衣は新に如くはなく、人は故に如くはなし 3話
【衣は新に如くはなく、人は故に如くはなし】3話
「里奈〜準備できた?」
「今日はできてるよ〜笑 でもなんでフォーマルな格好?」
「まぁまぁ車乗って」
「えぇ!?なにこれ!?」
「ビックリした?笑」
笑いながら彼が手をかけるそこには私でもわかる高級車があった。
「待って待ってどういうこと?追いついちょらんのやけど」
「さぁ乗って乗って」
口が空いて閉まらない私を嬉しそうに笑いながら車を走らせる。
「どうせならクラシックとか聴いてみよっか」
「ねぇ待って...今日なんかあったっけ.....」
「何もないと言えば嘘になるけど」
「待ってほんとに整理させて」
「うん、いいよ一緒に整理しよう笑笑」
「まず朝起きました」
「うん」
「ご飯食べました」
「うん」
「出かけると言われます」
「うんうん」
「フォーマルな格好でって言われます」
「言った」
「玄関出たらベンツがあります」
「うん」
「どゆこと?」
「笑笑 こんなんで驚いてたらこの後倒れちゃうよ笑」
「なになにどういうこと???笑」
「ねぇ笑 戸惑いすぎ笑笑」
「あなたは説明しなさすぎ!笑」
「ほらクラシック聴いて落ち着いて」
「聴けるかぁ!笑」
「スタバ寄ろっか」
「あ、バナナ!」
「いやスタバで落ち着くんかい」
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「着いたよ」
「え?ここいつも行く通りだけど.....」
「ちょっと歩くよ」
「はい.....?」
「手繋ごっか」
「なんで!?」
「たまには昔に戻ろうよ」
「恥ずかしいっちゃけど.....笑」
大人になるにつれていつからか手を繋いで歩くことは無くなった。
今思えば彼が恥ずかしがったのが最初だった。
「ここだよ」
「ここって.....」
着いたのは少し前に通っただけのLOEWEだった。
「入ろう🙂」
驚いてというか混乱したというか声が出なかった。
『○○様、お待ちしておりました。奥の部屋へご案内いたします』
お店の奥の個室に案内された。
そこはラグジュアリーでどこからか、なんの香りか分かんないとりあえず高そうな香りがしてた。
『○○様、こちらの商品でお間違いございませんでしょうか』
「里奈、間違いない?」
「.....え!?なにが!?」
「里奈にプレゼントしたくて。前、このお店を通った時にこのバッグをじっと見てたから」
「見てた.....けど.....」
「もちろん他にもあるよ」
「.....待って100万!?」
「そりゃ高級ブランドだからね」
『🙂』
「すみません!そんな高いの買えません!」
「里奈落ち着いて、お金なら大丈夫。この日のためにコツコツ貯めてたんだ」
なぜか分からないけど私はその場で泣いてしまった。
なんの涙かも分からず店員さんも困ってただろうけど温かい笑顔で対応してくれた。
何より○○が終始支えてくれてずっと優しい声で話しかけてくれていた。
「里奈、これで本当に大丈夫?」
「うん.....それがいい.....○○が選んでくれたから.....」
「だそうです笑」
『かしこまりました』
「支払いはカードで」
『すぐにお持ちいたします』
「お願いいたします」
「.....うぅ」
「里奈泣きすぎだよ笑笑」
「だってぇ...よく分かんなくて.....笑」
「そうだよね笑 でもできるだけサプライズしたくてさ」
「分かってるぅ...うぅ」
「😊」
『お待たせいたしました。すぐお使いになりますか?』
「えぇお願いいたします」
「かしこまりました.....どうぞお持ちください」
「里奈.....持ってみて」
「.....こう?」
「おぉやっぱり似合ってる」
「ほんとに.....?」
「うん」
『大変似合っております😊』
「じゃあ行こっか」
「うん.....」
『こちらのタオルお使いください』
「あぁすみません、ありがとうございます笑」
「ありがとうございます.....」
『お出口までお見送りいたします』
100万だなんてそんなすぐ用意出来る金額じゃないし、同棲してても貯金してる素振りすら無かった。
だからこそ驚いたし、なにより私が気を遣わないようにそれを気づかせなかった○○の深い愛情にも驚いた。
「里奈、良かったねまだメイク崩れてないよ笑」
「うぅ...今日.....たまたま崩れにくいやつだったから.....」
「笑笑 よしじゃあ次行こっか」
「.....へ?」
「まさかこれで終わりだと思った?」
「え.....うん」
「まだこれからだよ」
「.....?」
「泣いたらお腹空いたでしょ」
「空いたけど.....」
「丁度いいお店があるんだ😊」