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スケジュール帳の空白。そこには。
ぎっしり。ばっちり。
私のスケジュール帳はいつも、たくさんの用事でにぎやかでした。
少しの隙間時間があるのならば、新しい予定を入れたり、アルバイトをしたり。「顔を出す」「足を運ぶ」たまに駆け足になりながらも、多くの交流や経験を楽しんでいました。早め早めの行動は、生徒会の習慣。いろんなことを全部全力で。そんな日々が、わたしの好きな日常でした。
そのような私が、1年間、新しい“ほーむ”として身を置いたのが、ハンガリー。自然が、人の時間を操っているような、ゆったりとした時の流れる国でした。
朝日が上がると、人々は動き出し、夕方になれば、ドナウ川沿いに、人がひとり、またひとり、、と、集まってきます。おじいさんが読書をしていたり、若い学生の集団がスーパーのパンをかじりながら談笑していたり。観光客はのんびりと散歩をし、鳩も堂々と歩いています。陽気な音楽は、ベンチに座っているおじいさんのスマホから。辺りが暗くなれば、カフェやバーに明かりが灯り、おしゃれでかっこいいDinerのはじまりです。
はじめて英語でのプレゼンテーションが上手くできた日、たくさんの課題に負けそうになった日、トラムを降りて街を歩き、素敵な景色と空気をめいいっぱい感じ取りました。
次の予定への手段でしかなかった「歩く」こと。いつしか、景色を楽しむ目的となりました。
「Hi~😊」と、いつも遅れて登場するお友達。当たり前のように、遅れてくる子たちをのんびりと待つ友達。夕日が出るくらいに集合しようーと、なんともざっくりな予定。「解散時間」を決めたことは一度もなかった気がします。各々のタイミングで、集まってきて、各々のタイミングでSzia~(ハンガリー語で”またね”)と帰っていく。そんな日々はなんだか心地が良くて、少し遠回りをして帰ったりしました。
留学から帰国して2か月がたった今、私のスケジュール帳には空白がたくさんあります。アルバイトを、サークル活動を、友達とのご飯を詰め込めるはずの空白。分かっていても、空白のままです。
でも、私の時間は、空白ではありません。
学内で久しぶりにあった先輩とちょっと長話しをしたり、
取らなくてもいいアンケートを取って課題の質を高めたり、
栄養補充の担当であった食事は、彩どりやほっと一休みする時間になりました。
そうしたら、
空の色の変化にも、課題の楽しさにも、雑談の中にある輝きにも気がつくようになりました。
スケジュール帳の空白。それはわたしの成長のとびらです。
2024.10.26 Rara