私たちは阿佐ヶ谷姉妹的ライフスタイルを実現できるのか
生涯未婚率も離婚率も上がり「おひとりさま」が増えている現代、
特に女性たちが描くひとつの未来設計図として、阿佐ヶ谷姉妹の名前が挙がることが多いように思う。
少なくとも私の周りでは、数年前からひんぱんに挙がる。「もうさ、私たち将来は阿佐ヶ谷姉妹を目指そうよ」みたいなニュアンスで。
言うまでもなく阿佐ヶ谷姉妹さんは、唯一無二のすごい芸人である。
しかし私たちが「阿佐ヶ谷姉妹を目指そう」と軽々しく口にするとき、それはもちろん「日本一おもろい女芸人になって『THE W』獲ろうぜ!」などと言っているわけではない。
あくまでも、阿佐ヶ谷姉妹のライフスタイルに憧れているのだ。
ご存知ない方のためにざっくり説明すると、阿佐ヶ谷姉妹は長らく阿佐ヶ谷の6畳1間のアパートで二人暮らしをしていた。
ただ、流石にいろいろと手狭になって物件を探していたところ、アパートのお隣の部屋がまさかの空き部屋になり、エリコさん(姉)がそちらに移って今は同じアパートの隣同士の部屋でそれぞれ暮らしている。
このあたりの経緯は、ドラマ化もされた『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』に詳しい。(ちなみに私は本が好きすぎて逆にドラマを見られなかったタイプ)
つまり私たちが「阿佐ヶ谷姉妹みたいに暮らしたい」と言うとき、それが意味するところはおおむね
・ひとつ屋根の下で
・お互いのプライバシーは尊重しつつ
・作ったおかずを持ち寄ったりしつつ
・何かあったときには助け合って
・異性にわずらわされることなく
・清く正しく美しく朗らかに暮らしたい!
というような意味である。知らんけど。
面白いなと思うのは、これに憧れているのが必ずしも独身勢だけではない点だ。
大学時代の仲間内でもいち早く結婚し、優しい夫とかわいい子どもたちに恵まれた女友達は、ことあるごとに「老後はみんなで阿佐ヶ谷姉妹みたいに暮らしたい」と提案してくる。
ルームシェアするマダムたちを描いた、素敵なTwitter漫画を教えてくれたのも彼女である。
たぶんこのマダムたちは既婚。
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2022年現在、現実にこんな暮らしをしている中年以上の女性というのはあまり多くないと思う。私が知る範囲では、阿佐ヶ谷姉妹だけだ。
しかし私の年代(アラフォー)の女性は、独身勢も既婚勢も含めて、かなりの割合で阿佐ヶ谷姉妹的ライフスタイルを望んでいる。
かつ、私の世代は親世代と比べて「夫の収入に頼って暮らしている」人がかなり少ない。おそらく贅沢をしなければ自分ひとりぐらいは食わせていけるはずである。
もちろん現実には色々なしがらみがあって難しいのだろうけど、しかし私たちがアラカンを迎える20年後、阿佐ヶ谷姉妹的ライフスタイルは老後のセーフティネットとしてわりと一般的な選択肢になるのではないかと思っている。
そもそも、女性は女同士で過ごすのが好きだ。
私が女子校育ちだから余計にそう感じるのかもしれないが、女と女はすぐ険悪になるとかイジメが陰湿だとか言うのは、男性社会の幻想じゃないかと思う。温泉も水族館もテーマパークも、女同士で行くのが結局いちばん安心で楽しい。
もちろん好きな男性と行くのも楽しいけれど、それはその人と一緒に過ごせていること自体が(場所はどこであれ)楽しいのであって、温泉そのもの、テーマパークそのものを純粋に楽しめるのは女同士のときではないだろうか。
私の母なんて、以前からそうだったが子育てが終わった数年前からは特に、しょっちゅう妹(私の叔母)と遊びに行っている。夫(私の父)が定年してヒマになっても、遊び相手は夫でなく妹である。いちばん近くにいる女友達、という感じらしく、姉妹っていいなあと思う。
そんなわけでそう遠くない将来、阿佐ヶ谷姉妹的ライフスタイルを実現するためのアパート、というのは相当なニーズがあると思われるので、私が考える条件を勝手に書いておく。不動産関係の方が見てくれますように。笑
・入居者は60歳以上の女性限定
・オートロック
・集会室(予約制)が複数ある
・予約なしで使える、広めの談話スペースがある
・談話スペースのお掃除は住人の持ち回りにして、適度に仕事がある&お互いの健康を確認できる仕組みを作る
・近くにカフェとコンビニとコインランドリーがあってほしい。1階のテナントに入ってたりしたら最高
…こんな感じだろうか。
条件、などと意気込んだわりにはあまり出てこなかった。
中高年女性限定、オートロック、多め&広めの共有スペース。
それさえ確保してくれればあとは自分たちで運用を考えるので大丈夫です!ご心配なく!という感じである。(誰やねん)
いまはまだ再婚したい気持ちが強いけれど、たぶんあと数年したら「もういいかな」となりそうな気がする。
再婚できたとしても、年を取ったらやっぱり女同士で楽しく過ごしたい、と思うような気もする。
そうなったら、阿佐ヶ谷姉妹的ライフスタイルの実現に向けて邁進するのみ。
我々アラフォー女の未来は明るい。知らんけど。