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ポチ

【櫻の魔法 〜ポチ〜「小島凪紗」】
「○○さん家、汚いんですか?笑」

後輩の小島に部屋が汚いのバレた。

「いや.....なんでバレた笑」
「話聞いてたらそうなのかなって笑」
「もうね、忙しくて全然掃除できやんのよね」
「私、掃除しましょうか?」
「え?なんで?笑  自分ん家も汚いんやろ?」
「汚いですけど、人の部屋の掃除は好きなんです」
「え.....?どゆこと?笑」
「好きなんです!笑  人の部屋は!」
「え?どゆことまじで笑」
「もう!笑  伝わって!笑」
「伝わるかぁ!」
「え、じゃあ今日行ってもいいですか?」
「なんで!?」
「今日夜暇なので!」
「そっちメインだろ」
「マリカしましょ」
「お、今回もボコボコにしてやるからな」
「いや!私、秘密の特訓してるんで絶対勝ちますから!」
「じゃあ罰ゲームとか付ける?」
「うっ...いいですよ?でも先輩も負けたら罰ゲーム受けてもらいますよ?」
「負けないからいいよ〜ん」
「言い方腹立つ.....笑」

仕事を終え、小島を乗せてマンションまで帰る。

「あ〜疲れました.....」
「僕もエレベーター壊れてるの知らなくてさ...ごめんよ」
「動けません.....」

そのまま小島は玄関に寝そべった。

「なにしてんの笑  スーツにシワつくよ」
「明日休みなので大丈夫で〜す」
「で?なにから始めたらいいの?」
「掃除ですか?」
「うん」

小島は部屋を一通り見たあと玄関に戻ってくる。

「明日に回しましょう!」
「じゃないよ」
「思ったより凄かったので見なかったことにしたいです」
「だめです」
「だめですか」
「だめです」
「ご褒美は?」
「ん〜.....焼肉奢ってあげる」
「がんばるぞぉおおお!!!」
「単純バカで助かるよ」
「バカは余計です」

とりあえずそこらへんに転がってるタオルとかを片付ける。

「手袋とか付けなくていいの?」
「はい、別に先輩の事汚いとは思ってないので」
「良い子だなお前は」
「もっと褒めてください」
「早くやれ」
「えぇ!?手伝ってあげてるのに!?」
「笑笑」

片付けをしていると23時になっていた。

「小島、終電大丈夫?」
「ん〜.....泊まってもいいですか?」
「別にいいけど」
「ごめんなさい...冗談のつもりでした.....笑」
「ほんとに泊まりなよ」
「えっ」
「部屋も1個余ってるし」
「誘っt」
「ない」
「さすがにですか笑」
「うん笑」
「.....私はいいですよ?」
「いや全然僕がだめ」
「えぇ...勇気出したのに.....」
「笑笑  マリカしようぜ」
「罰ゲームなんですけど」
「あ、そういえば」
「私が勝ったら一緒に寝てください」
「.....はぁ!?」
「だめですか?」
「ダメに決まってんだろ!」
「どうして.....?」

八の字眉で涙目の小島を見て、少し揺らいだ自分が居た。

「はぁ...小島.....」
「はい.....?」
「いい加減、俺も男だ」
「俺.....」
「さすがに可愛い奴にこうも攻められたら保てるものも保てなくなる」
「えっ」
「.....あ、いやそうじy」
「いいいいい!!今!!!」
「静かにしろ!ばか!」
「か、可愛いって言いました.....?🫢」
「あぁ言ったよ」
「え?.....私ですか?」
「小島以外居ないだろ、怖いな」
「そっ...かぁ.....」
「罰ゲームは他のにしてくれ」
「キス...とか.....?」
「いやなんでだよ笑」
「うわぁ...ごめんなさい.....やっぱり今のなしで」
「無理だよ聞こえちゃったよ」
「調子乗りました.....反省です」
「今更だろ」
「.....よし!分かりました!」
「なにが?」
「私が勝ったら明日デートしてください!」
「おいおい」
「これは本気です」

真っ直ぐこっちを見つめないで欲しい.....実家のポチを思い出s

「えっ!?」
「あ、しまっt」

言わんこっちゃない.....つい頭を撫でてしまった。

「な、なんですか!?」
「いや...えっと一旦ごめん」
「あ、嫌じゃないですけど.....」
「弁明させて」
「嫌じゃないですって」

小島は僕の手を取り、頭を撫でさせる。

「.....先輩に撫でられるの好きです」
「.....実家にポチって犬が居たんだけど」
「はい.....?」
「似てて...さ.....」

小島はポカンとした顔で見つめてくる。

「.....え!?私!?」
「うん...だからつい.....」
「えへへ...そっかぁ.....」

頭を撫でている手を頬に持ってくる。

「小島.....?」
「先輩の手、暖かいですね」

もちもちしてる.....。

「ポチも喜んでると思います」
「.....そうかな」
「今度会いに行ったらどうです?」
「あぁいや...もう亡くなったんだ」
「えぇ、だからお墓にお参りに来てください」
「そっか.....え?」

小島は少しニヤッとした後、Switchのコントローラーを手に取る。

「マリカしましょ!」
「お前.....」
「負けたらデートですからね?」

しっぽが見えた気がしたのは仕事のしすぎだろうか。

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