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【スタートアップ!占い師】#24 占い師の帳簿ってどうなってるの?⑦ 占い師の仕事別・インボイスとの関係とその対応の仕方マニュアル(R6.9.20追記・修正)

 占い師として活動をはじめて38日目。
 大事なことに気がついたさくらさん。そう、帳簿の付け方です。
 占い師は個人事業主なので、会計業務も自分で行わなければいけません。
 どこからお金が入ってきて、何に使っているのか。使ったお金は事業のために適切に使われているのか。それを明確化できるのが、帳簿です。
 どんぶり勘定だと、せっかくスタートさせた占いの事業も立ち行かなくなりますよ〜。

 今回は、占い師の帳簿のお話。
 最近始まった、「インボイス制度について」です。 

 インボイス制度は、一部の占い師の売上に大きな影響をうけます。
 売上に影響を受けない占い師でも、インボイス制度により、とりまく環境や生活が変わってしまいます。

 インボイス制度で、とりまく環境はどうなってしまうのか。占い師の仕事に与えるものとは。何をすればいいのか。お話していきます。

 占い師の仕事というよりは、個人事業主としてめちゃくちゃ重要なので、この帳簿の回は無料で公開しております。 


インボイス制度によって、占い師の帳簿はどうなる?

 インボイス制度については、前回お話しました。

 では、占い師の帳簿はどうなってしまうのでしょう。

 「小難しいことは聞きとうない!ただただ答えがわかっている、わかりやすいのがいいんだ!」という自分の勝手な思いから、インボイスとの関係とその対応の仕方をケースごとに書いていきます。

お仕事ケース別・インボイスとの関係とその対応の仕方マニュアル

 占い師の大半が免税事業者なので(課税事業者になれる売上1000万円もある占い師って、いくつもメディアに出ている人か、大口顧客や大企業の社長や富裕層の人を顧客に持っている占い師になります。ごくごく一部です)、個人事業で免税事業者の占い師のケースとして話していきます。

 占い師(自分)とお客さんや取引先別に当てはめると、こうなります。

鑑定する・鑑定書や占いグッズなどのモノを売る(料金は内税・外税どっちでも可)

・一般のお客さん(事業者が、一般のお客さんとして来た場合も含む)
……インボイスは関係ない。何の影響はない。占い師は、インボイス番号なしの普通の領収書を切れる。

・免税事業者(相手が事業の経費として計上する場合)
……インボイスは関係ない。売上は一応経費にできる。相手も免税者なので、消費税や仕入控除は関係ない。占い師は、インボイス番号なしの普通の請求書や領収書を切れる。

・課税事業者(相手が事業の経費として計上する場合)
……占い師側はインボイスは関係ない。相手にはインボイス関係あり。売上は経費にはできても、消費税分は仕入控除が使えない。それを承知の上で鑑定するかどうかを決めてもらう。占い師は、インボイス番号なしの普通の請求書や領収書を切れる。

※この3つは、個人鑑定でもイベント鑑定でも同じ。

 電話やメール鑑定、通信販売など、銀行振込をつかってお金のやりとりをした場合は、鑑定を依頼した相手が振込手数料を負担する場合が多い。
 銀行が、鑑定を依頼した相手側に振込手数料分のインボイスを発行するが、占い師側は関係なし。インボイスを貰う側の一般のお客さんや免税事業者も全く関係ないので、そのまま相手にインボイス入り明細書の取り扱いをまかせておく(捨てるなり保管するなりは相手の自由)。
 課税事業者のお客さんは、振込手数料のインボイスは自分の仕入税額控除に使える。

フリマサイト・ECサイト・オンライン決済を使って鑑定やグッズ販売などのお金のやりとりを行った場合

 鑑定などのお金のやりとりには、インボイスは関係ない。
 領収書を求められたら、インボイス番号なしの普通の領収書を切る。
 相手が課税事業者で、相手がやりとりを事業の経費として計上する場合は、消費税の仕入控除を使えない。それを承知の上で、取引を行うかどうかを決めてもらう。

 インボイス事業者登録をしておかない限り、サイトやサービス側のインボイスが発行されないものもある。サイトやサービスによって仕様が違うので、各々の確認が必要。
 (サイトがサービスがあまりにも多いので、私のほうでは調べられません)

 振込手数料もとられるが、こちらが銀行に払うべき手数料の先払いみたいな形になっているので、振込先の銀行からもインボイスは発行されない。
 その代わり、振込先の銀行がサイトやサービス会社側にインボイスを発行する。

イベント出店した場合

 イベントに来たお客様との関係と対応は「鑑定する・鑑定書や占いグッズなどのモノを売る」と同じ。
 
・イベント主催者が免税事業者で、出店料を現地で支払う場合
 ……お互いにインボイス関係なし。

・イベント主催者が課税事業者で、出店料を現地で支払う場合
 ……占い師側はインボイス関係なし。相手側は、出店料の消費税分の仕入控除を使えないので、こちらはインボイスが発行できないことを前もって伝えておく。

・イベント主催者が免税事業者で、出店料を銀行振込で支払う場合
(ほとんどが、出店者側が振込手数料を負担するので、振込手数料を負担した場合を書いていきます)
 ……免税事業者への支払い金額にはインボイス関係なし。
   支払い金額と振込に使う場所によって、銀行側のインボイスがもらえたり、もらえなかったり。
   ・銀行窓口→振込の際、銀行がこちらが負担した振り込み手数料分の
    インボイスを発行する。発行されたインボイスは書類として保存。
   ・ATM(で金額が3万円未満)→インボイス発行されないが、記帳の
    手数料の摘要に利用したATMの設置場所と銀行名・支店などを書
    く。

    
・イベント主催者が課税事業者で、出店料を銀行振込で支払う場合
(ほとんどが、出店者側が振込手数料を負担するので、振込手数料を負担した場合を書いていきます)
 ……占い師側はインボイス関係なし。相手側は、出店料の消費税分の仕入控除を使えないので、こちらはインボイスが発行できないことを前もって伝えておく
   支払い金額と振込に使う場所によって、銀行側のインボイスがもらえたり、もらえなかったり。
   ・銀行窓口→振込の際、銀行がこちらが負担した振り込み手数料分の
    インボイスを発行する。発行されたインボイスは書類として保存。
   ・ATM(で金額が3万円未満)→インボイス発行されないが、記帳の
    手数料の摘要に利用したATMの設置場所と銀行名・支店などを書
    く。

 イベント出店でもらう出店料の領収書は、インボイスがあろうがなかろうが、大事な経費の書類なのできちんともらっておく。このとき、免税事業者からはインボイスなしの領収書、課税事業者からはインボイス付きの領収書が発行される。

占い会社に所属して、会社を通じて鑑定した場合

 お客さんが会社に支払う鑑定料の消費税は、会社とお客さんのお金のやりとりなので、占い師は関係なし。

・会社が免税事業者
……会社からもらう鑑定報酬にはインボイス関係なし。会社からは、番号なしの支払通知書がもらえる。
  こちらが領収書を発行する場合は、インボイス番号なしの普通の領収書をきる。

・会社が課税事業者
……会社からもらう鑑定報酬に消費税が入るかどうかは、お互い相談の上決める(会社側が消費税分、払い損になってしまうため)。会社からはインボイスありの支払通知書がもらえる。
 こちらが領収書を発行する場合は、インボイス番号なしの普通の領収書をきる。

 鑑定報酬の振込の際、銀行から占い師にはインボイスは発行されない。
(銀行の手数料が占い師負担になれば、銀行手数料を差し引かれた分の鑑定報酬が占い師に支払われるし、会社負担の場合だと鑑定報酬に手数料をプラスした金額で振込を行うから)

占い会社に所属して、会社に原稿を納品した場合

・会社が免税事業者
……お互いにインボイス関係なし、会社からは番号なしの請求書がもらえる。
  こちらが領収書を発行する場合は、番号なしの普通の領収書をきる。

・会社が課税事業者
……インボイス関係あり。鑑定料の支払いに消費税が入るかどうかは、お互い相談の上決める(会社側が消費税分、払い損になってしまうため)。インボイスありの請求書がもらえる。
 こちらが領収書を発行する場合は、インボイス番号なしの普通の領収書をきる。

 報酬の振込の際、銀行から占い師にはインボイスは発行されない。
(銀行の手数料が占い師負担になれば、銀行手数料を差し引かれた分の鑑定報酬が占い師に支払われるし、会社負担の場合だと鑑定報酬に手数料をプラスした金額で振込を行うから)

 ちなみに、同じ税でも源泉徴収税は全くの無関係。消費税の問題なので。引き続き、原稿料にプラスされる。

仕事のためにものを買ったりサービスを受けた場合、免税事業者を選んだ占い師はどうすりゃいいの?

 今までは、こちらがお仕事で相手とやりとりをした場合を書いていきました。
 では、物品を買ったり仕入れたり、何らかのサービスを外注するなど、こちらがお仕事のためにお金のやりとりをした場合、どのように対応していけばいいのでしょうか。

 自分が個人事業で免税事業者の場合、対応はインボイス前とほぼ変わりません。相手が免税事業者であれ課税事業者であれ、従来どおり、レシートや領収書をもらい、記帳し、紙なら紙・データならデータでそれぞれ保管します。

 お金のやりとりから帳簿までの流れは、インボイスのレシートや領収書、利用明細、請求書も従来どおりで変わりません。課税事業者から買ったものやサービスを受けたものは、普通に経費にできます。
 経理上は何も変わりません。
 違うのは、課税事業者からもらったレシートや領収書、利用明細、請求書、領収書=インボイスの取り扱い方、です。
 課税事業者からもらうのは、ただのレシートや領収書、利用明細、請求書ではありません。


 前回、インボイスの話でこのような話をしました。

 このインボイスを発行していれば、課税者は「ちゃんと課税してますよ」「納税してますよ」という証拠を残すことができるのです。

#22より

 課税事業者は、インボイス発行が義務となっています。
 インボイスを発行した側は、インボイスを発行した記録を残していますが、相手にきちんと渡った確証はないわけです。
 じゃあ、この「ちゃんと課税してますよ」「納税してますよ」の証拠は誰が持っているのか? それは、課税事業者がお金のやりとりをした相手です。
 
 相手が課税事業者なら課税事業者が、免税事業者なら免税事業者が、占い師として活動している自分なら自分が、インボイスを発行した課税事業者の納税の証拠を持っているのです。

 ですので、その「納税の証拠」を大事に取り扱わないといけない、というのがインボイス制度のルールにあるのです。インボイス付きのレシートや領収書は下手になくせません。

 例えば、税込1万円以上の商品やサービスの返品や値引きをしてしてもらう場合は、課税事業者に「適格返還請求書」というものを発行してもらわないといけません。ただ返金や値引きをするわけにはいかず、面倒な手続きが間に挟まってきます。そのインボイスのルールのために……。

 また、課税事業者とお金のやりとりをしたとき、目に見える形でインボイスが発行されたのならいいのですが、目に見えない場合やわかりづらい場合、場所が特定できない場合は、自分からインボイスの利用明細を取りに行ったり、帳簿の摘要にインボイスの発行場所を書いたりしなければいけません。
 
   その例として。

・高速道路のETC
 ETCの利用明細サービスから利用証明書(高速道路会社が発行するインボイス)をダウンロードし、なおかつクレカの利用明細とクレカの領収書(クレカ会社によって高速道路料を支払ったことを証明するもの)をとっておく
→クレカの明細のみでOK。

・コインパーキングやセルフレジ
 簡易インボイス(レシート)をとっておく

・自販機で買ったもの(3万円未満)の商品代、コインロッカーの使用料、コインランドリーの使用料、銀行やコンビニのATMの振込手数料
 取引年月日、場所、金額、買ったものなどの取引の概要、銀行名や支店名を帳簿の摘要に書いておく
→取引年月日、金額、買ったものなどの取引の概要、銀行名や支店名を帳簿の摘要に書いておく(住所や所在地は書かなくていい)

・自動券売機を使わないで利用した、バス・船舶・鉄道の公共交通機関(3万円未満)
 取引年月日、公共交通機関の名称、場所、使った金額を帳簿の摘要に書いておく
→取引年月日、公共交通機関の名称、使った金額を帳簿の摘要に書いておく(住所や所在地は書かなくていい)

・郵便物
 切手やレターパック等の買った場所のレシート(郵便局やコンビニの簡易インボイス)をとっておく

 本来は、仕入税額控除がないんだから免税事業者はここまでしなくてもいいのです。

 ですが、もし。お金のやりとりをしていた課税事業者が脱税などの不正を起こしてしまい、インボイス発行の足取りを追ってあなたのところに税務署がやってきたら。そのときに、「インボイスのレシートなくしたんで、出金伝票で済ませましたテヘペロ」なんてことになってしまったら。
 精査の上で経費と認められない可能性もあり、課税事業者だけじゃなく、あなたまで疑われてしまうハメになります。

 免税事業者であれど、インボイスには注意深くならなければいけないのです。

おまけ。少額特例・期間限定の話

 令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間、「少額特例」が設けられます。これは免税・インボイス事業者に限らず、1万円未満の仕入れ・経費に仕入税額控除が適用されます。課税者側は、この特例で「1回の取引あたり税込み1万円未満の消費税」の負担が軽くなるのです。

 前回書きましたが、仕入税額控除というのは「お客さんや取引先から預かった金額から、取引先などの外に支払った消費税を差し引いて、納税する額を決める控除のこと」なので、本来消費税を納税しない免税事業者側は、経費の伝票作成も仕訳も、すべて消費税込みで計上しますし、結果的に全く関係ありません。

 もし関係があるとすれば、課税事業者の占い会社の委託業務を受けている占い師や、課税事業者と取引のある占い師。今後の仕事に関係してきます。
 あまり消費税を払い損にならない「少額特例」のうちは取引や契約を行っていても、特例の期間が終わったら取引や契約が終了してしまうかもしれませんし。少額特例の範囲内になるべくおさめるべく、1回1万円未満の鑑定やイベント出演、占い講座、1本1万円未満の原稿料をお願いされる場合も出てきてしまうかもしれません。

 めったにないかもしれませんが、一応頭に留めておいたほうがいいかもしれませんね。

 インボイスのお話はこれで終わりです。

うん、まぁ、一旦それでいいと思う

 このインボイス制度も電子帳簿保存法も、国の増税や税収の把握のために行っているものなので、国の情勢が変われば法律も変化するかもしれません。個人的には、増税どころか消費税撤廃して、国民を豊かにする方向に舵を切って欲しいのですが……。
 今は国の動きを静観しつつ、事業者としてできるだけのことをやるしかないのかな、と思います。

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