明るく愉快なサザエさん

※こちらの記事は、職場の人間関係について、痛々しい自分語りを交えながら、心行くまでストレス発散する自己満足記事でございます。毒舌成分もございます。お気をつけください。

 職場にどーも苦手な方がいます。
 何かにつけてオーバーリアクション。
 まあ、聞いてください。書かせてください。たまってるんです。愚痴ですよ。ごめんなさいね。

 わたしの職場は、パソコンや紙の書類を扱う事務仕事がメインで、基本は座ってパソコン作業。ボソボソ世間話をすることはあれども、あまりガヤガヤとはしておりません。
 仕事柄、職場には大量の郵便物が届きます。一定の様式に沿って書類が作成されて送られてくるのですが、どこにも自由な人々はいるものでして、「様式?そんなもの知らぬ、知らぬぞ」とばかりに、我が道をゆく斬新な書類も送られてきます。悲しいかな、割といっぱい。
 中には、ちょっとワラエルものもあって、通りかかった同僚を捕まえて
「ねえねえ、見てこれ」
「うわー。自由(笑)」
 といった会話をすることも。まあまあよくある職場の風景のひとつです。

 その方は、そんなささやかなやり取りでは満足なさりません。
「うはっ!」「これはひっどーい!」「なんじゃこりゃー!!」
 封筒を開けながら、どうにも独り言の音量を逸脱した音声で、高らかに歌い上げます。
 ……この人、わたしの席の向かい側で、封筒明けの作業をされるんです。
 どうしたものでしょうか?

 他にも、ちょっとその場を離れた、と思ったら、「あらまっ」(←ほんとに言う)と大きな声でひとりごちて、「おっとっと」とつんのめる動作をしてから、くるっと方向転換する、とか。
 足音から個性的です。「あー、あの人だな」とイヤでも分かります。

 その方、と他人行儀に呼ぶのは寂しいですね。職場ではかかわらないようにしておりますので、こんなところでくらい、きちんと呼んで差し上げないと。明るく愉快なサザエさん、とかどうでしょう。仕事のうっかりミスもいっぱいだよ! 最初の頃は黙って直しておりましたが、キリがないので、最近は他の方に後の始末を委ねることにしました(つまり匙を投げました)。
 お年の頃は40~50代、明石家さんまさんから「ひょうきんさ」と「愛嬌」を抜いて、「縄文人」または「猩々」または「マントヒヒ」要素を加えたようなお顔立ちをされておられます。これは、これはあくまでお顔の特徴をかいつまんで申し述べたものであります。もっとわたしに語彙力があれば。いやいや、かの天下人豊臣秀吉だって「サル」とか言われてたじゃないですか。類するお顔立ちだけに、いつか天下を取るかも知れない。ブロードウェイとか歩いちゃうかも知れない。オーバーリアクション人間なだけに。

 わたしは、イヤなものからは徹底的に距離を取る性癖があります。サザエさんとは、少々こじれた経緯があり、余計に無反応を決めております。
 しかし、一方のサザエさんは「つながりたい人」、なんですよね。
 大げさな身振り手振り、びっくりするような音量の独り言、思わず相手が顔をあげて「何かあったんですか?」と反応しやすい雰囲気を、とっても分かりやすく作ってくださいます。
 それで会話が盛り上がるのか。そんなわけはない。だいたいサザエさん流不思議ワールド全開です。返しに困るような自分事(まさに自分語り)を無邪気に、それは無邪気に話題にします。で、場が微妙な雰囲気になると、「あ、わたし変なこといっちゃった。ごめんなさいっ(テヘペロ)」といけしゃあしゃあとその場を収めます。かわいらしいチワワがテヘペロ、じゃないんですよ。縄文系アラフィフ天下人ですよ。ああ、見ててつらい。いやイタイ。イタイタしい。
 同僚のみなさまは、サザエさんと普通に会話しておられますが、わたしにはどうにも無理。かといって、「ちょっと、うるさいんですけど」などと言おうものなら、「あ、うるさくしちゃって、ごめんなさい(テヘペロ)」と鳥肌モノの反応が返ってくることは想像に難くありません。そして、「(周囲を意識していることが丸わかりの)大きな声でしゃべらない態度」を分かりやすくとってくださることでしょう。そう、サザエさんはとっても分かりやすいんです。どこまでも。

 こういう「感情」に訴えて来られる方、しかも無邪気にかまって欲しい、誰かとおしゃべりしたい、みたいな方を、きれいにスルーするのって、難しいんですよね。
 オーバーリアクションゆえに、いやでもこちらは相手を「認識」せざるを得ません。
 パソコン作業してる自席の向かい側で、「うはっ」とか言われてごらんよ。イヤだよ。キモチワルイよ。好き嫌いの問題ではございません。もっと手前の原始的な、快不快の段階の話でございます。
 で、相手をキモチワルイと「認識」したうえで、「あなたには反応しませんよ」という態度をとる。まあ大人の礼儀として、「聞こえてないふり」をするよう、心掛けておりますけど、実際はバッチリと聞こえているからして、ストレスはとってもたまります。

 サザエさんという芸術作品には、事務屋がパソコンを並べて粛々と画面とにらめっこする職場などは、舞台が小さすぎるのです。
 有期雇用の方なので、あと半年ほどのことにはなりますが、「つながりたいオーバーリアクションの不思議系かまってちゃん」に対する無理のない対処法を編み出す機会となりうるのか。悩める自分をふりきって、今日も明日も明るく愉快に邁進したいものでございます。

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