

最近告白される事が多くなった。
理由はどうせ他のサッカー部の奴らがみんな付き合い始めて、焦った子たちが余り物の僕にしようって話だろう。

「我ながら完全に舐められてるな.....笑」

すぐそこの突き当たりを曲がったら僕の教s

「遠藤さん!?」
「あ...えっと.....」
「帰ったんじゃ.....?」
「あえ、えっと忘れ物を.....」

ここで会うなんて運命かも

「付き合ってください!」
「なんで!?」
「運命かなって」

でもいつもの遠藤さんと違い、少し悲しい顔に見えた。

「遠藤さん.....?」
「.....ごめん、聞くつもりはなかったんだけど聞こえちゃった」
「あぁ...さっきの?」
「.....うん」
「最近多いんだよね〜」
「なんで断ったの?」
「なんでって...遠藤さんが好きだからだけど」
「あの子の方が可愛くない?」
「え」

なんでそんなに寂しそうな顔を.....。

「私よりあの子の方が明るいし、素直そうだったよ?それに」

自分でもなんでそんなことしてしまったか分からなかった。

でも泣いてるのをほっとけなかった。

「ちょっと.....」
「僕が好きなのは遠藤さんだから」
「離してよ.....」
「ごめん...できない」
「.....もう...なんなの」
「あ、いや、ごめん本当に嫌だったらすぐ離れるから」
「.....嫌」
「うわ!ごめん!!もうしないから許s」

離れようとしたのに抱きしめられる。

「え」
「.....」
「遠藤さん.....」
「嫌だ.....」
「何が?」
「.....付き合いたくない」
「.....そっか」

背中撫でようとした手は空中に留まる。

「だって.....」
「.....だって?」
「.....色々バレちゃうじゃんか」
「.....え?」
「○○くんが思ってるよりワガママだし、嫉妬深いし、素直じゃないから.....」

僕のシャツを濡らしながら、初めて伝えてくれた言葉たち。

「だったらもっと好きになっちゃうかも」
「.....なんで」
「だってそれって僕のことが好きだからでしょ?」
「え.....」
「好きだから頼るし、好きだから自分だけのものにしたいし、好きだから気を遣うってことじゃん」
「そ...それは.....」
「嬉しくない?」
「.....そんなの可愛いくないよ」
「可愛いよ」
「.....」
「もうたまらないくらい可愛い!」
「ちょっ」

無理やり遠藤さんの顔を覗く。

「やだ!」
「泣いてるところも可愛い」
「ねぇ!やだってば!」

涙を手で拭ってあげる。

「遠藤さんが好きだよ」

せっかく拭ってあげたのにまた泣いちゃう。

「嫌いになっちゃうよ?」
「ならないよ」
「喧嘩とかしちゃうかも」
「その度に仲直りしようよ」
「連絡先消してとか言っちゃうかも」
「遠藤さん以外、興味無いから問題ない」
「.....もう!嫌い!!」
「うそつき」
「ばか!!!」

より一層強く抱きしめられる。

「付き合ってくれるってこと?」
「.....知らないからね」
「そっかそっか笑 可愛いね笑」
「もう.....どこが.....笑」
「あ笑 笑った笑」
「え?」
「可愛いね」
「可愛くない.....!」
「可愛いよ〜」
「やめて!!」

離れようとするので全力で阻止してたら胸の中でずっと文句言ってた。

でも遠藤さんの体はカイロよりも熱かった。

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