糸瓜
お料理屋さんでは食べる機会も多い糸瓜だが、フレッシュ糸瓜を見たのは初めてのことだった。
先日からあしげく通っている山を少し下ると、道端に簡易な屋根をつけた小屋をみつけた。間引き菜や大根などその日採れたものをほんの少しづつ並んでいるのが微笑ましかった。
山に盛った間引き菜を幾ら?と、椅子に腰かけていた老女に聞くと50円との返事が返ってきた。糸瓜を聞くと200円、柿は一山200円、大根一本100円。千円も買えば山のような野菜で溢れた。
「これだけください!」
レジらしきところ(もちろんレジスターはない)まで持って行くと
「座ったまんまで悪いけど・・・そこの新聞紙に包んで持ってって・・・」
人懐っこい老女はニコリと笑う。
「お釣りはカゴの中から取ってんか、悪いねぇ・・・」
糸瓜を煮ながら、腰を曲げちょこんと座っていた彼女の姿を思い出していた。来週、もう一度山に行くけれど、また立ち寄ってみようかな。
やわらかく煮て、吉野葛のあんかけにしてみる。箸でつまむと、糸のごとくほろりとほどけた。
***
2007年11月10日記