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薔薇と母
菫は笑まいさざめきて星々の高き光を打ち見上げ薔薇はひそかに物語る、。-ハイネ -
愛を語るハイネの言葉から
亡母を想う。
薔薇のポプリ
子どもの頃、横浜の高台にある家には白い木の柵と玄関アーチ、それを這うピンクの蔓薔薇が咲いていました。母は花びらが散ると籠に集めて日向に干して可愛い袋に詰めて肌着ダンスにいれてくれました。この可愛い袋は私が着れなくなった小花模様のワンピースの布で作った小さな巾着。引き出しをあけるといつもフワッと薔薇が香ったものでした。
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薔薇の砂糖菓子
当時は薔薇の虫駆除は香辛料みたいなもの?を使っていたから花びらは食用できたようです。母の花びらで作った薔薇の砂糖菓子は、エリザベートのすみれの砂糖菓子にも負けていなかった。まだ、おしゃれなお菓子のなかった頃。紅茶に浮かべてくれたのも嬉しかった。紅茶だったか、砂糖入りの麦茶だったかは定かではないけれど。
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薔薇の記憶
縁側いっぱいに並んだ花びらの中で妹とスピッツのローリーとお日様を浴びていた光景が目に浮かぶ。スピッツのローリーは当時私のお気に入りだった若草物語に登場するローリーからつけた名前でした。
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母の薔薇講釈
母は何かと薔薇を買ってきて家に飾っていました。薔薇は一輪でも部屋が華やかになるねとよく言っていました。薔薇は棘があるから嫌いという人もいるけど、棘があるから薔薇でしょ。棘があるから美しさをたもてるのよ、なんて母なりの講釈をよくしていたものです。ストレートで飾り言葉のない人でした。華奢で美しい人でしたが、
晩年は病気で容姿も心身も衰え、人前に出ることをせず、絵や書に浸っていました。
母の葬儀には妹と抱えきれないほどの薔薇でおくりました。
今朝は不思議と母を思い出します。