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友達以上恋人未満

【櫻の魔法 〜友達以上恋人未満〜「武元唯衣」】
「もしもし.....うん...それ後でもいい?」

今日は友達と夢の国に来た。

「もう切らないと...今、友達と遊んでるから」

電話を切ろうとした瞬間、唯衣がなにか言いかける。

「何か言った?」
「.....ううん?」
「あそう」

さっき買ったお菓子を開けてボリボリ食べていた。

「唯衣」
「ん?」
「チョコいる?」
「いる」
「行くで」
「え!?」
「ほいっ」

僕が投げたお菓子は宙を舞い、唯衣のおでこ目掛けてダイブ。

「いてっ」
「笑笑」
「も〜.....笑」
「鈍臭いなぁ笑」
「急に投げるからやろ!」
「投げそうな顔してたやろ」
「舐めてる顔はしてたけどな」
「うるさ」
「うるさ」
「唯衣、先シャワー浴びる?」
「えっと.....」
「ん?」
「ほんまに覗かへん.....?」

何を言い出すかと思ったら笑

「覗かへんって笑笑」
「.....唯衣ってそんなに魅力ないかな?」
「え.....」
「さっきもハッキリと.....」
「唯衣.....?」
「.....なんでもない」

唯衣はバスローブを持ってシャワールームに閉じこもる。

「唯衣.....」






言えない、






絶対に言えない、






覗く気満々だっただなんて絶対に言えない。






それどころか、あわよくばそのまま.....なんて考えていたところにまさかの唯衣からのアプローチ。

ただ今いくのはさすがにダサすぎる。

言われて気づいたような、そんなかっこ悪い事はしたくない。

ただお風呂上がりの唯衣を見て正気で居られる気もしない。

シャワーの音が聞こえる。

そして近くで工事をしt自分の心音か.....。
こんな時間に工事するなんて迷惑なホテルだなって思っtそんな話は今はどうでもいい。

馬鹿な事を考えていたら後ろから声を掛けられる。

「上がったよ.....」

可愛いっっっ!!!!!!!

「.....な、なに?」
「へ?」
「さっきからぼーっとして.....」
「いやそのかわi」
「かわ?」
「かわ...かみさんから電話かかって来てたんだよー!笑」
「あぁバイト先の先輩だっけ?」
「そうそう!」
「ふーん」

唯衣は部屋の冷蔵庫から水を取って喉を潤す。

「入らんの?」
「あぁいや...入ろうかな」
「ここのシャンプーいい匂いやで」
「そうなん?」
「ほら」

急にこっちに来るので咄嗟に後ろに下がってしまう。

「あぁ.....ごめん、友達...やったな.....」

一瞬寂しそうな顔をしたことに自分でも気がついたのか、顔を隠すように後ろを向いてベッドに埋もr脚!!!!!!

「一緒に散歩行きたいから早く入ってよ」
「.....」
「.....聞いてる?」
「え、あ、うん」

大人しくシャワーを浴びて、髪を乾かそうとするとノックをされる。

「入ってもええ?」
「別に大丈夫やけど」
「化粧水忘れてん」
「え、それすっぴん?」
「そうやけど.....」

赤ちゃんすぎる.....可愛い.....。

「な、なに...そんなに見られたらさすがに照れるんやけど.....笑」
「あ、ごめん」
「やめてほんま.....笑  髪乾かすん?」
「うん」
「やってもええ?」
「え、いいけど」
「1回やってみたかってん」

ガー

「これさ!声聞こえてる?」
「なんて?」
「なんでもない!」

ギリギリ聞こえてる。

「...き」
「なんて言った?」
「...き」

くそ...ギリギリ聞こえない.....。

「.....なところとか」

ん?

「.....とか」

なんだ?

「好きなの.....」
「え」
「あ」

振り返ろうとした時、ドライヤーの線に腕が引っかかって唯衣の声が突然聞こえる。

「.....何が?」
「.....分かってるくせに」

湯上りのせいかそれとも.....頬を紅くして上目遣いで見つめてくる唯衣をほっとけなかった。

「.....なにしてんの!?」
「ごめん...可愛くて.....」
「可愛っ!!?」

もうこの際、ダサいとかどうでもいいか。
唯衣の勇気を無駄にしたくない。

「好きじゃないと旅行に来ないよ」
「え」
「だから...俺もずっと好きだったって」

みるみる唯衣の顔が紅くなっていく。

「そ、それって.....」
「最初から唯衣の事、友達だって思ってなかっt」
「あかん.....」

唯衣は僕に体を預ける。

「爆発しそう.....」
「何が?笑」
「.....好きが」
「そっか笑」
「.....唯衣も最初から友達として見てなかったもん」
「その時から両思いやったんやね」
「.....言うな...ほんまに破裂しそう」
「唯衣.....」

僕に埋もれる唯衣をゆっくり引き剥がす。

「背伸びしてよ」
「なんでなん...お前がしゃがめ」
「したくないん?」
「.....したい」
「ほら背伸びしいや」
「.....なんか腹立つ!!」
「嘘やって」

僕は少ししゃがんで唯衣を抱き寄せる。
目をギュッと瞑る唯衣が愛おしくて愛おしくて。

「.....なに?」
「可愛いなって笑」
「なんなんもう.....はよしt」

ベッドの方からスマホが鳴る。

「ごめん、仕事の電話やわ」
「えぇ...いいけど.....」

スマホを取りに行く。

「もしもし.....後でいい?今、彼女と旅行やから」
「えっ」
「.....それはさっきまでな笑  今は彼女」
「○○.....」
「じゃあ切るわ」

電話を切ると唯衣が真横に居た。

「しゃがんで」
「なに?」
「.....好き」
「可愛いなぁほんまに笑」
「.....もう!好き!!」

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