セザール・フランク作曲 《♪ヴァイオリン・ソナタ イ長調》 楽曲解説
この記事では、19世紀フランスの作曲家、セザール・フランクの《♪ヴァイオリンソナタイ長調》について解説しています。
作曲家セザール・フランク
フランクは若い頃から作曲活動を行なっていましたが、聴衆に認められたのは晩年になってからという、大器晩成型の作曲家でした。
現在ではフランスを代表する作曲家と評価されているのに、何故だったのでしょうか?
フランクの作曲理念
フランクが生きた19世紀のフランスでは、音楽といえば軽いサロン音楽やオペラが主流でした。
そのような中、フランクが作曲していたのは『バッハやベートーヴェンに代表されるドイツ音楽の知的な構成力』と『フランスの伝統的な感性』をあわせもった音楽でした。
そのため聴衆からは「よくわからない抽象的なもの」と認識されてしまってたのです。
しかしフランクは自分の信念を曲げることなく、黙々と作曲活動を続けました。
この曲は「循環形式」(同一のモチーフを全楽章に渡って用いる作曲手法)という、極めて精密な手法で作曲されており、
一方で自由で流れるような即興的な曲想もあわせもっています。
このヴァイオリンソナタは、フランクという作曲家の『理知的な冷静さ』と『内面の情熱』が、結晶となっている曲だといえるでしょう。
以下の文章は、音楽之友社『最新名曲解説全集12 室内楽Ⅱ』p434からの引用です。
各楽章の解説
《ヴァイオリン・ソナタイ長調》は1886年、フランクが64歳のときの作品で、
友人であるヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイの結婚祝いとして作られた曲です。
第1楽章
冒頭のピアノの和音(属九の和音)にフランス的と表現できるような、特徴的な響きを感じることができます。優しくて穏やかで、幸福感に満ちた楽章です。
第2楽章
第1楽章と打って変わって、嵐のように激しい曲調です。
第3楽章
沈鬱で、即興的な性格が強い楽章です。
第4楽章
カノン風の楽章で、再び幸せに満ちた印象です。ピアノとヴァイオリンのおいかけっこは、ひょっとしたら男性と女性とを象徴しているのかもしれません。
おすすめの音源
この曲はヴァイオリンソナタの中でも名曲中の名曲なため、レコーディングも豊富です。
①三浦文彰さんと辻井伸行さんによる演奏です。エネルギッシュかつ繊細な演奏で、いぶし銀のヴァイオリンと純白のピアノが心にしみ入ります。
②フランクの孫世代にあたるフランスの歴史的名演奏家、ティボーとコルトーによる演奏です。時代の空気感が味わえる演奏には、一聴の価値があるでしょう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます♪
さくら舞🌸
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