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メンヘラの薬物体験談を聞く。
早苗さんと話す機会が増え、ある飲み会の後、二次会のメンバーでオールすることになった。
飲み会の後の流れで残ったメンバーだ。
残ったのはそんなに仲が良いメンバーではなかったが、女子会ノリで盛り上がった。
そこに来ていた元キャバ嬢の同業者R子さんの話の盛り上げ方がうまいのだ。
「今まで男とどこで、どこまでヤった?」
下ネタが苦手な人向けに遠まわしに書くが、そういう方面の話などで盛り上がり、酒の力もありついつい下ネタ女子トークにも花が咲く。
さらに、R子さんの盛り上げは続く。
「今までやった一番やばいエッチは?」
みんな口ごもるが、普段はあまり酒を飲まない早苗さんのトークネタはキメセクだった。
MDMAのデザイナーズドラッグでのHの感想を熱く熱弁する早苗さん。
「デザイナーズだから、違法なものじゃないよ」
と前置きしながら、キメセクのよさを語る早苗さん。一人が耐えきれず席を立った。後々聞いた話によると「ついていけない」と思ったらしい。
早苗さんの怒涛の話は続く。
「MDMAはねえ、すごいの。もう、世界中がね!ラブ!!!!って感じになるんだよ!」
早苗さんの目つきが変わっている。
薬物依存症の人が薬物について語る時、目が恍惚としているということはないだろうか。そんな感じだった。
他にも違法薬物の話を早口で続ける早苗さん。
現在は足を洗っているらしいが、早苗さんはバキバキのジャンキーだったらしい。
はじめてみました。元ジャンキー。
マジックマッシュルーム、お薬系のアングラな掲示板で購入したリタリンをスニッフ、合法ハーブは口から入れると気持ち悪くなって吐いちゃうから、もったいないから尻からシリンジで入れるんだ、そういう話のオンパレード。
さすがにいきすぎでは?という内容だったが、R子さんも大麻の経験があるらしく、話をうまく引き出していく。
「尻から入れるって相当なジャンキーじゃん」
笑って入るがR子さんも若干引いている。
私も引いていた。
だが、二人の薬の体験は過去のことということで、特に強く非難したり、蒸し返したり掘り返すこともしなかった。
私は全くそういう経験がないから、物珍しさで聞いていた。
2人は、ご自身によると、今は更生しているという話だった。
その日のことは忘れようと言う話になり、しばらくはそうしていた。
しかし、早苗さんのズタズタの手首、短パン一枚になった時に見せたザクザクの足の記憶と照らし合わせるとなかなかくるものがある。
こちらが想像した以上に早苗さんの闇は深いものだった。
後々、半同居状態になって彼女が「尻からサプリメントを決める様子」をドア越しに知ることになるのだから。
こういった数多くの伏線をスルーしてしまった私にも問題がある。
きっと、人の悪い面をみないようにしていたのだ。いい面ばかりみていてはその人のことを知ることは出来ない。悪い面ばかり見ていてもいけない。
人間は多面的な生き物なんだから。
その数カ月後、私は仕事の関係で小さな作業場を都心に借りる。
それが早苗さんと深く付き合うことになるきっかけとなったのだ。
続く
サクラナミキレン