右腕を故障した理由
「利き手を故障して握力が効かなかったりたまに力が抜けてモノを落としやすい」
と話すと、施術の業務で腕を故障したと誤解されることが多いです。
実は逆です。
とある事務所でPC作業メインの業務をしていた頃
元々、タイピングが早い方なのでどこの会社に入っても驚かれるのですけど
それを面白くなく感じる人がいまして
ある日、出勤したら自分の席のキーボードが薄型の古い捨てる直前のような場所にあったものと取り替えられていました。
「成宮さんのキーボード打つ音、イライラするから」
普通の会社ならパワハラで訴えられますが、私はまだ入りたてで誰にも相談できない弱い立場でした。
キーボードにホコリとタバコのヤニが付着し、使用頻度の高いEnterとスペースキーが特に押下しづらく、力を入れてタイピングしていたら腱鞘炎になりました。
パソコン使用歴10年超、入力で腱鞘炎はありえない話です。
そしてキーボードがかたくて打ちにくい上にその人は業務もかなりの量を押し付けてきまして、無理がたたって右腕全体が慢性的に痛い状態に陥りました。
肩から上腕、前腕、手首と冷湿布を貼りまくって痛みも治まらず、整形外科では
「治療が追いつかないから腕を使わないで安静に」
と無理なことを言われ、最終的には鍼治療までしました。
しかし壊れていたのは腕以上にパワハラによるメンタルの方でした。
上司に話して
「もう無理しないでできることだけでいいから」
と言って貰えましたが、そうなると更にパワハラの本人はおもしろくない上に周りも
「成宮さん、あの人にいびられてかわいそう」
「うちら成宮さん派だから負けないで」
みたいなムードになり、私はいたたまれなくなりその職場から逃げました。
あの人はもう雇ってくれるような職場がないからここでしがみつくために私がまたやられる。
私が他に仕事を探せばいい。
半年間で利き手はほぼ握力がなくなり、ボールペンも持てない、箸も使えないようになっていました。
痛みと握力の故障を抱えた腕を切断した方がマシとまで思った私にできる仕事は握力を使わず完結できる業務でした。
それが過去に少しだけかじっていたオイルマッサージの仕事です。
手のひらと腕全体を使い、拇指による指圧は行なわない。
この施術スタイルを続けて2年…
ようやく常に痛かった腕は少しずつ
「痛くない時もある」
ようになりました。
タイピングの音がムカつくから壊れているキーボードにすり替える
という話を今は笑い話にしていますが
「それ、労災じゃないですか」
と言われたこともあります。
きっと相談できる人がいたらそこまで悪化するようなことを防げてたでしょうし、気に食わないから嫌がらせをしたり怒鳴り散らすような人に対峙した時に然るべき対応もできていたのかもしれません。
しかし今後、仕事していく上で避けなければならない人間像も明確にできるようになったのは怪我の功名だと思っています。