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2023 よかったクイズ
コロナ禍が明けたという認識をしているひとが多くなり、有志による競技クイズの機会もどっと増えた2023年だったのではないでしょうか。
今年、自分はさまざまなクイズ大会に参加したり、さまざまなクイズ番組を見たりしました。供給があるというのはありがたいもので、少しでもお返しできるようにと、前半1月~6月はずっと「IRODORI ONSTAGE」という大会準備に費やしていた年でもありました。問題や大会をつくると、ほかのクイズのよいところも見えてくるものですね。
ということで今年の「よかったクイズ」は、クイズ問題というよりはシーンやデザイン、設計などに視野を移したうえで5つ+5つピックアップしました。競技クイズのほかテレビ番組も含んでいます(除:謎解きに特化したコンテンツ。これは後の機会に書きたい)。
もう、めちゃくちゃ個人の話なので、無視したりしなかったりしてください。取り上げられなかったものが悪いわけではないです、これ当たり前ね。
五味サ大会:あつまれ! スタッフも楽しい真剣勝負
スタッフのひとりと話したところ、「スタッフも楽しめるように」という設計思想があったとのこと。「好き」を問題文にして出題する主催陣と、同窓会のような趣の組もあったチームたちがぶつかり合う、素敵な1日だった。その1日を締めくくれるようにと、1チーム「4人」に込められた「終わったあと飲食店に入りやすい人数」というアイデアも白眉。個人的には、部屋別で行われた際にスタッフの方々がしっかりと挨拶をくださったのが印象的。楽しんでいたんだろう。
箸棒/箸棒2:これぞ「日本一」のクイズグラフィック
「おそらく日本一グラフィックに力を入れているクイズ大会」が放つエントリーカードに得点表示は、今年の競技クイズを語るに欠かせないのでは。各地で「いい問題」がけっこう多くのひとによって供されつつあるなか、次にあらゆる参加者を集めるには・楽しませるにはどうしたらいいのか? という課題に対するひとつの答えがこれなのかも。もちろん表層だけでなく、144人全員が3回の早押しクイズを楽しめる骨格設計(箸棒2)まで余念がない。
#箸棒2 はおそらく日本一グラフィックに力を入れているクイズ大会です。
— 箸棒運営 (@Hashibou_Quiz) September 29, 2023
byグラフィック担当 pic.twitter.com/pTe9Jq7AcQ
パネルクイズ アタック100:根っからクイズを愛するひとたち
大晦日から1月2日まで「アタック25」を放送するというとんでもない編成のラストを飾った番組。ポイントは「アタック36」→「64」→「100」という三段階がサプライズで仕掛けられたこと。一般人相手に重すぎないか? という懸念を払拭させたのが、東京大学・京都大学・早稲田大学・お茶の水女子大学の「クイズ研究会」という人選。ヘビーな収録のさなかに「クイズができて嬉しい」という発言が引き出されたとき、見ているこちらも嬉しかった。
an Episode:混ざったり、混ざらなかったり
「問題集はほとんど出していない(けれど、いい問題を作る)」スタッフが中心となり、これまで共にクイズをすることすらなかった人たちが一丸となって問題群を編む
あまり見たことのないコンセプトの大会は、集結した11人がそれぞれに問題を提出し、それぞれの意思を尊重する形で「ひとつの問題群」が構成されたそう。この大会は参加していて、事前に公開された作問者を押し出すユニットクイズ(そんな括りはないが……)にありがちな「○○さんの問題だけは合う」というような考えがあまり浮かばなかった。それぞれの特徴を見せつつも、勝負として楽しめるひとつのセットが組まれたのは発起人のパワーあってのことでは。そんな問題群の特色を象徴するかのような優勝賞品もかなり印象的。
PoC -west-/-east-:東西開催に体験会…数々の実験が成功
「参加権をかけたペーパークイズ」「東西開催」「ガイドブックの公開」なども特筆すべきこの大会は、「早押し体験会」の実施が良かった。広がるクイズの認知とそれに伴うさまざまなニーズに対し、「参加(=成績が可視化されてしまう)か見学かの2択の『解除』」に挑むことで応えたのでは。かつ「社会人短文」という"「人が人生の中で触れうる」ことを優先度に取り入れて"選定された問題群は、初めて/ごく最近から早押しボタンを持つひとにとっても馴染みやすかったと考える。
ほかには……
謎解きとロケを組み合わせる荒業を仕掛けた「今夜はナゾトレ」、意外と面白い。まだまだメジャーではなかった「問題表示への『ひとこと』」を一気に輝かせた「WidowMaker 2023」は来年も悪意と原点の抉り方が楽しみ。ボード問題150問以上の「mQ'23」はもっと広まってほしい形式。大宮ソニックシティが会場の「abc the21st/EQIDEN2023」は「ハコをめちゃくちゃデカくすると、どうなる?」という実験を見ているよう。そして「『3年B組金八先生』オープニング映像の人数」という問題に対する射幸心煽りまくりな正解発表映像でクイズの遊び方の新地平を見た「オールスター感謝祭'23秋」はこの1問がただただすごかった!
2024年もいろんなクイズに会いに行こうと思います。
来年もよいクイズがありますように。
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