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駐妻的にバッタ先生から学ぶ事は多い。

前野ウルド浩太郎さんというバッタを研究されている方がいる。本がすごく売れているのでご存知の方も多いかと思う。
子供の頃からバッタが大好きで昆虫学者になる事を夢見て、そして実際に昆虫学者になられた方である。子供の頃の夢をあきらめずに頑張って実現させたという、大人が子供に望む姿を体現されているような人なので、おそらく夢を持つことの大切さみたいな講演依頼が大量に来ている事は間違いないだろう。
さて、何故に駐妻がバッタの研究をされている先生から学ぶ事が多いかというと、この方はバッタの研究のためにアフリカに行き、言葉もわからない、文化もわからないというようなアウェイな地で、生活し、適応していったという経験の持ち主だからだ。ありがたいことに駐妻のためにその経験を本にまとめてくれている。正確に書くと、もちろん駐妻のためにまとめてくれている訳ではないし、本の内容もバッタの研究の事が中心で、異国の地での生活についての部分はそのおまけなのだが、駐妻的にはそこから学ぶ事が多い。
前野さんは偏見などにより、人をラベリングすることなく、敬意を持って人と接する事が出来る。(と私は本を読んで感じた)それってけっこう難しい。今までの人生で得た知識が邪魔して、ついつい偏見を持ってしまうという事が多々ある。偏見を持たないようにしようとすごく意識しているつもりなのに、ついやってしまうのだ。
他文化をそのまま受け入れる力もすごく高いと思った。例えば皆が煮込み料理を手で食べているのを見た時、普段手で食べていない身からすると汚れるから嫌だなと思ってしまうのが普通だが、彼はそんな事考えずに(もしかしたら脳裏をよぎっているかもしれないが)自然に皆と同じように手で食べて、そしてそれを非常にポジティブに捉える事が出来る。そして、彼はそのコミュニティに好意的に受け入れられる。良い連鎖が起きるのだ。アフリカでご馳走とされているヤギまるごと一頭をスタッフ達に差し入れするという場面が何度か出てくる。生きたヤギをスタッフがその場で捌いて、そして皆で食べる事で士気があがるとの事だが・・・リアルに想像すると私には絶対できそうもなく、本当に適応力半端ないなと思った。虫は平気なので、バッタの唐揚げなどなら私も皆と和気あいあいと食べる事ができるかもしれないが、ヤギはきつい。もしかしたら、前野さんはバッタは勿体なくて食べられないかもしれないので、ヤギじゃなくてバッタがご馳走だったとしたら、私の方が適応できるという説もある。いや、もちろんないです。
ちなみに、バッタについての研究内容も非常に興味深かった。バッタの生態などって普段の生活では全く考えない事なので、ごちゃごちゃとリアルな事を考えすぎて頭がパンク気味の時のエスケープ先としてもおすすめの本である。

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