見出し画像

子どもの英語学習にPhonicsは必要?イギリスのリアルなPhonics学習をご紹介

いきなりですが、こちらを正しく読むことができますか?


お子さんの英語学習に興味がある方ならば耳にされた事がある「Phonics」

最近は「Phonicsを勉強する必要はない」という日本の記事も出るなど、日本人にとってはまだまだなじみの浅いもので、やらせるべきか迷っている方がたくさんいらっしゃると思います。

では皆さんご存じですか?

英語の本場イギリスで、イギリス人がPhonicsを習得するまでどれくらいの時間を費やしているでしょうか?

イギリスの学校に子どもを入れるまでは、私は「あいうえお」的なものなのかな?と気軽にとらえていました。(無知でお恥ずかしい限りです)

なんと最低約2年間、トータル700日以上。
学校で毎日必ずPhonicsの授業が30分程度あります。

幼い時から毎日繰り返し、イギリス人も英語を身に着けているのです。


この記事は英語ゼロから始まった私たち親子が1000日以上続けているバイリンガル子育ての経験から、今回はPhonics学習の基本をご紹介します。

この記事を読む事で、「Phonicsに興味はあるけれど、よくわからず始められない」や「一体Phonicsって何だろう」などの疑問が解消されます!

そしてお子さんに英語を学ばせたい方はPhonics学習に一歩踏み出せる内容となっていますので、ぜひ最後まで御覧ください。


1.はじめに


まず今回の記事の結論をお伝えしますが、お子さんに英語を学ばせるのであれば必ず「Phonics」は取り入れるべきです。

大きな理由は第一言語を英語とするイギリスの子どもたちはみなPhonicsを学習していること、そして国をあげて子ども達に学習させている英語学習法だからです。

そしてPhonicsを習得すると英語を「読むちから」が格段にあがります。初めて出会う単語も正しく発音できるようになっていきます!

私たち親世代が英語を学んだ時代には取り入れられていなかった方法なので、あまりなじみのない方も多いのではないでしょうか。

今回は一つずつ基本からご紹介していきます!

●そもそも「Phonics」とは何か?

●イギリス人はどれくらいの時間をかけて「Phonics」を習得するのか?

●具体的な「Phonics」の学習内容

実践的なPhonicsの学習の仕方は次回以降の記事で細かく、丁寧にご紹介しようと思っていますので、こちらの記事では学習内容の概要をお伝えします。

2.そもそも「Phonics」とは何か?


イギリスの学校から何度も案内されていますが、今回記事を執筆するにあたり、改めて辞書でも調べてみました。

辞書より引用
a method of teaching people to read by correlating sounds with symbols in an alphabetic writing system.

Oxford Dictionaries

要するに、子ども達に読み書きを教えるために使用するシステムの事です。

そしてPhonicsの学習はイギリスのほぼすべての学校で行われています。

繰り返しになりますが、イギリスではPhonicsを習得する事によって読むちからがあがり、単語を正しく発音できるようになると考えられています。

そのため、時間をかけ幼いころから勉強しているのです。

3.イギリス人はどれくらいの時間をかけて「Phonics」を習得しているのか


イギリス人がPhonicsを習得するのにどれくらいの時間をかけるか想像してみてください。

ご紹介した通り、最低でも約2年間。700日以上…
学校の授業で毎日必ず30分程度の学習時間が設けられています。

イギリスのいわゆる小学校の学年の考え方は以下になります。

●学年(年齢)

nursery(3-4)※日本でいうプレの学年。義務教育ではないが通う子が多い。
reception(4-5)※義務教育のスタートだが、year1への準備期間とされる。

year1(5-6)※日本でいう小学1年生のスタート。
year2(6-7)
year3(7-8)
year4(8-9)
year5(9-10)
year6(10-11)

義務教育スタート時のreceptionからyear1までの約2年間で基本的にPhonicsを習得する事が目指されています。

最低という表現をしたのは義務教育前の学年であるnurseryから学校に入るとプラスで1年学習時間が増。

さらに以下記載するスクリーニングテストで残念ながら基準に満たない成績をとってしまうと、year2にあがってもPhonicsの学習を継続するというシステムになっています。

そのためスムーズにパスする子で大体2年間が学習時間となります。

最近はnurseryから学校に入るお子さんも多いので約3年間Phonicsに触れる子どもが多い傾向です。

また前述したようにPhonicsの学習の仕上げとして、year1の学期末(6月)に先生と1対1でのスクリーニングテストというものをイングランドに住んでいるほぼ全員の子供たち(公立の子は必須)は受け、Phonicsのレベルがきちんと国の基準に達しているか確認されます。

晴れて合格すればイギリスの基準としてのPhonicsはマスターし、その授業時間はリーディングなど別の英語教育の時間に費やされます。

繰り返しになりますが、お子さんにPhonicsを学ばせるべきか迷っている方はとりあえず一歩始めてみてほしいです。

理由は先に述べたように、ほぼすべてのイギリスの子どもたちが第一言語として英語を習得するために使われているシステムだからです。

そして毎日たくさんの英語に触れ合っているイギリスの子どもたちでさえ2年以上の時間を費やし、Phonicsをマスターしていること、子どもによってはスクリーニングてテストで落ちてしまう子も珍しくはありません。

やはり言語を正しく習得するという事は想定しているより難しく、継続しつづける必要がある事です!

イギリス人でも時間がかかっている。
そのため迷っているならば、まずは一歩挑戦してみてほしいと思います!

前段が長くなりましたが、続いて具体的なPhonicsの学習カリキュラムをご紹介します!

4.具体的な「Phonics」の学習内容


今回は概要のみご紹介します!

本気でお子さんとPhonicsの学習に取り組んでみたいという方向けに、次回の記事で一つずつ各段階における詳しい学習法をご紹介していきます。

お子さんの努力はもちろんですが、この基礎を作る段階では一緒に並走するご両親のサポートと忍耐がとても重要になってきます。

面倒がる息子と対峙し、私も何度も心が折れかけましたが、とにかく息子のために今は耐える!となんとか息子を楽しませ、時にはおだて、この土台作りを無事にクリアしています。

話が少し脱線しましたが、イギリスでのPhonics学習には大きく4つの学習ステージとテストがあります。

まず各学習ステージと学年(年齢)のご紹介をします。

①reception(4-5)(nursery(3-4)):セット1~2

②year1(5-6):セット3~4、学期末:スクリーニングテスト受験

この流れで基本的には学んでいきます。

イギリスは個人の能力を重んじる傾向にあるため、理解が早い子は場合によっては一学年上のクラスの授業を受けさせたり、進度が遅れている子は下のクラスに入れるなどを行うので、上記の流れは標準的な子どもの進度となっています。

息子もありがたいことにPhonicsの学習が非常にスムーズに進み、year1の数か月間は他の子がPhonicsを勉強している時間、一つ上の学年(year2)の子ども達のクラスに入り、一つ上のレベルの教材で勉強をしていました。

このように公立校であっても子どものレベルにあった進度を用意し、支援してくれる姿勢はイギリス教育のすばらしさであると住んでみて実感しています。

では各学習ステージで具体的に学んでいる内容をご紹介します。

①第一段階:セット1

「m s d t n p g c b f h r j v …」などの1文字で書かれたサウンドを学んでいく段階です。

1文字ずつ書き方を学ぶと同時にPhonicsではどのように発音するのか、すべてのアルファベットの文字について学んでいきます。

「sh、th、ch、qu…」など2つの文字で書かれた音も1文字の音を学んだのち、セット1の段階で学びます。

この2つの文字でならんだ音をイギリスでは「スペシャルフレンド」と呼び、子どもに1文字のサウンドと異なる事を意識させるように促しています。

始めに通っていた学校が私立だったためか、Phonicsの勉強用にと学校からこちらを渡されました。

学校でサウンドを勉強したら、家庭で該当のページを練習し、家でもPhonicsのサウンドを復習するように学校から求められました。

最初の頃は1ページやらせるだけでも、一苦労。おだてて、おだててで、一文字ずつなんとかクリアする毎日。

イギリスでは「m」のサウンドから練習します。初めてのPhonicsの練習なので、字が汚すぎる。この先上手に書けるようになるのか、この頃ものすごく不安だったのを鮮明に覚えています。今は努力の甲斐あって、学年の数人の先生たちからHand writingが本当にキレイと褒められるほどに😢

楽しいことがないと頑張れないので、一文字勉強したら巻末の★が塗れることが唯一の楽しみだったようです。

イギリスのこども達はみんなレインボーカラーが大好き笑!なんでもレインボーにしたい!
ジェラートだってレインボーカラーの「ユニコーン味」が一番人気笑!


②第二段階:セット2


セット2のサウンドは以下の音となっています。

「ay、ee、igh、ow、oo、oo、ar、air、ir、ou、oy」

セット2は2文字並んでいてもスペシャルフレンドとは呼ばず、セット2のサウンドとして学びます。

Phonicsのリーディングブックのレベルでは「レッド」「グリーン」「パープル」レベルに区分されています。

イギリスの学校では毎日家庭での音読が推奨されており、その子どものレベルを先生が判断し、レベルにあった本を毎週数冊学校から宿題として渡されます。

その際、基本的にはPhonicsのレベルにあわせた本が選択されるため、家でも練習するよう学校から指導されます。

きちんと家で音読を実施してその記録をしたノートを学校とやりとりし、子どもの状況を家庭と学校で確認します。

このノートを入学時に渡され約2年間の音読の記録を付け続けました。
転校したのでこのノートは使っていませんが、year2になった今も毎日音読させられています。

学校でも一人ずつ毎週先生が音読を確認し、その記録をノートに記載して返してくれます。

こちらは日本人だからどうしても枠を守りたくなるけど、先生たちは大胆にノートを使います笑。どの先生も同じようにノートを使うのでイギリススタイルということでしょうか。

先生の字が全く解読できないことや、この一言コメントが私にとっては毎週の英作文の練習なのでつらかったですが、私の英作文力もこの作業のおかげで成長していました笑

また学校でもPhonicsの授業時は自分のレベルのグループの教室に移動し、自分のレベルにあった内容を学習するような運用となっています。

先にご紹介したリーディングブックのレベルにあわせ、「レッドグループ」や「グリーングループ」などと呼ばれています。

③第三段階:セット3

これは一例ですが、以下のようなサウンドを練習していきます。

「ea、oi、a-e、i-e、o-e…」などです。

Phonicsのリーディングブックのレベルでは「ピンク」「オレンジ」「イエロー」に区分されています。

単純に覚えるサウンドの数がセット1から積みあがってきて多くなってくるので、混乱する子やつまずく子も中には出てきます。

この本はセット2、3がひとまとめになっていますが、セット1と同様に学校で学習したら、家庭で復習するということを継続していました。


ただセット2からはこのテキストに書き込めないため、このテキストを見ながら自分のノートに単語を書く練習を我が家では行うようにしていました。

そして1学年あがってもご褒美がほしいのは変わらないので、巻末の色塗りを相変わらずに楽しみに戦い続ける毎日。

④第四段階:セット1~3までのサウンドが入った本を読み、正しさと流暢さをマスターする

セット3までで基本のPhonicsの学習は終了するため、ここからは今までのサウンドがごちゃ混ぜになって出てくる本や練習問題を解き、正しく音を理解できている事、また流暢に読むための仕上げのステージとなります。

Phonicsのリーディングブックのレベルでは「ブルー」「グレー」のレベルに区分されます。

息子はyear1の1-3月はブルーグループを少し長めにやっていました。理由を聞いたら、うまく先生の前でリーディングができず、上のグループにあがり損ねてしまったとの事。頑張って4月の新しい学期からはグレーグループで練習を重ねました。

ブルーのレベルの本がこちら。6才2-4か月くらいで読んでいました。
サポートする親も英語が苦手でもこれくらいのレベルなら理解できました。ただ時折語彙を増やさせる意図で聞いたこともない単語が出てくるようになって、こちらも辞書を何度か確認したようなレベルです。

そしてこちらがグレーレベルの本。6才4-5か月で読んでいました。このレベルから明らかに私にとっては難しいと感じる単語や表現が増えてレベルがあがったように感じました。


また同時に自分が学生時代一応英語をちゃんと勉強してきたつもりでもイギリスのレベルではyear1、6才くらいのレベルなのかと気づき、少し悲しい気持ちになった事も覚えています。

⑤学期末:year1(6才)のPhonicsのスクリーニングテスト合格を目指す

前述したとおりイギリスのほぼすべての子どもが受けさせられるテストです。

先生との1対1で行われ、提示されたカードの単語をPhonicsで正しく読めるか確認されます。記事の冒頭にもお見せしたこちらはこのテストのサンプルです。



ただテスト感はなく、子ども的には先生と楽しく英語をやっている感覚のようです。

こちらのように本来の単語がテスト問題の多くを占めています。

上記でお出ししたものは子どもが単語をPhonicsで読んでいるのではなく、単純に単語と音を記憶していないか、きちんとPhonicsを理解できているか確認するために、存在しない単語をわざと問題に入れています。

そして先生は子どもに「このエイリアン達の名前を教えてくれる?」と質問し、子どもはPhonicsの通りに読み、確認をするという流れになっています!

そのため学校側から今日スクリーニングテストをするという予告をもらった日に息子にテストを受けたか確認したところ、テストを受けてないと言っていたのには笑いました。

こちらのテストですが、40問中32問正解すれば合格。

もし基準に満たなかった場合は進級しても学校で一学年下の子どもたちと一緒にPhonicsを勉強しつづけなければならないので、心配な親はテストのフォローをしたりします。そのため問題集が販売されています。

このテストは基本的に落とすためのテストではないので、標準の進度で学習についていける子はきちんと合格できるようになっています!

ただ日本人の場合だと、駐在などご家庭の事情でyear1の途中から入った子などは学習時間が明らかに足りないため、落第する子もいます。

知り合いの子も一人落ちてしまい、お子さんがとても落ち込んでいるのを見かけたので、他人事ではないと息子の時は多少テスト前にフォローをしました。

以上がPhonics学習の概要です。

5.英語ゼロの息子がPhonicsを約3年間学習した体験記


続いて簡単にですが、我が家でPhonics学習を実践してみてどうだったかをご紹介させていただきます!

詳細な内容は長くなるので、また別の記事でご紹介していこうと思います!

息子はnurseryからイギリスの学校に入りました。

ただ息子は学校に入るまでイギリスに住んでいたのに、英語学習はほぼゼロ。
私は息子に集中力が高く、体力のある子どもに育ってほしいと思っていたので、1才で歩けるようになってからはほぼ毎日公園で走らせ、遊ばせ続けるという方向に全振りして育児をしていました。

そのため英語教育は日本にいるときは一切行っていませんでした。

また私自身も渡英初日に「Do you need a bag?」がスーパーで聞き取れず、いきなり英語挫折者となり、英語を避ける毎日でした。

学校に入学してしばらく経った4才からPhonicsの学習が始まりました。

英語ゼロで始まった息子も4才でセット1からスタート。
私もPhonicsはよくわからないので、学校の先生の指示に従い、毎日家で一緒に練習を行いました。

具体的には毎日以下の取り組みを行っていました。

●当日学校で学習したサウンドの復習
(音を確認する事と、文字を書く練習を帰宅後させました)

●寝る前に必ずリーディングの実施
(1ページでもいいから毎日子どもに読ませるようにしていました)
(詳細は次回の記事で記載しますが、始めのうちはブレンディングという読み方で練習する必要があり、これが時間がかかるので慣れるまで親も辛かったです)

◆効果

練習が始まって1か月しないくらいで読めるサウンドが一定量溜まったのか、外出先で単語を見つけるとPhonics読みで読んでくれるなど興味をもつようになりました!

特にこちらが促したりしたわけではないので、かなり驚きました。

そしてこちらが大げさにリアクションするので、調子にのって、新しい単語を見つけるたびに教えてくれるようになっていきました。

また他のイギリス人のママたちもみんな褒めてくれるので、「興味をもつ→学校&家庭で新しいものを吸収する→アウトプットする(主に私にマウントをとっているだけですが笑)」といういいサイクルが生まれました!


その後reception(4-5才)でセット2、year1(5-6才)でセット3、year1(6才)の12月には仕上げのクラス(ブルー、グレーグループ)に入って学習を続けていました。

家庭で実践していたのは先にご紹介したnurseryの時に行っていたことを基本継続して続けるようにしていました。

時にはクイズ形式にしたりとなるべく子どもが楽しく継続できるよう、親も楽しむスタンスで接するように心がけていました。

もっと細かい気を付けていた点や工夫していた点は長くなるので、別の記事にまとめてご紹介していきます!

6.最後に

「Phonicsってなんだろう?」「やらなきゃいけないのかな?」という疑問に対して、私がイギリスで子どもと一緒にPhonicsを学ぶ際に得た知識、実践してきた事を簡単にですがご紹介しました。

イギリス人も幼いときから話す事自体はできますが、きちんと英語の基礎力を付けるために義務教育の2年間という貴重な時間を割いて正しい英語を子ども達に身につけさせています!

子どもの時間は限られているので、0才から英語を聞かせた方がいいかな?、高額なツールで頑張った方がいいかなと思われる方がいらっしゃると思いますが、焦らなくて大丈夫です。

4才からで十分に間に合いましたし、たまたまイギリスの学校には行っていますが、方法さえわかっていれば日本からいくらでもイギリスと同じ学習ツールにアクセスできます。
(理由は以前の記事でも記載した通り、イギリスの学校に教科書がないため、インターネットにある教材を学校でも使用しています。)

またおうちで子どもの学習をフォローしてあげたいという親のニーズを組んだ学習サイトもたくさん存在しています。

そのため高額なツールは買えないし、続けられるかもわからない、だから英語を学ばせるか迷っているという方はぜひ次回からご紹介する方法でセット1からお子さんと一緒にPhonicsに取り組んでみてください。

基本的にすべてインターネットから手に入るツールでやりくりできますので、お金をかけずイギリスの子ども達が学習している方法、教材で学ぶことが可能です!

そちらを次回は詳しくご紹介していきます!

ご両親の少しの努力がお子さんの将来に必ずつながっていきますので、ぜひ一緒にバイリンガル育児に前向きに取り組める仲間が増えるとうれしいです。

ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。

記事が良かったらぜひ「スキ」をお願いします!
とっても励みになります!

次回からは前述したとおりPhonicsの各段階の具体的な学習方法をご紹介していきます。まずはセット1からご紹介予定です。

無料で利用できるツールもご紹介していきますので、よかったら覗きにきてください。

いいなと思ったら応援しよう!