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温泉街の噂

【櫻の魔法 〜温泉街の噂〜「山﨑天」】
「みんなどこ行ったんやろ....」

友達と6人で温泉街に遊びに来てたのに、みんなとはぐれてしまった。

「連絡ついた?」
「ううん、みんな着信音消してるからな」
「まぁいいじゃん!後で合流できるやろ!行こ!」

僕の手を取り、歩き出す。

「○○はさ、温泉とかよく来んの?」
「いや?今回が初めて」
「そうなんや!」
「うん。だから結構楽しみやってん」
「そっか〜....」
「山﨑は?」
「私?私は家族で行ったりするけどここは初めて」
「そうなんや」
「温泉好きなんだよね〜」
「そっか」

風になびいて山﨑の少し大人な匂いが香った。
高校生の時は香水なんか付けてなかったのに。

「あ!ねぇねぇまんじゅうあるよ」
「お腹空いてる?」
「うん、○○は?」
「朝から食べてない」
「え、これさ分けっ子して色んなもん食べたくない?」
「そうやね」
「そうしよっか、すみませ〜ん」
『はいはい、いらっしゃい』
「お饅頭1個もらえますか?」
『はいよ150円ね』
「ちょうどで!」
『あら元気だねぇ』
「えへへ笑  元気だけが取り柄なもんで笑」
『そうかいそうかい笑  はいまんじゅう1個ね』
「ありがとおばあちゃん!」
「元気だけが取り柄って笑」
「なに笑」
「別に他にもいい所あるだろ笑」
「え」
「あそこ座って食べよ」
「う、うん」
「綺麗に割れる?」
「え、ちょっと怖いかも」
「あれやったら山﨑先に食べや、そしたら半分食べるから」
「間接、大丈夫な人?」
「うん、気にしやんで大丈夫」
「いただきます」
「美味しい?」
「まだ食べてない!笑」
「笑笑」
「.....」
「どう?」
「ん!美味い」
「目デカ」
「そこ?笑」

また風が吹いて山﨑の長い髪が食べるのを邪魔する。

「....ふふっ笑」
「ねぇなにしてんの笑笑」
「風が....笑」
「ここ立っといたるわ」
「ナイス」
「....美味いこれ」
「良かったやん」
「ごめん髪の毛一瞬付いちゃった」
「いいよ別に気にしやんって」
「ねぇねぇ食べさせたろか?」
「なんでや1人で食べれるわ!笑」
「なんで!餌付けさせてや!」
「ペットか」
「美味しい?」
「まだ食べてない!笑」
「笑笑」
「......ん!美味しいなぁ」
「やろ?」
「大正解やん」
「あとでまた行きたいな」
「ありやな」

そこから少し進み、湯畑をのんびり眺めながら話してた。

「そうなんや!」
「うん、やから彼女居らんって言うてたやん」
「できそうやのに」
「どう見えてんの笑」
「なんで?○○普通にかっこいいやろ」
「ほななんで彼女できんのやろな不思議や」
「それは.....知らん、笑」
「でも言うて山﨑もずっと居らんやん」
「別に好きな人は居るで?」
「告白とかせえへんの?」
「だって興味なさそうやもん」
「それは分からんやろ」
「分かるもん」
「なに?友達的な?」
「うん.....」
「そっかぁ.....」
「なぁなぁちなみにさ」
「うん」
「もし○○が友達って思ってる人から告白されたらどうする?」
「僕?」
「うん」
「どうやろ.....断るかなぁ.....」
「.....そうやろ?」
「ほんまに友達やなって思ってたらね」
「そうやけど.....」
「なぁなぁあれ何してるんやろ.....」
「どれ?」
「なんか....なんやろ....」
「カップルがイチャついてるだけやろ笑」
「.....あ、キスした笑」
「.....そういえばそこで湯気かぶりながらキスしたら恋が叶うとなかったっけ」
「そんなんあんの?」
「行ったら書いてんちゃう?」
「気になるわ」

さっき見てた場所に移動する。

「ほんまや.....」
「やろ?」
「いつか好きな人と来れたらええな」
「.....練習させて」
「なんで!?笑」
「いいから!笑」
「ええけど....なんの練習やねん笑」
「だって付き合ったことないから分からんもん!」
「知らんがや....笑」
「ん〜....どうしたらいいんやろ....」
「なんやろ....告白とかする?」
「え?ここで?笑」
「そっか笑」
「....やってみよかな」
「ええんちゃう?え、どしたらいい?立ってればいい?」
「うん」
「頑張れ」
「う、うん!」
「.....」
「なぁ○○.....」
「名前僕でいいの?笑」
「いいから!止めんな!笑」
「はいはい....」
「なぁ○○.....」
「どした?」
「前からずっと○○の事気になっててさ....」

.....演技上手いな。

「まじ....?」
「.....ふっ笑」
「おい何笑っとんねん笑」
「ごめん....笑」
「まじ....?」
「うん....良かったら付き合いたいなって....」
「.....カットォ!良いんちゃう?」
「なんで止めたん!」
「え?」
「そのまま○○の答えでいいから聞かせて欲しかったのに....」
「僕の?」
「うん」
「付き合いたい」
「ほんまに!?」
「え、いや今の状況を鑑みてやで?」
「......ねぇ○○」
「ん?どした?」
「ほんまに○○の事が好きやったらどうする?」
「......え?」

山﨑は僕の眼を真っ直ぐ見ていたので思わず逸らしてしまう。

「もうええて笑  またからかってから笑」
「目閉じるからもし私と付き合ってくれるならその.....」
「......なに?」
「......キスしてほしい」
「はぁ!?」

逸らしてた目を山﨑の方にやるとすでに目を閉じていた。
どうせ直前で目開けてからかうパターンやろと思いつつもこっちだって前々から気にはなっていたので、からかわれてもいいやの精神で山﨑の両肩を持つとビクッと震えた。

「知らんで?」

山﨑の眉が八の字に曲がる。

「えっ.....なに?」
「引き返すなら今やで?」
「ううん....本気やもん」

初めてのキスはレモンの味なんか全然しなくて、何の匂いか分からんけどめちゃくちゃ良い匂いと、山﨑の唇が柔らかい事だけはっきりと覚えてる。

山﨑は嬉しそうに笑いながら僕の腕に抱きついてきた。

「こういうのってほんまに叶うんやな笑」

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