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焼き餅焼くなら狐色 5話


朝起きてすぐに△△の事を考えた。
昨日言ってたあの言葉、

「『これからそうなれたらいいな』って.....」

なんだろうこの感覚.....。

「あ!井上さん!来てくれたんですか?」

今日退院できるって先生が言ってたので、一応...一応挨拶をと思って.....。

「まぁケガさせたの私のせいでもあるし.....」
「井上さんクマできてますよ?もしかして昨日心配して寝れなかったんですか?笑」
「失礼な!!ちゃんと寝ました!!」
「そうですか笑」
「あの...さ.....」
「はい?」
「今日この後空いてるの?」
「空いてますけど」
「お昼奢ってあげる」
「ほんとですか!ハンバーグがいいです!」
「ハンバーグか...あ、じゃあ丁度いいとこあるわ」
「やった〜!」

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「井上さん決まりました?」
「いっつもげんこつハンバーグにしてる」
「へ〜じゃあ僕もそれにしようかな」
「梨名、オニオンソースやけどどうする?」
「じゃあデミグラスにします」
「セットは?」
「プリンいいですか?」
「プリン好きなん?」
「はい!え、なんか恥ずっ.....笑」

昔、○○とプリンの取り合いをしたのを思い出した。

『失礼します。げんこつハンバーグのオニオンソースとデミグラスソースです。こちらが和風セットでさわやかプリンセットです』
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます」
「井上さん、先にどうぞ」
「○○が先食べなよ。○○のために来てるんやから」
「いいんですか?」
「うん、もちろん」
「ハンバーグ久しぶりに食べるなぁ.....」
「そうなん?」
「うち、和食が多いので」
「そうなんや...珍しいね」
「ちょっと特殊なんです」
「へぇ〜.....」
「井上さん好きな食べ物ありますか?」
「ん〜基本なんでも好きやからなぁ」
「焼肉とか?」
「あ〜好きやね」
「今度行きません?」
「いいけどめっちゃ食うよ?」
「え、なんで僕が奢る空気になってるんですか?」
「笑笑」

ハンバーグを食べ終わった私たちは、近くの桜が散って緑が彩る川沿いを歩いていた。

「じゃあその人と別れてからはずっと彼女居いひんのや」
「ですね...そういえば井上さんって実はモテてますよね?」
「え"」
「告白されてるの何回か見たことがあって」
「あ〜...うん.....」
「嫌なんですか?」
「いや、嫌とかじゃないんやけど...申し訳ないなって.....」
「.....井上さんは優しいんですね」
「なんで?」
「そんなこと思ったってフった事実は変わらないです」
「そうだけど.....」
「もしかして告白される度に思ってます?」
「.....うん」
「そんな笑笑  大丈夫ですよ笑 みんな思ったほど気にしてませんって笑」
「そうかな.....?」
「2回目言ってくる人居ました?」
「.....居ない」
「じゃあ僕が最初の1人ですね」
「え?」
「井上さんのこと好きです」

まさか2回もその真っ直ぐな目を見ると思わなかった。

「面倒見が良くて、後輩や先輩誰であっても分け隔てなく仲間に入れようとしてる所とかむしろ尊敬してます」
「でも.....」

私が○○を好きなの知ってて.....。

「えぇ知ってます.....でもそんな一途な所も好きなんです。好きになっちゃったんです」
「.....」
「だから待ってます」
「いや、悪いよ.....」
「どっちにしろ今のところ井上さん以上に好きな人居ないので」
「.....振られなかったらどうするの?」
「ほう.....振られない自信があると?笑」
「応援しろ!!😠」
「怒った顔も可愛いです🙂」
「調子狂うなぁ.....」
「じゃあ僕はここまでで大丈夫です」
「え?」
「僕ん家ここなので」
「.....えぇ!?」

△△が指さす家...というかさっきからずっと通ってた壁の奥にめちゃくちゃ大きな御屋敷があるのが分かった。

「なんですか急に」
「でっか.....」
「あぁそうですね....一応所謂お金持ちです、うち」
「まじか.....」
「好きになりました?」
「なるかぁ!」

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