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年上の余裕

【櫻の魔法 〜年上の余裕〜「大園玲」】
「あ〜!あれ美味しそうじゃない?」

日本が寒すぎるので、玲とオーストラリアに逃げてきた。

「玲、どれにすんの?」
「え〜...迷うなぁ.....○○は?」
「ん〜...あ、ラズベリーにしようかな」
「好きだね笑」
「あ、チーズだって」
「え?」
「これ...マスカルポーネだ」
「え〜!美味しそう」
「ロサンゼルス...ロサンゼルスの飲み物らしい」
「え?笑 オーストラリアに来て?笑」
「笑笑」
「いいけど.....笑」

ラズベリーとマスカルポーネチーズ&ヨーグルトのシェイクを頼む。

「英語できるのいいなぁ.....」
「簡単なものだけだけどね」
「咄嗟に出るのが凄いじゃん」
「職場に外国人いっぱい来るしね」
「ねぇねぇ」
「ん?」
「可愛いってcute以外にあるの?」
「いっぱいあるよ」
「なになに」
「例えばcharmingとか」
「ちゃーみんぐ!聞いたことある!」
「上品にいきたい時はdainty」
「べんてぃ?」
「それはスタバの大きいやつね」
「ベンチ?」
「それ椅子」
「ペンチ笑」
「それ工具」
「インチ」
「サイズ」
「ランチ」
「お昼」
「ウn」
「絶対やめな?」
「もっかいもっかい」
「dainty」
「でいんてぃ?」
「あ、そうそう」
「でいんてぃ」
「うん」
「でいんてぃ笑」
「なんで笑ってんの笑」
「違う!笑  言ってんの!」
「え?笑」
「でいんてぃ!!笑」
「あ、僕に?笑」
「そう!笑」
「上品だった?笑」
「.....あ、そっか」
「笑笑.....うわっ」
「え!?大丈夫!?」

玲を見て笑ってたら、段差につまづいてめちゃくちゃコケた。

「あ.....」
「あ.....」

目の前にはピンクと白が混じった水たまりが出来ていた。

「あらら〜.....」
「ご...ごめん.....」
「これは許されませんね〜」
「ごめん.....」
「ちゃんと前向いて歩かないからだよ?」
「玲が可愛くて.....」
「ふざけてる?」
「すみません」
「.....ふふっ笑」
「え.....?」
「嘘に決まってんじゃん笑」

頭を下げる僕に、手を伸ばす玲。

「痛かったね...ホテル帰ったら消毒しようね」
「うん.....」
「しょんぼりしないでよ笑笑  可愛いなぁもう笑」
「だって.....」
「今度はお姉さん奢ってあげよう!」
「いやいや!僕が出すよ!」
「年上の言うこと聞かないからコケるんだぞ〜」

鼻をぴんっと弾かれる。

「1個しか変わんないじゃん」
「それでも年下は年下でしょ?」
「そうだけど...かっこ悪いじゃん.....」
「あははは!笑笑」

玲は腹を抱えて笑い出す。

「な...なに.....?」
「どんな○○も好きに決まってんじゃん笑笑」
「.....へ?」
「映画観て私より泣いちゃう所とか〜、私の事を見つけたら笑顔で手を振ってくれる所とか〜、もう可愛くて可愛くてたまんないの!」

玲は僕の両肩を高速さすさすしてくる。

「犬.....?」
「あ、似てるかも!」
「えぇ.....」
「ワンちゃんだワンちゃんだ、はいお手」
「わん」
「でいんてぃ」
「dainty笑」
「偉いでしょ、もう覚えたよ?」
「偉い」
「ほら、新しいの買いに行こ?」
「うん」

目の前でるんるんで歩く玲の手に、一瞬リードが見えたのは絶対に気のせい。

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