２４の調の話⑴～キャラの性格一覧

今回は、調の個性(キー・カラー)について書いていきます。

キー・カラーの誕生

バロック時代には、歌詞が調を決定するという考え方がありました。

そこから「苦悩はト短調、喜びはヘ長調」といったように、調の個性が決定されていきました。

また当時は、調号が少ないほど、単純明快な曲想を表していました。

Ｊ.マテゾン(1681~1764) は著書『新設オーケストラ(1713)』に、各調の性格をこのように記しています。

ハ長調　かなり粗野で大胆。
ト長調　雄弁で輝くばかり。快活でまじめ。
ニ長調　快活で、好戦的。
イ長調　輝かしいが攻撃的、
　　　　嘆くような悲しい情緒も持つ。
ホ短調　絶望に満ちた悲しみ。
ヘ短調　穏やか、落ち着いている。
　　　　絶望とメランコリーも感じさせる。

調を決定するその他の要素

楽器の特性からも、調は決定されます。

管弦楽　→開放弦をよく使う調
吹奏楽　→♭系 (B官やEs管が多い)
ピアノ　→少ない調号
　　　　→変二、変ト長調(指使い上弾きやすい)

また、音程を変えられる楽器や歌の場合は、次のように演奏するのが一般的です。

♯ →高めにとり、明瞭に奏する
♭ →低めにとり、叙情的に奏する

12の長調のキャラクター

【ハ長調】
基本調とよばれる。
素朴で自然な曲調をもち、安定感をもたらす。

【ト長調】#
明るく快活な曲にむいている調。
「少年」のイメージを持つ。

【二長調】##
輝かしい、光あふれる、栄光に満ちた曲想にむいている。
ミサのグローリアの章や、トランペットの音色を想起させる。

【イ長調】###
きらびやかで、澄み切った音色を感じさせる。
あるときは多少の社交性もあわせもつ。

【ホ長調】####
イ長調よりさらにきらびやかさが増し、バロック時代の音色となる。
宮廷風の音楽にむいているが、すこし寂しさを感じさせる。

【ロ長調】#####
ロ（Ｈ）の音の持つ独特のイメージにより、重々しい儀式的な曲にむいている。

【嬰へ長調】######
どことなく非現実的な、異国的な響きをもつ。

【ヘ長調】♭
優しさ、やわらかさを持つ調で、子守歌に用いられる。
また、ホルンの音を想起させる。

【変ロ長調】♭♭
多少くすんだ音色をもつが、クラリネットからの連想で、なめらかなパッセージが多い曲にも用いられる。

【変ホ長調】♭♭♭
落ち着いた、やわらかな、包容力のある曲想をもたらす。

【変イ長調】♭♭♭♭
大人っぽい、高貴な音色をもつ。
ロマン派に好まれた調。

【変ニ長調】♭♭♭♭♭
爛熟した、退廃的な音色を持ち、ロマン派に好まれた調。
ピアノ曲には、指使い上の利点からもちいられる。

【変ト長調】♭♭♭♭♭♭
嬰へ長調のきらびやかさとは正反対に、
しっとりと落ち着いた趣をもたらす。

12の短調のキャラクター

【イ短調】
澄み切った、素朴な悲しみを表現するのにむいている。

【ホ短調】#
内に秘めた暗い情熱を感じさせる。

【ロ短調】##
暗い、不吉な、悪魔的な表現にむいている。

【嬰へ短調】###
多少きらびやかだが、張り詰めた緊張感ももたらす。

【嬰ハ短調】####
嬰ヘ長調と似て、冷たい、金属的な響きをもつ。
この２つの調は、それぞれの平行調の性格と密接な関係をもつ。

【嬰ト長調】#####
#が5つあるが 、さほど輝きが感じられない曲もある。
本来は短調の中で、もっとも浮き立つような音色の調である。

【ニ短調】♭
素朴で、落ち着いた雰囲気をもつ。

【ト短調】♭♭
澄み切った哀愁を感じさせ、時には永遠の悲しみも意味する。
古典時代以前は悲しみの表現として必ず用いられた。

【ハ短調】♭♭♭
どっしりした荘重な悲劇を表現できる調。
♭系短調の中で、もっとも悲愴感のある暗い音色をもつ。

【ヘ短調】♭♭♭♭
高貴な、内に秘めた悲しみを表現するのにむいている。
バッハのヘ短調が良い例。

【変ロ短調】♭♭♭♭♭
暗く、くすんだ音調をもつ。
平行調とのつながりから、ロマン派の作品によく使われる。
大人っぽさ、ほんの少しの退廃性も表現できる。

【変ホ短調】♭♭♭♭♭♭
同主調からの関連で、落ち着いた、暖かさも感じられる短調。

【変イ短調】♭♭♭♭♭♭♭
嬰ト短調と異名同調であり、それほど使われないが、しっとり落ち着いた色彩をもつ。

今回の参考文献はこちらです(*^^*)

ピアノ初見のうまくなる本

((おまけ))

以前から小・中学生向けに、『24調図鑑』のような本を作ってみたいのですが、構想のまま、いまだに実現していません笑

(左ページに、擬人化キャラと性格、
右ページに、バイエルのスケールとアルペジオを載せたいな…と思っています。)

学生の頃は趣味で漫画やイラストを描いていましたが、
最近はなぜだか気持ちが乗らなくなり、めったに描かなくなってしまいました。

この予期せぬ長期休み中には、少しお絵描きもできると良いと思っています✏️

最後まで読んでくださり、ありがとうございます♪

よろしければ他の記事もご覧になっていってくださいね😆✨

さくら舞🌸