岩井俊二監督「ラストレター」感想
ラストレター劇場で観ました。とても感動したのでLINEノベルで小説版を改めて読んでいます。
実体験を元に書いているらしいですけどどんな体験ですか。素敵すぎませんか…。
岩井俊二監督はもともと小説家志望だったというのは有名な話ですが、監督にも「美咲」のような、物語を綴りたくなるような衝動を起こす想い人がいたのでしょうか。
「Love Letter」のアンサー作品が公開される。
この情報を知ったのは「LoveLetter」を初めて観終え、岩井俊二監督のwikipediaを初めて見たときでした。まだ編集前の赤文字でラストレターという文字と並びに書かれる出演者に広瀬すずという文字を見た瞬間、これを観にいくんだと手帳の後方のメモ欄に書き込みました。二年前ですね。
2019年公開予定と記されていましたが、
2019年にはとうとう公開されず、2020年1月に公開されました。
映画館閉鎖の時期をギリギリ回避。
古びた映像と不安定なカメラアングルが売りの岩井俊二監督ですが、
ラストレターに関しては冒頭の川のシーンから映像が本当に透き通っていて、
一瞬たりとも見逃しちゃいけない気がして劇場で珍しくポップコーンを食べずに、目を凝らして観賞しました。
圧倒的映像美。
現代風にアレンジされた設定もお見事でした。スマートフォンが水没したため、SNS代わりにもう会わない人に愚痴の手紙を送り続けるという。イマドキ。
LoveLetterは雪が印象的でしたが
ラストレターは川。そして夏。お盆に観たい話でした。
そんなラストレターの余韻に浸りつつ、
こんなご時世なので登録したNetflixに
岩井俊二監督のもう一つの代表作「スワロウテイル」を見つけました。
「LoveLetter」以来岩井俊二作品はほとんど見てきた私ですが、予告でなんなく戦争映画だと勘違いし、有名作品で唯一躊躇っていたのですが、
これを機にようやく観ました。
同じ監督の映画なのに
こんなに色が違うんだ、と思いつつ、
治安の悪い、だけど優しく感じる不思議な映像に
強いショックを受けました。イェンタウンという架空の町が舞台ですが、戦争を描いているわけではないんですね。
もしかして、伝えたい内容としては「リリイシュシュのすべて」に近いのでしょうか。
「リリイシュシュのすべて」、
岩井俊二監督作品でも一番好きな映画です。
初めて見たときここまで衝撃受けた映画なかなかない。
相変わらず三時間と長い映画だけど、
田んぼでCDプレイヤー片手に佇む中学生男子、羽が枚散る体育館倉庫とか、印象的なシーンが維持されていて、全くだれなかった。
なんといっても中編に挿入される一時間近くの沖縄のホームビデオ。青春に見え隠れする狂気がそこにあった。中学生のやり場のない気持ちを真正面から描いていました。
出演している俳優たちの私生活に影響を与えていないか心配してしまうぐらい息苦しい映像でした。なのに耳からは美しいドビュッシーの音楽。
端からいじめを増長させる分には顔は笑ってるけど心は泣いている。
視聴者はそんないじめの傍観者なのでしょうか。
よく似たような田舎の中学に通っていたため
私はこういう映像の中に数年前まで棲んでいた。
直接危害はなかったが、間接的にでもそこに存在しているだけでかなり体力を消費した。そんな私も、こういう映像を美しいと思える年齢にになったことに一抹の寂しさを覚えました。
スワロウテイルは学校ではなく社会で、それも田舎でなく都会で消費していく、
大人版の「リリイシュシュのすべて」なのでしょうか。
岩井俊二監督の映画は、
綺麗すぎるくらい綺麗な作品と
残酷な美を扱った作品の二つに分かれる気がします。
前者は、「love letter」「ラストレター」そして、松たか子初主演の「四月物語」
後者は、「リリイシュシュのすべて」「リップヴァンウィンクルの花嫁」「undo」「PiCNiC」など。
「花とアリス」は中間?
あのごちゃごちゃ雰囲気と不安定なカメラアングルを観たさに観たような。あまり内容を覚えていないのですが。
「PiCNiC」「undo」。
同時にYouTubeで見つけたため私の中でセット。
共に一時間前後の短編映画。
「リップヴァンウィンクルの花嫁」にも見え隠れしていたホラー要素が限界値を突破しています。
夜に一人で見たのですが、再生ボタンを押すのを躊躇ったはずのホラー要素にどんどんのめり込んでいく自分がいました。
監督の作品はサイコパスっぽく感じるけどどこか茶目っ気があって愛らしい。
一方、四月物語。
現在一人暮らしをしているのですが、
その初日の次の夜に観たので、松たか子扮する主人公が始める新生活と重ねて観ていました。
春に見たい爽やかな映画。
岩井俊二監督は作風の降り幅がすごいですね。
そうそう。綺麗な岩井俊二作品といえば、
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」がありましたね。
アニメ映画を先に観ました(実写はのちにYouTubeで視聴)。確か劇場で初日に観賞。
当時付き合っていた人と行ったけど、デートには明らか向かない内容で沈黙になったのを覚えています…。
他の岩井俊二作品を観ていたらあのラストは非常に監督らしくて好きなんですけど、いかにも青春アニメ感がある絵柄とそれを増長する宣伝をしたので、すっきりしない悲しいラストが、ものすごく尻切れトンボっぽく感じざるを得ませんでしたね…。君の名は。と随分比べられてプロモーションされてたいなのが違和感。
こんな恋愛がしたい!と思えなくて、アニメで表現しきるには壮大すぎたのかなと思います。
実写とストーリーそのものは大差なく感じたので。
とはいえ、電車のオリジナルシーンなど、印象的な場面も多く、もう一度観て考察したいですね。
今思えば、この作品に声優として広瀬すず出ていましたね…。岩井俊二×広瀬すず、ラストレターが初めてじゃなかった。
ともかく今は、LINEノベルを読みながら
ラストレターの余韻に浸っています。
スワロウテイル、リップヴァンウィンクルの花嫁に続いての、Netflixでの配信待っています。