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最愛のひと
【櫻の魔法 〜最愛のひと〜「大園玲」】
[仕事頑張ってるの〜?]
そんなメッセージと自撮りが送られてきた。
[頑張ってるよ〜]
[お昼ご飯ちゃんと食べたの〜?]
[食べてなくてももう遅いよ〜]
[そうだけど〜笑笑]
[玲はお昼ちゃんと食べた?]
[うん、今日も美味しかったよ]
[良かった]
[あれまた作って。豚肉のやつ]
[豚肉と白菜のミルフィーユ?]
[それそれ〜]
[明日早く帰れると思うから食材買って帰るね]
[言ってくれたら買いに行くよ?]
[じゃあ頼もうかな]
[お任せあれ〜]
[🫡]
[何時に帰れそう〜?]
[もうすぐ納品できると思うよ〜]
[じゃあ寝ずに待ってるね〜]
「.....今日何かあったっけ?」
[映画でも観るの?]
[ううん、なんとなく]
「ただいま〜」
といいつつ既に帰路には着いていた。
奥からダッシュで向かってくる玲。
「なんで!なんでなんで!」
「ただいま🙂」
「おかえり!ちょっと待って!!」
「なに?」
「いいから目瞑って玄関に座ってて!」
「なになに」
「.....ねぇ!笑 自分で目抑えて!私動けないじゃん!笑」
「はいはい」
リビングの方が騒がしくなった。
「はぁ.....はぁ.....はい!いいよ!!」
「なにしt」
「これ!あげる!!」
玲の手には小さなキツネと小さなタヌキのぬいぐるみが居た。
「これって.....」
「こっちが○○でこっちが私」
「もしかして.....」
「うん、そうだよ😊」
そう総ては高校生の頃まで遡る。
「大園さ〜ん」
「どうしたの?」
「いい所に居た.....これ先生が配ってくれって」
「え〜そっちが配ったらいいじゃ〜ん」
「大変だから手伝ってよ」
「......いい事思いついた!」
「......なに?」
そういってポケットの中を探る大園さん。
「これ付けてくれたらいいよ!」
取り出したのはタヌキのキーホルダーだった。
「なにこれ?」
「○○くんに似てるな〜って」
「ありが....とう?」
「付けて付けて!」
「ちょっとちょっと!くすぐったい!」
「ねぇ笑 首にタヌキ付いてるよ笑笑」
「今無理やり付けたんじゃん.....笑」
「わぁ〜....一緒だぁ〜笑笑」
「ねぇ何してんの.....」
「だめ!取っちゃだめ!今日1日付けてて!」
大園さんはブレザーの第1ボタンの穴の方にキーホルダーを無理やり付けてくる。
「なんでだよ.....邪魔だよ.....」
「じゃあ今日1日付けてくれてたらご褒美あげるから!」
「.....なにかによる」
「ん〜.....教えない!」
「えぇ.....じゃあ取るよ」
「いいから!!絶対後悔させないから!!」
「ほんとに?」
「うん!じゃあまた放課後ね!」
「うん......あ!プリント配るの手伝ってっtまぁいっか」
ーーーーーーーーーーー
「よっ!」
「びっくりしたぁ....遅いよ」
「ごめんじゃん....あ!....ふふ笑」
「なに?」
「それ.....」
「.....あぁ」
「ずっと付けててくれてたんだね」
「途中で取ったかも知れないよ?」
「取らなかったくせに」
「さぁね、知らない.....で?ご褒美って?」
「言ったじゃん『ずっと付けてたらね』って」
「付けてたよ」
「ほんとに?嘘ついたら分かるよ?」
「分かってたまるか」
「.......嘘ついてない」
「え.....」
「当たった?」
「.....知らない」
「いいよ!ご褒美あげる」
「ほんとに?」
「目瞑って」
「な、なに」
「.....ねぇ笑 ちゃんと目瞑って!」
「瞑ってるよ!」
「薄目で開けてるの分かるからね?」
「......閉じた」
この匂い.....いつも隣からするハンドクリームの匂い......。
「まだ開けちゃだめだよ」
「......」
「まだだよ」
「......なにしてんの?」
「......いいよ」
目を開けると大園さんは自分のブレザーの第1ボタンの穴にキツネのキーホルダーを付けてた。
「お揃いだよ!○○くんと」
「........え?」
「嬉しいでしょ?」
「........全然?てかどういうこと?」
「えぇ.....なんでぇ.....」
「これがご褒美?」
「はぁ.....違うよよく見て」
僕の第1ボタンのタヌキを指さす。
「......ん?なにこれ」
「読んでみて」
見るとタヌキが服を着ており、そこには文字が書かれて居た。
「ん〜?『ずっとずっとーーーください』.....?」
「読めた?」
「え?なにこれ?文章になってる?」
「読めないでしょ笑」
「うん.....?」
「じゃあ次、私のキツネさん見てみて」
「うん.....」
「......ひゃっ!」
「びっくりした!」
「ねぇ笑 くすぐったい笑」
「動かないでよ、読めないじゃん」
「だってくすぐったいんだもん笑」
「外せばいいじゃん」
「だめ!取ったら意味無いの!」
「.....なにそれ」
「良いから読んで!」
「なに?......『すきでしたつきあって』.....え」
「読めた?」
「読め....た.....けど」
「文章にできた?」
「.......できた」
「じゃあそれ最初から読んでみて」
「.......ずっと好きでした.....付き合ってください」
「しょうがないなぁ〜.....いいよ!」
ーーーーーーーーーーー
「懐かしいなぁ.......」
「あれね.....私すごい余裕ありそうだったじゃん?」
「うん」
「内心ドキドキしてたんだよ?」
「ほんとに?」
「だって○○が私の事好きって確証無かったもん」
「ありそうだったけど.....笑」
「頑張ってたの!!!」
「あの大園さんが?笑」
「ねぇ〜なんだと思ってたの〜?」
「.....今思えば実は玲ちゃん隠すの下手だったのかも」
「うそ!?」
「いや分かんないけど」
「違うよ。それは今こうなってるから思い出を良いようにしちゃってるんだよ」
「こうなってる......こうなってるか」
「なに〜?」
「ううん、なんでもない🙂」
「じっとしててね〜」
そういって僕のジャケットの第1ボタンにタヌキを付けてくる。
「ねぇジャケットすぐ脱ぐよ?」
「良いから良いから」
「.......」
「.......はいできた!」
「.......ほんと懐かしいな」
「ねぇ今回は○○が付けてよ」
「いいけど」
「.......ふふっ笑」
「ちょっと笑 動かないでってば」
「くすぐったいんだもん笑」
「そこだけずっと変わらないね笑」
「うるさいなぁ」
「.....はいできたよ」
「あれ〜?なんか書いてあるな〜?」
「はいはい読みますよ〜」
「🙂」
「......『ずっとーーーください』?」
「こっちこっち!」
「......『隣に居て』あははは笑笑」
「なんで笑ってんの〜!」
「いや笑笑 だって笑笑」
「なに〜!」
「ほんと玲ちゃんは可愛いね笑笑」