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小物釣り入門・海編-3「どんなところに魚はいるの?」

 エサ、釣具、ときたので、今回はどこに魚が居着いているのか、回遊してくるのか、という話題です。お気軽にできる「リールなしの延べ竿」縛りですので、漁港の堤防や小磯の範囲で解説していきます。

本稿は「心身の健康のための、近所で楽しめる気軽な小物釣り」を想定しています。小物釣りという枠内で、竿も短めの延べ竿+ウキ釣りです。
なお他の記事もありますのでご覧ください(マガジンはこちら)。
同様のコンセプトの川釣り編もあります(マガジンはこちら)。

●堤防を上から見てみよう

 まずは漁港の堤防防波堤から話をしましょう。まず第一に「漁師さんの迷惑になる行為は慎む」こと。なにしろ、これが最優先です。漁船や活かしカゴのロープをいじったりしてはいけません。ときには停泊している漁船に乗って釣りをする人までいるようですが、言語道断です。そして「安全には気を配る」こと。テトラポッド(波消しブロック)の上に乗らないのはもちろん、波が打ち上げているような場所には近づかないように。事故などで立ち入り禁止になっては(命にも関わりますが)元も子もありません。

 ということで魚がどこにいるか、考えていきましょう。魚の付き場を釣り用語では「ポイント」と呼びますが、それは基本的に「何か変化のあるところ」です。堤防の角の部分や先端隙間、水が澄んでいれば見える外側の岩礁藻場などになります。

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 堤防の内側角の部分は、あまり水が動きませんが、二方を囲われているので、小魚の溜まり場になっていたりします。水も動きがないいので、ウキ釣りにも適しています。ただ、概して小魚しかいません。逆に水の動きが良い堤防の先端は、フレッシュな水の流れと、堤防が作り出す流れの変化で良い魚の着き場になりますが、流れが速すぎるとリールなしの延べ竿ではあっという間に流されて仕掛けがピンと張ってしまいます。特に沖側の先端は釣りになりにくいですね。
 見落としがちなのが堤防の隙間です。大型のブロックを投入して作ったような堤防では、その継ぎ目部分が細い隙間を構成しているところがあり、その中を水が動きます。こんなところはその隙間が魚の隠れ場所になっていたり、淀んだ港内にフレッシュな海水が供給されるなど、絶好のポイントなのです。
 あとは港の外側にある岩礁帯海藻が生えている部分。その周辺が砂地だったりすると、魚がそこに寄りあつまる傾向にあります。

 しかし、アジサバイワシなどは群れをなしてあちこち移動していますので、これらの絞り込んだ「ポイント」ではない、中間的なところで釣れる事もよくあります。

●どのくらいの水深を釣ればいいのか?が鍵

 前の図解で、魚が居着きやすい場所について概略は理解していただけたかと思います。次に問題になるのは深さです。できれば魚が泳いでいる深さ、あるいはそのほんの少し上にエサが漂うのが理想になります。
 その目安は水中の障害物。魚が隠れたり、エサとなる生き物が住み着いたりする場所です。といってもあくまでそれは目安でしかなく、前述のようにアジサバイワシ表層から中層を群れをなして泳いできますし、ベラ類フグの仲間のように、底になどがあるところを好むものの、それらの上に出てくる魚もいます。
 カサゴハゼ類などは底べったりにいますが、岩礁が好きなカサゴに対し、砂泥底が好きなハゼといった差があります。また足元=堤防のきわスレスレや岸沿いに入れられたブロック、コンクリートの継ぎ目に生えた海藻といったものに張り付くように、浅いところまで来ている魚もいます。

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 ですから、まずはウキからオモリまでの長さを1.5mとして釣りをスタートしてみましょう。魚が食いついてこなければ少しずつ深く群れが泳いでくるようなら浅く、ウキ止めゴム管を軽くつまんでスライドさせ、調整しましょう。ただ、ウキの下が長くなあれば、手元からウキまでの長さは短くなります(これがリールのついていない竿の宿命ですが)ので、どうにも魚のいるところ、いそうなところに届かないときは、場所を変えるのが一番ですね(とりあえずしゃがんでみるのも一案。50cmくらいは差があるので)。

 潮の流れがほとんどないところは、エサのついた仕掛けを竿を振って飛ばし(釣り用語的には振り込むと言いますが、なんか銀行方面の違う意味になりそうな)、仕掛けが水になじみ、オモリからウキまでの糸がほぼまっすぐになってから3分くらいはそのまま。変化がなければ引き上げてエサを齧られていないかチェック。これを3〜5回繰り返したところで、釣れなければウキの下の長さを30cmほど長くしてもう一度……という感じの繰り返しでいけると思います。30分やってダメなら移動ですね。このへん「勘」の支配する部分が大きいのでなかなか説明が難しいのですが。
 ただ、潮流で流れのあるところは竿がウキを引っ張るようになってしまったら潮流の上手に振り込み直す動作を繰り返します。しかし、10秒で1m以上も流れるようなところだと、延べ竿でのウキ釣り仕掛けでは釣りにくいです。ウキを外してオモリも追加、流れよりもゆっくりと竿の直下を釣る……など、対策はないわけではないですが、これも一番いいのは場所替えです。

●河口の堤防

 防波堤/堤防以外でも、もちろん魚は釣れます。もちろん河口部の浅いところでもハゼセイゴ(スズキの子供)、ボラ、ときにクロダイの子供まで釣れますけど、魚がいるのを見つけて釣る「見釣り」になるか、潮の干満や川の流れでできた段差、あるいは護岸の角堤防の先端放置された係留杭沈んだ岩のような比較的わかりやすいところを狙うことになります。
 海側は特に、潮の流れと川の流れが絡んで複雑な状況になっている=魚が集まりやすい釣り場ではありますが、落水した場合の危険も大きいので、要注意&ライフジャケットロープなどの安全装備を、ぜひ。

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●磯/岩場は安全に配慮して

 で、案外難しいのが小磯などと呼ばれる、港の横にちょこっと残っているような岩礁帯ですね。波が打ち付け、シブキを上げるような場所は、今回の目的にはそぐわないのでパスすることにして、内湾の小さな岩場からの釣りを考えてみましょう(ここでもライフジャケットに加えてロープなどの安全装備は忘れずに)。

 といっても、大きくは防波堤/堤防の釣りと変わりませんが、人工物でないのでちょっとわかり難いですから、ヒントを幾つか。まず、岩場に立ったら、じっくり海を見ます。色が変わっているところがあれば、そこは何かがあるということです。それが岩なのか、藻なのかはわからなくとも、その周囲は間違いなく魚のいるポイントです。内湾ですと、砂地とそれらの色の対比で見えやすいかもしれません。下にイラストで、ざっくりとまとめてみました。小さな岬の沖にある岩礁帯、岩の割れ目/溝は、それ自体が水中にあるかどうかはわかりにくくても、陸上、あるいは波打際の地形や、波が生み出す水面のヨレ具合からある程度読み取れると思います。

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 ともあれ、磯は足場も安定せず、周囲の潮の流れも不規則&想像以上に早いこともあるので、安全には十分気をつけましょう。また「干潮のときに沖まで行ってしまって戻れない」などということもありますので、あくまで岸からちょっと入れるところまでにしましょう。
 釣り方そのものは、先に解説した堤防の釣りと大きく変わりません。ウキの下の長さを調整しつつ、狙いの魚が好む水深を探りましょう。

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 ということで、ザックリとまとめてみました。魚の釣れるような海岸の近くにお住いの方を中心に、ぶらっとお出かけできる方に参考にしていただければと思います。

※釣り糸、鈎はもちろん、オモリ(鉛)も環境にとってはよろしくありませんので、帰るときには釣り場に放置してはいけません。むしろ、そこに捨ててある糸や釣り仕掛け、パッケージなどを見つけたら、ゴミとして回収していく方向で。釣り場近くのゴミ箱などに捨てると、拾い上げてイタズラする輩がいるので、できるだけ自宅まで持ち帰って処分してください。

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また、姉妹編
フライフィッシング入門・目次
も、よろしくおねがいいたします。


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佐久間 功
フライフィッシング、および海川の小物釣り入門の実用記事を書いています。気に入っていただけたらサポートしてくださると励みになります。 (モバイル決済不可/note社経由したくない等の方はお問い合わせを。ギフト券などもご相談ください) もちろん出版企画は大歓迎します。