クリエイターの皆様の矜持を最大限形にしたくなる櫻坂46の奥の深さー立て続けの企業案件にみる櫻坂の可能性 毎日note neo EX 2024年11月21日付
アニラ前にもう一つ触れておきたいことがあって。
それは、このところ急に櫻坂に纏わる企業CM案件が相次いでいることである。
ここ1・2年は本当にCMに起用されることが多くなった。
ただここ最近の起用は、企業のイメージアップという従来の目的以上に、クリエイターの皆様が櫻坂メンバーを使ってご自分の表現したい世界を如何なく発揮されているのではないかという気がしてならない。
例えばこちら。
谷口愛季の持つ魅力はそれこそ重層的であり、時にはその童顔から来る愛くるしさであり、そこさく視聴者ならわかる、姉御肌なところでもあり、ダンスでは一際キラリと光るセンスも見せつけるところでもあり。
そんな彼女を、ほぼ年齢相応な設定に置き、多くは語らせないもののその背景にあるものを想像させる雰囲気。そしてなんと言っても、シリアスな場面における間の取り方と、そんな雰囲気の隙間にスッとチキンナゲットやポテトが入り込む温度感。谷口愛季だからこそ出せる空気だとも思う。最後の「ありがとう…」という言い方など、まさにあいりならではだ。
でもこれをCM制作側はおそらくすべて計算して制作している。計算しているとすれば、当然あいりのパーソナリティな部分も調べているはずなので、まさに自然体のあいりがそこにいることになる。
彼女と商品がどちらも最大限生きる、そんな方法論をきっと苦心して作り出したはず。
クリエイターの皆様が櫻坂を起用して表現したいもの。
それは「物語」ではないかと思うのだ。
マクドナルドの谷口愛季も、その背景にある「物語」を想起させる。全く作り込んでいないように見える役だから逆に想起できる「物語」がある。
今月11月に世に放たれた、これぞ「物語」というCMといえばこちら。
サントリー天然水と、森田ひかる。
CGを一切使わずに、水中におけるタイムトラベルに挑戦した作品。
どういう経緯で彼女に白羽の矢が立ったのかはわからないが、森田ひかるは確かに「物語」を作ってみたい衝動に駆られる存在だ。
可愛らしさがあり、一方でカッコ良さに振って仕上げる表現力もあるし、そしてどこかミステリアスなものも持っている。
そして私たちは、特に森田ひかるの「歴史」を知っていればこそ、その「物語」に没入できる素地がある。
欅坂46時代、幻の9thとなった「10月のプールに飛び込んだ」のセンターに立つはずだったのが、森田ひかる。
櫻坂46となっての1stシングル。櫻坂46の最初の顔に選ばれたのも森田ひかる。
その後櫻坂を引っ張っていったその一人が、森田ひかる。
もしクリエイターの方がその「歴史」を知っていての映像作品だとしたら、これは本当に私たちにとってエモい。エモい以外の言葉が見つからない。
そして、こちら。
Xperiaの最大バッテリー40時間を使っての、光で桜の木を描くというコンセプト。
どこからこのコンセプトの発想が生まれたんだろう。
さすがはクリエイター。
出来については、もはやアナザー10th表題MVと言っても過言ではない。しかも光をモチーフにしている分、本当に美しい。
ここにもやはり、桜の木を構成する、その木の幹や枝や葉や花びらとなる彼女たちに「物語」が存在するのである。
アイドルがCMに起用される、といえば、パブリックイメージというか、ステレオタイプ的なものも存在する。どちらかというとイオンカードCMにおける櫻坂の起用のしかたの一部は実に従来的なものもある。
そういえばイオンカードで思い出したのは、初期の頃のイオンカードCM、特に櫻坂に改名した直後はそれこそ「物語」のあるCMになっていた。あの「物語」も実に良かった。
こうやって考えていくと、櫻坂のメンバーを起用するCMというのが、販促もさることながら、その商品のイメージCMもしくは企業のイメージCMになりつつあるという気がする。
そして、なぜそれを櫻坂のメンバーで成し得ようとするのか、という点をどうしても探りたくなる。
もしかするとそこに「余白」があるからではないだろうか。
物事を一面的に見せない、多角的に考えさせられる存在。そして今見てる彼女たちだけでなく、他に何かあるのではないか、何にも染まっていない部分があるのではないかと思わせるものを持っている。
もちろんそれでいて、イメージアップにつながる。
そう感じるからこそ、観た人がいろんな想いに浸れるCMを作ろうという気にもなる。
この存在になれたことは、本当に大きい。
これが2025年さらに発展すれば、おそらくさらに多くのCM案件が舞い込んできそうな気がする。
唯一無二、とは言わないまでも、あまり他のアイドルが進んでこなかった路線を突き進むことで、櫻坂でなければならない仕事、というのが多くなっていくのではないだろうか。
そうなれば、実に安泰である。