結果が出せる人が偉いのか

今まで3つの会社で仕事をしてきたけど、やっぱり月末は皆、ピリピリ、イライラしている。売上の締め日である事はもちろん、請求にミスがないかとか、書類は適切に作成されているか、とか……
もちろん電話も鳴り止まず、てんてこ舞いで働くサラリーマンも多いのではないだろうか??僕もそんな端くれである。

不思議な事に、3つ経験したどの会社でも、どの部署やチームでも、エース社員とか、意識高い系とか、ちょっと残念な人みたいに、チームのキャラクターというか、立ち位置みたいなのがあるもので、今日はそんな人達の話。

僕たちのチームは全国支店で見ても中の中だ。例外なくエース社員が居て、ちょっと頑張っている人がいて、要領のいい人も、そつなくこなす人も少し残念な人も、ずる賢い人もいる。

うちのエース社員はキャリアウーマン型で、貰った仕事は絶対に結果を出しに行くし、社内外での評判も良く絶対的な存在だ。仮にAさんとしよう。
Aさんは仕事が出来すぎる為か、少し残念な人とコンビを組む事が多い。
今回のパートナーはBちゃん。
Bちゃんは、ちょっと鈍臭くて、細々した所で抜けちゃうタイプ。でも一生懸命仕事に取り組むから、社内では可愛い奴との立ち位置を取っている。きっと140㎝くらいの身長も彼女を愛くるしく魅せているのだろう。

しかし、事件は起こる。それは先週、土曜日の事。
Bちゃんが大切なアポに30分遅刻してしまったのだ!!
シビアな案件だったから上司のAさんにクレームが入る。
Aさんはこの一年をかけて信頼に信頼を重ねてコツコツ作り上げていた案件だったから、逆鱗に触れてしまう。

間近で見る事になってしまったが、ここまでコテンパンな叱責は一年に一度あるかどうか……

俯くBちゃん、10分ほど経っただろうか、最後にBちゃんと僕に一言「ごめんね」と伝えて去るAさん、僕はBちゃんに何も声を掛けられぬまま、無言でその場を去る。

そして週が明け、月曜日。何事もなかったかのように朝を迎える。皆んな大人だから週末の事には特に触れず、夕方を迎える。

僕は時計を見ながら、もうすぐ定時だし、今日は焼酎の気分かなとか考えていたら、少し離れた所からAさんの悲鳴が聞こえる!!
あまりに大きな悲鳴にたまらず駆けつけると、扉に寄りかかるAさん、その視線の先にはBちゃん。
僕がどうしたの??と尋ねると
「虫!!Bちゃんが素手で!!」
Aさんの声は震えていた。
どうやら部屋に、手のひら大で原付くらいのスピードで動く虫が出たらしい。
Aさんは虫が大の苦手で悲鳴をあげたところ、Bちゃんが躊躇なく素手で叩き潰したのだ。

まるで土曜日とは真逆の光景だった……


先日、進撃のノアさん著の好かれる力を読んだ。進撃のノアさんは元北新地のキャバ嬢で23歳にして年収2億円を稼ぐ成功者だ。夜の世界の掟やルールはよく知らないけど、固定給のサラリーマンと違い、時給はあるけど、稼ぎの多くは歩合に頼るらしい。

ノアさんの接客ポリシーはみんなに好かれるNo. 1になる事。競争の激しい新地のキャバ嬢なのに、感謝の気持ちでヘルプに付いてくれたキャストに売り上げの1部をツケてあげたり。みんながハッピーで働ければ私もハッピーという考え方。売り上げを独り占めする事もできるけど、あくまでお店というチームで戦う事を大切にしているエースの姿勢はとても感動した。

Aさんはエース社員で売り上げを引っ張る役割があると思うけど、Bちゃんが居なくては虫が怖くて本来のポテンシャルが発揮できない。
Aさんは鈍臭いBちゃんが少しでも要領よく仕事がこなせるようにアドバイスする。

サラリーマンには色々な立ち位置がある。生活残業を必死で頑張る人、定時ダッシュに命をかけている人、優しさのあまり、みんなのサンドバッグになっている人。

たくさん悩む事はあるけど、やっぱり一人ひとりがチームになくてはならない存在なんだなって思った月曜日だったな。

つづく

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