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志望動機をつくるとき、数学の証明の構造を真似ると説得力が増す、という気づき

最近5ヶ月続いた就活を終えました、Yadokkunです。
今回は就活について、特に「志望動機」なるものをつくるときに、就活生に見てほしいアドバイスを書きたいと思います。

ちょっぴり近況報告:私が住んでいるカリフォルニアは今、絶賛「布団干し季節(もれなく花粉がついてくる!)」です。枕と羽布団(日本から圧縮してもってきたやつ)を、部屋の窓や庭で干して、ふわふわの寝具で寝ることが幸せです。しかし、目に見えるくらい花粉が飛び散っているので、花粉とふわふわ布団のシビアなトレードオフに直面しています。


就活に話を戻します。

就活体験記をかいつまんで話すと…


海外大学在学の学生には、経団連の決まり(解禁日など)が適応されないので、私は2021年9月~2022年1月の期間、留学生用のプラットフォームを使って、2023年卒4月入社の枠で総合商社と日系大手から内定をもらいました。

正直、就活中は、ワンキャリアや外資就活で公開されている就活アドバイスや、他人のES、志望動機などを読むのがとても苦手でした。他人の成功体験を目にするたびに、「私は中身のない薄っぺらでダメな人間だ、もっと○○(インターン、バイト、サークル、リーダシップ経験 etc.)しとけばよかった、どうしようこのままじゃ絶対受からない!」って焦って、自己嫌悪のスパイラルに陥りました。

それでも、たまたま同じ修士課程の同期に、入学前から大手商社に内定をもらっているという強者日本人がいたので、彼女にESや志望動機を添削してもらったり、彼女の知り合いの内定者から直接話を聞いたりして、人に頼りまくることで、なんとか内定までこぎ着けました。同期や相談に乗ってくれた人たちに大感謝です。

こんな他力本願な就活をした私ですが、優秀な内定者からの話を参考に、自分の志望動機を考えていた時に気づいたことがあります。

それは、

「志望動機」「入社してやりたいこと」のようなESや面接質問に、説得力のある回答をするには、数学の証明の構造を真似るべし!

証明の組み立て方
(中学生レベルなので数学苦手な方も、読むのやめないで)


どういうことかというと、数学の証明には、当たり前ですが、
①「証明したいこと(結論)」が明確にあります。その上で、
②「結論を証明するための(妥当な)前提」を考えます。そして、定理などを使い、
③「前提から結論までの道筋」を決めます。
この道筋が論理的であれば、証明は成功です。

「偶数の二乗は偶数である」という中学生レベルの証明を例に考えてみます。

①証明したいこと(結論):ある偶数、仮にmと置くと、mの二乗は偶数
②妥当な前提:mは整数
③前提から結論までの道筋:「偶数の整数は2の倍数」という定理を使って、mの二乗は2の倍数と示す

こうやって三段階に分けたら、証明問題をぱっと見たときに答えがわからなかった人でも、とても簡単に感じますよね。

就活初期に一度就活エージェントの方と面談しましたが、エージェントの方は「ESは論理的に書きましょう」と繰り返すだけで、論理的な文章の構造や組み立て方については教えてくれませんでした。そこで、学部の数学科で履修した実解析(証明をひたすら書かされる授業)で習った証明手法を、頭の隅からなんとか引っ張り出してきたわけです。


就活の現場から


これまで「志望動機」と「入社してやりたいこと」を同じようなものとして書いてきましたが、その理由をサクッと説明させてください。

私は、「入社してやりたいこと」⇒「志望動機」と考えます。「志望動機」というのは、なんでその会社に入りたいか、という理由で、それは「(入社して)やりたいことができるから、御社に入りたい」という理由付けが一番しっくりくると個人的に思うからです。

企業理念や、企業文化を「志望動機」として書く人もいますが、説得力に欠けるし、面接で深堀されたときに話が抽象的になりすぎるので、私は「入社してやりたいこと」を「志望動機」として書いていました。この記事では、「入社してやりたいこと」=「志望動機」だと解釈してください。

いよいよ、私の作った志望動機を赤裸々に紹介していきたいと思います。

私は総合商社をメインに就活をしていました。
最近の潮流として、商社もSDGsや非資源に力を入れており、その面を就活生にアピールしていることから、志望動機として「商社で環境問題の解決に取り組みたい」と書くことにしました。
(補足:商社はES段階や第一、第二面接でも志望動機を聞いてこないとこが多いですが、聞かれたときや自由アピールタイムで話すために、志望動機を用意しました。)

「志望動機として○○を書くことにした」という言い回しに、「え、軽くない?」と違和感を覚えた方もいるかもしれません。

そもそも論ですが、人事は応募者の志望動機が「真実」かどうかに全く興味ないと思います。人事が興味があるのは、「人を説得できるか」「筋道だった話ができるか」。いつか人事の方と話す機会があれば、聞いてみたいところです。

脱線に脱線を重ね、なかなか話が進まず、すみません。
本題に戻ります。

どうやって商社の人事を説得したか


さっき紹介した数学の証明の構造を使って、「商社で環境問題の解決に取り組みたい」という志望動機に、肉をつけて分厚くしていきます。

まず、証明したいこと(結論)は、「商社で環境問題の解決に取り組みたい」ということ。次に、赤の他人が無理なく信じられるような、自分の性格や生い立ちについての妥当な前提を考えます。例えば、「自然災害の多い土地で生まれ育ち、気候変動や環境破壊について幼少期から関心をもっていた」のような、相手の共感を引き起こし、かつ誰も否定できないようなものがいいです。興味・関心を引き起こしたきっかけとなるエピソードを盛り込むことで、面接で深堀されたときに、「自己分析できてるヤツやな」と評価されます。

前提と結論は、それぞれスタート地点とゴール地点に相応し、肝心なのはそこまでの道筋。

数学の証明では、既に証明されている定理を使いますが、志望動機に便利な定理は存在しないので、クリエイティブに道のりを描きます。前提をベースにした「これまでの経験や取り組み」を根拠として進めれば簡単です。

私の場合は、「環境問題に興味があったから、環境経済学が学べる大学院に進学した」「学部では、アメリカと中国の気候変動についての世論を調べる研究チームに参加していた」「電気自動車の普及に向けた政策提言書を書いた」などを根拠としました。「~したい・好き」ではなく、結果が伴っている過去の実績を書くことで、説得力が一気に増します。

さらに、商社でないといけない理由を示すために、「環境問題は一つの分野や過程に収まらない。環境問題に総合的にアプローチできるのは、バリューチェーンの全領域でビジネスをする商社だけ」など、商社の特性や具体的な事業を挙げると、「それ商社じゃなくてもできるんじゃない」という面接官のつっこみに先手を打てます。

まとめると、

①証明したいこと(結論):「商社で環境問題の解決に取り組みたい」
②妥当な前提:「自然災害の多い土地で生まれ育ち、気候変動や環境破壊について幼少期から関心をもっていた」
③前提から結論までの道筋:
 -「環境問題に興味があったから、環境経済学が学べる大学院に進学した」
 -「学部では、アメリカと中国の気候変動についての世論を調べる研究チームに参加していた」
 -「電気自動車の普及に向けた政策提言書を書いた」
 -「バリューチェーンの全領域に関われるのは商社のみ」

実際に私が面接で「入社してやりたいことは何?」と聞かれたとき、ほとんどこのロジックで「商社で環境問題の解決に取り組みたい」と答えましたし、「商社業界を志望する理由は何?」と聞かれたとき、「環境問題の解決に取り組めるから、商社を志望している」と答えました。

しかし、業界の志望理由だけでなく、「業界内で、どうしてウチなのか?」という質問は難しく、社風やOB・OG訪問にもとづいた感想を話したり、ふんわりした回答でなんとか逃げ切りました…

最後に

あくまでも、他人からの就活アドバイスが嫌いだった私が勝手に編み出した方法なので、「志望動機 つくりかた」と検索すればもっといいアドバイスがネットに転がっているだろうと思います。(そして、嫌いだった就活アドバイスを、今は自分がしているという皮肉)

私がこの記事を書いた「動機」は、いま就活している誰かの参考になればいいなという想いが80%、就活で考えたことを記録しておきたいという自己満足が20%です。

不純物が20%も混入している記事を読んでくれて、ありがとうございました。

(再掲)
この記事のポイント

「志望動機」「入社してやりたいこと」のようなESや面接質問に、説得力のある回答をするには、数学の証明の構造を真似るべし!

数学の証明の構造

①証明したいこと(結論)
②妥当な前提
③前提から結論までの道筋

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