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言の葉の庭/電話よりLINEのほうが落ち着く/まだ若いんやから

 アニメ映画『言の葉の庭』を何年かぶりに観た。前に観た時とはぜんぜん違う感想やったし、おんなじ映画を2回連続で観る、ひとつ観終わった後にノータイムで全くおんなじ映画をまた観る、てのは初めての経験で、しかもぜんぜん苦じゃなくて、自分でもびっくりした。この作品は小説版も最高に面白かったけど、今は「アニメ観るの楽しい期」と「絵ぇ描くん楽しいかもしれん期」が同時に来とるから、再読するんはまだ当分先になりそう。



 小学生とか中高生が活躍するアニメを観とる時、20歳になってすぐの頃は「俺はもうこの頃には戻れんのやなぁ」とか思とったけど、ここ2年ぐらいで急に「俺がこの子らの成長を見守らなあかんのや」みたいな、謎の使命感みたいなんが湧いてきて、甥っ子とか姪っ子がおったらこんな感じなんかなぁて思う。後方腕組みおじさん。
『花咲くいろは』はいいぞ。『たまこまーけっと』はいいぞ。


 本を読んだり 絵を描いたり アニメを観たりするのが好きなんは、外から何かしらの形で 自分の中にはない予想外の刺激を受けてびっくりしとる自分の頭の中を、自分のペースで、ゆっくり時間をかけて考えながら整理できるからやと思った。


 パートのおばちゃんによく言われる「まだ若いんやから」、あれはほんまに恐ろしい言葉で、言う人と言われる人とで「若い」の基準がぜんぜん違うから、言われた人は反応に困って愛想笑いをするしかないし、言うた人も……いや言う側になったことがまだないから、これは何とも言えんな。
 でも間違いなく「言われても嬉しくない言葉リスト」の中に入っとるから、俺も言わん。
「さすがやな」「真面目やな」「まだ若いんやから」……あと何があるかな。こういうのってだいたい後から出てくる。いろんな例を出されて初めて「あ〜ほんまやそれもあったわ」てなる。でもこれは「言われても全然うれしくない言葉」を改めて確認するだけやから全然うれしくないけど。

 自分以外の人から見た自分の評価は どこまで素直に受け取ったらええんやろか。なんとなく「いやそんなことないですよ〜」とかは迂闊に言わんほうがええ気がするから反射的に「ありがとうございます」とか「初めて言われました」とかが出てきたりするけど。
 謙虚と謙遜の違いは?卑屈との境目はどこにあるんやろう。


 二十七歳の私は、十五歳の頃の私よりすこしも賢くない。

(新海 誠『小説 言の葉の庭』第五話より)


 やりたいことがいっぱいあって、行ってみたい場所もいっぱいあって、そのためにはお金が必要で、どうしてもやらなあかんことが何個かあって、机の上には読みかけの本が何冊もほったらかしで、「めんどくさい」て思うことがなかったら、「人が怖い」「失敗するのが怖い」て思うことがなかったら、もっと楽に生きれるのになぁ……とか子どもみたいなことをずっと考えとる26歳がここにもひとりおるんで、安心してください。


 今年もなんか知らん間に半年経っとるし、またすぐ夏が来て年末が来てまた年が明けるんやろな……マジで知らん間に30歳になってそう。


 みんなが当たり前にやっとるようなことをみんなとおんなじようにやっていけとる人を尊敬する。


「不安やなぁ」「怖いなぁ」て思いながら先に進み続けとる人を尊敬する。ほんまにすごいと思う。

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