砂時計
芦原妃名子先生の「砂時計」、昔から実家にあるので帰ると時々読む
初めて読んだ時から自分の中に残っている言葉がいくつかあって、いわゆるバイブルだと思っている
私も杏ちゃんみたいに、自分の中で消化できないことがあって、それを癒そうとしてくれた人に何人か出会ってきた
思い出したくないこともあるし、時々思い出してはあったかい気持ちになることもある
そして杏ちゃんにとっての大悟みたいな存在が私にもいる
16から19まで付き合っていた彼女
ただ好きになった人がたまたま女の子だった
その人はもう結婚して子どももいて、幸せな日々を送っているみたいだ
私は杏ちゃんみたいに母親が自殺したわけではないけど、家庭のこと、親のこと、男の人を怖いと思うきっかけになったこと、かなり弱い部分を持ちながらの思春期だったと思う
自分のルーツが受け容れられない
自分なんて誰にも大切に思われていないという思い込み
精神的におかしかった
でもその彼女に大切に大切にしてもらって、不安から突き放してしまってそれでも大切にしてもらって
20歳くらいになって普通に生きられるようになってやっと、希死念慮って異常なものなんだなと気づいた
それまでは死にたいと思わない人間なんているわけないと思ってたから
本当に本当にあの人に救われたから、今でもあの人のあたたかさを思い出してしまうことがある
だから杏ちゃんが何年経っても忘れられないのがすごくわかる
あれから5年くらい経って、やっぱり杏ちゃんと同じ場所に行き着いてる
自分を救えるのは自分しかいない
強くなりたい
そう思って生き続けて、もうあの時みたいに弱くはなくなった
漫画じゃないから
あの時私を救ってくれた彼女を今度こそ幸せにしたいと思ってももう結婚していて
杏ちゃんと大悟みたいにまた出会って結ばれることはなくて
それでもいつかどこかで会って話せたらいいなと思ってる
大悟に厳しくも激励を受けた杏ちゃんは20歳で、その後ストーリーは26歳に飛ぶ
私は今23歳で、その間
物語にも描かれないくらいなんともない日々を送っている
本当になんともない日々だけど
砂時計を読む度に新しい視点が増えていくんだから、私もそれなりにちゃんと歳を重ねられていると思う
どこかで会った時に私も誰かを幸せにしてるよって言えるように
なんでもない日々を積み上げていく