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私じゃダメですか?

【櫻の魔法 〜私じゃダメですか?〜「小田倉麗奈」】
「だからもうダメなのかなって」

流れで後輩の小田倉に相談に乗ってもらってた。

「彼女さんはなんて言ってるんですか?」
「距離を置きたいって」
「そっかぁ.....」
「そうじゃなくてもきっと今回の事って話したら解決すると思うんだよね.....すぐ距離置こうとしてさ」
「.....一度距離置こうって考えたら、もうそれ以上続かないと思うんですよね」
「.....経験上.....か」
「はい.....」
「そうだよなぁ.....」

グラスの氷が傾く。

「やっぱり別れるべきなんだろうか.....」
「先輩の好きなタイプってどんな方でしたっけ?」
「優しくて、話しやすくて、よく笑う人」
「そういう人って思ったよりたくさん居ますよ」
「そう?」
「パートナーができると視野が狭くなるんです。周りを見たらそんな人沢山いるのに」
「なんだろうな.....笑  小田倉に言われるとなんかこう刺さるんだよな.....笑」
「なんですかそれ笑」
「すみません、ウイスキーロックで」
『かしこまりました』
「ブランデー、ロックでお願いします」
『かしこまりました』
「小田倉は酒が強くて助かるよ」
「そうですか?」
「こういう話、酒がないと出来ないから」
「恥ずかしがり屋さんなんですね」

そう言いながら小田倉は1口流した。

「小田倉はしばらく居ないの?」
「居ないですよ」
「気になる人とかは?」
「居ないですね.....家と会社の行き来なので」
「小田倉ならそこらへんの奴簡単に捕まりそうだけどな」
「そう簡単じゃありませんから笑」
「可愛いのにな.....」
「.....先輩」
「ん?」
「.....ここ埃ついてますよ」
「.....どこ?」
「じっとしてて下さい」
「ん」
「.....取れました」
「ありがとう」

しばらく小田倉と目が合う。

「.....どうした?」
「私だったら先輩のこと寂しくさせないですけどね」
「え.....」
「.....なんて笑  冗談です」
「からかうなよ笑」
『失礼致します。ウイスキーロックとブランデーロックです』

マスターに会釈し、2人でグラスを合わせる。

「その感じで誰かに行けばいいのに」
「私、上手くやれそうですか?」
「あぁ、社長とか捕まえそう」
「どういう風に思われてるんですか笑」
「笑笑」
「嫌ですよ社長なんて」
「どうして?」
「お金より愛を選びたいです」
「.....意外とロマンチストなんだな」
「先輩譲りですかね.....笑」
「そうかもな笑」

テレビには昔の映画が流れていた。

「先輩」
「ん?」
「私じゃダメですか?」
「また冗談か?」
「どっちだと思います?」

ちょうどナッツが切れた。

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