万葉の恋 第17夜
2016.2.3
「先輩、」
今日も豪快な寝ぐせだな・・
「何?」
「三上さんとケンカしたんですか?」
「なんで?」
「いや、なんとなく」
「してないわよ」
「・・・。」
「何?」
「ん~、僕、こういうの
あんまり外した事ないんだけどな」
「・・・何を?」
「三上さんが、先輩の前で笑ってない。」
そんなことはない。
笑って話してる。
今までどおりだ。
仕事も、してる
何事もなかったかのように
・・時間を巻き戻したくて
「で・・・先輩も三上さんの前で
笑ってない。」
・・・・・。
この子は、三上の事を
1度も避けた事はない。
彼の事を知ってからも
「三上さんは、三上さんでしょ」
と当たり前のように言った。
昔と変わらない綺麗な目をしていた。
まかせていいかな・・。
「そうね、隠してもしょうがないわね」
自分が言った事が当たっていたと
勝ち誇ったように笑う後輩に言った。
「私がいなくなるから、三上拗ねてるのよ」
「・・は?」
後輩の声ではない。
いつのまにか彼が後ろに立っていた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?