見出し画像

手は毎日洗って大事にしろ

別にこのウイルスだらけの状況を指して言っているわけではない。感覚や機能のことであって、そんな風刺をするわけではないので、これを読まれる方は安心して欲しい。


木曜日の夜、ピアニストである清塚さんが出ている番組を視聴しており、シンプルに面白く楽しいと思った。というのも、私は小さい頃から音楽が好きで、小学校卒業直前までピアノを習っていたからだ。技量こそ無かったかもしれないが、ピアノを弾くことだけでなく、歌もダンスも好きだったー今もそうである。一人部屋にいる時はしょっちゅう歌うし、覚えたダンスもいくつかある。

その夜の番組を見終えて、母と音楽の話になり、その時「大好きな曲を弾くためならピアノをやってみたい」と言っていた。数年前ふとまたピアノを触りたい欲がぶり返し、安いキーボードを購入していたのは知っていたので、それで弾けないだろうか?と盛りあがった。自分もその曲は好きだし弾けたらいいなとは思っていたので、寝る前にキーボードを引っ張り出し、Youtubeで楽譜付きのものを探し出して、見よう見まねでやり始めた。

やっていたのは約8年、当然習いたての頃のことなど全く覚えていない。楽譜の読み方、鍵盤の叩き方、ペダルの機能など、基礎は一通りやったことだろう。

技量こそ失ってしまったが、全て覚えていた。楽譜を見て、これはこの音だ、伸ばし方やテンポはこの位だと。そう難しい曲では無くむしろ易しめの曲だったが、左手と右手が自分の思い描いた通りに、別々の動きをしてくれた。そのまま出来るところまで、ゆっくりではあるが、8小節分まで弾き進めた。

感覚が戻ってきたというよりかは、その感覚を体がしっかり覚えていたみたいだ。たどたどしいにしても、ちゃんとした鍵盤のあるピアノで全部弾けたら、どれだけ気持ちいいだろうと思った。

自分が何故やめたがったのかは、自分でも覚えていない。だが音楽に関わる楽しさとそこへの情熱は、その手が覚えていてくれたのだろう。

私の経験談になってしまうが、芝居もそうである。数年間手付かずでも、壇上やその場に立った瞬間、私は「役者」に化け、普段見せないような顔や動きを一瞬も躊躇うことなく見せる。ピアノの場合は手が、ブラインドタッチの場合も手が、ドイツ語の読み方なら口が。


小さい頃、誰しもペンや箸の握り方、文字の書き方、現在ではタイピングも教わると思う。よっぽどのことがない限りそれは忘れないだろうし、また指一本でも失えば、それらは途端に難しくなるだろう。ピアノは5本の指をフルに動かして扱うものだから、何よりも大事にしなければいけない。

人間としての営みなんて言うつもりはないが、自分が覚えていることをずっと留めておきたいのであれば、手は失ってはならないものである、と強く思う。


だから毎日手洗いは忘れず、ぞんざいに扱うことがないように気をつけていたい。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


ちなみに例の曲がこちら。


サポートしていただけましたら大変光栄です。お代は大切に使わせていただきます。