いつまで経っても 1話
【いつまで経っても「小島凪紗」】1話
ほっぺになにか当たってる感触があった。
ふにふに.....なんだこれ。
「○○さまぁ〜.....起きてぇ〜.....」ツンツン
「.....んあ」
目を開けると目の前になぎが居た。
「!!!?」
「あ、おはようございます」
「びっくりした、なぎか」
「大学遅れちゃいますよ」
「今何時?」
「7時7分です」
「.....まだ寝れるじゃん」
「だって昨日『起こして』って言ったの○○様じゃないですかぁ」
「覚えてないね」
「もう.....笑」
「寝るからあっち行ってくれ」
「ひどいです.....」
「あ、そうだ。なぎ最近寝不足なんだって?」
「え" なんで知って」
「メイド長から聞いた」
「.....そ、それがなんですか」
「今眠たい?」
「いえ!目ぱっちりです!」
「こっち来て」
「はい?」
「顔見せて」
「え!?」
「早く〜」
「恥ずかしいです!」
無言でベッドの横に呼ぶ。
「えぇ.....」
仕方なくなぎはベッドの横にしゃがんだ。
「.....眠たそうな顔してるじゃん」
「そんなことないです」
「正直に言ってくれたら起きてあげる」
「ほんとですか〜?」
「ほんとほんと」
「.....眠たいです」
「ほらね〜」
「申し訳ございません.....」
「おいで」
「え.....」
「頭のやつとかエプロンとか外してもいいから」
「でも.....」
「怒られる前にちゃんと守ってあげるから大丈夫だよ」
「.....ほんとですか?」
「うん。あ、そもそも嫌なら全然大丈夫だからね」
「いや!むしろ....あ」
「.....むしろ?笑」
「忘れてください.....」
「なんて言おうとしたのかな〜」
「.....」
「むしろ一緒に寝たかったかなぁ〜?」
「.....」
「むしろ嬉しいですかなぁ〜?」
「.....」
「むしろ好...」
「分かりました!寝ますからぁ.....」
そう言い、なぎは頭のやつとエプロンを脱いだ。
「ちゃんと守ってくださいね.....?」
「小指貸して」
「.....?」
「指切りげんまん嘘ついたら高級焼肉お〜ごる」
「聞きましたからね?」
「うんいいよ、ほらおいで」
なぎは恐る恐るベッドに入ろうとするも、ある事に気づく。
「なぎ、どうして顔赤いの?」
「あ、赤くないです!」
「エアコンの温度下げる?」
「.....ちょっとだけ」
「アレクサ!エアコンの温度2度下げて」
「.....○○様、やっぱり恥ずかしいです」
「ねぇ笑 僕の方を向いてたらそりゃ恥ずかしいでしょ笑笑」
「え?笑」
「あっち向いていいよ」
「かしこまりました.....」
一瞬寂しそうな顔が見えたので、
「なぎぃ〜.....」
「○○様!!?」
後ろから腰に手を回し抱き寄せる。
「あぁ落ち着く.....」
「○○様.....」
なぎの体温は高く、エアコンで寒いくらいの部屋にちょうど良かった。
「覚えてる?昔は逆になぎから抱きついてきてたの」
「.....忘れました」
「嘘だね、僕知ってるから」
「何をですか?」
「自分の部屋に僕と撮ったツーショット置いてるでしょ。しかも毎日見れるようにドアの裏に」
「それは.....!」
「いつの間にか敬語になったり、距離ができたり寂しかった.....」
「.....○○様」
なぎは腰に回ってる僕の手を優しくさすってくれる。
「昔みたいに呼んでよ。今だけでも」
「.....○○」
「なに?なぎ」
「.....ずるいです」
「何が?」
「私の気持ち知ってるくせに.....」
「だからいつも葛藤してるの可愛いなぁって思ってる」
「え」
「ありがとうって伝えても嬉しいの堪えてちゃんと笑顔作るところとか、ご飯も栄養考えたりしないといけないのに僕が好きなご飯にしてくれたりとか、そうやって葛藤してるなぎ可愛いなって思う」
「.....」
「来年、お互い20歳になって自由の身になるけどどうする?」
「どうするって?」
「このままメイド続ける?」
「え?」
「それともメイド辞めて僕と付き合ってくれる?」
「え!!?」
「え?なに?」
「どどどどいうことですか!?」
「え?気づいてなかったの?」
「なにを.....?」
「あ、まじ?」
「え?」
「ずっとなぎの事好きだけど」
「え」
「なぎが好き好き言ってた時から」
「えぇ!!!!????」
驚きのあまりこちらを向く。
「ほんとに!?」
「お父様に知られたらきっとなぎが辞めさせられちゃうと思って必死に我慢してたんだよ?偉くない?」
「偉すぎます」
「でもずっと一緒に居たいから専属にしてもらってさ」
「やばい泣きそう....笑」
「ふっ笑 言葉遣い戻ってる笑」
「申し訳ございません.....笑」
すでに泣いてるなぎの涙を拭ってやる。
「なぎ好きだよ、ずーっと」
「私もです.....うぅ」
「ねぇ泣かないで笑笑」
「○○〜.....」
今度はなぎから抱きしめてくる。
「あーあ、服シワシワ確定だ」
「後で着替えてきますからぁ」
なぎはしばらく僕の胸で泣いていた。
「ねぇねぇなぎ」
「なんですか?」
「やっぱりさっきの付き合うってやつなしにしよ?」
「え.....なんでですか?」
なぎは捨てられた子犬みたいな顔でこちらを見てくる。
「だってそんなの飛ばして結婚しちゃえばいいじゃん」