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伝染する想い

【櫻の魔法 〜伝染する想い〜「石森璃花」】
私は最近気づいたことがあるのです。

○月×日  お昼
今日はリハーサルに向かうため電車が来るのを待ってます。
私がいつも乗る駅は他より人が少ないのんびりした駅です。

私のすぐ後ろに小さい子供を3人連れたお母さんが来ました。
3つ子かなぁ....可愛いなぁ....と思いつつ、イヤホンで大好きな櫻坂46の曲を聴いてました。
すると1人が泣き出してしまい釣られて3人とも泣き始めました。
私が声を掛けようと思って振り向くと後ろからぬいぐるみを持った駅員さんが来てました。

「どうしたの?お腹空いたの?」

駅員さんはぬいぐるみになりきって子供たちに話しかけました。
すると子供たちはぬいぐるみに夢中になって泣きやみました。

「すみません....ありがとうございます....」
「いえいえ....お子さん可愛いですね😊」
「ありがとうございます....3人ともすぐに泣いちゃう子たちなので大変で....」
「良かったらそのぬいぐるみ達、差し上げますので」
「いやいや!悪いですよ!」
「いえ、貰ってください私も3兄妹で大変だったんです」

そう言って事務所に戻っていきました。



○月×日  夕方
この日は収録が早く終わったのでのんびり1駅歩いた。

私がホームに入るとちょうどおばあちゃんと駅員さんがやり取りしてました。

「おばあちゃん良かったらここ座ってください」
「あらいいの?」
「ええ、ここの駅椅子がないからしんどいでしょ?」
「すまないねぇ」

そう言って事務所に帰って行きました。



○月×日  夜
この日は収録+リハで帰る頃にはギリギリ終電でした。

いつも通りの駅で電車に乗っていつも通りの駅で降りたのですが、この日は少し違いました。

「終点○○....○○....電車が止まってから席をお立ち下さい.....今日もお疲れ様でした」

ちょっとだけ涙が出ました。



○月×日  朝
昨日、夜更かしをしてしまって今朝はギリギリにホームに着きました。

電車に乗った後、美青ちゃんから貰ったキーホルダーが無くなっていることに気づきました。
とても悲しくてその日は仕事に集中できず、マネージャーさんに怒られてしまいました。

夕方になって電車に乗ってホームから出る時、駅員さんから声を掛けられました。

「あの!すみません、これお客さんのですよね?」
「え!うそ!どこで?」
「今朝、駅を掃除してるとホームのベンチに落ちてて、お客さんが付けてるものだって思って取っておいて良かったです😊」
「覚えてくださってるんですね.....」
「えぇ、我々が声を掛ける前に何度もお客さんが困ってる方を助けてるのを見て我々も見習ってまして」
「えぇ!?」
「いつもありがとうございます」
「いやいや!こちらこそ、いつも時間通りに運転してもらって....」
「逆に遅れたりして申し訳ないです....」
「そんなそんな!」
「明日もお仕事ですか?」
「はい....」
「お疲れ様です!」

そう言って笑顔で事務所に戻っていきました。


私の世界は思ったよりも素敵な世界だったのです。

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