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小物釣り入門・川編-2 「道具を揃えよう」

 エサの問題に続く第2回は川や池で小物釣りを楽しむための釣り道具についてです。

本稿は「心身の健康のための、近所で楽しめる気軽な小物釣り」を想定しています。小物釣りという枠内で、竿も短めの延べ竿+ウキ釣りです。
なお他の記事もありますのでご覧ください(マガジンはこちら)。特に川編の1=エサのパートは、食料品店などで手に入るエサ(として使えるもの)も紹介。本来は虫エサを使いたくない人向けですが……。
 同様のコンセプトの海釣り編もあります(マガジンはこちら)。

●釣竿の選び方=長さを考えよう

 まず、釣竿がなくちゃ話になりません。で、ここで問題になるのは長さです。川や池での小物釣り限定で考えるといっても、場所により必要な長さが変わってきます。田んぼの畦を流れるような細い用水路や、岸辺にアシや水草の繁る池ならば、1〜2mで十分ですが、そこそこ広い川、岸辺に魚の隠れ場所となる植物がない深い池、護岸で水面から足場が離れているところですと3〜4mは欲しくなります。

 そしてもうひとつ、普段は釣りなどしたことのない人にとっては、3mもの長さの棒を持つ機会がないので、竿先の状態(木の枝に引っかかるなど)まで気配りできないという問題があるのですね。つまり、トラブル多発。

 ということで、釣竿の方を基準に「慣れてくるまでは大きな川などへ行かない」と決めてしまい、まず最初は身長の約1.5倍=2.4〜2.7mの竿を1本用意するのがよいのではないかと思います。がっちり護岸された池でフナを釣るときや、そこそこ広い川でハヤの類を狙うことを考えると3.6mと言いたいところなのですが、これだと狭い水路などで小ブナなどを釣るとき、持て余します。

 この長さでも長すぎるときは、グリップエンドのネジ蓋を外して元竿を抜き、短くして使うことも可能です。また、2〜3段階に全長を調整できる便利な竿もあります。なお、カタログなどに記載されている竿の分類としては、渓流竿ハエ竿万能竿といったあたりになります。

※ちなみに竿の長さが30cm刻みなのは、昔の寸法「1尺=約30.3cm」の名残です。オモリの重さ「1号」は「1匁=約3.75g」、糸の太さ「1号」は「1厘=約0.303mm」で、釣りの世界は今の日本で珍しい「尺貫法」が生きているジャンルなのです。
 一方、ルアーやフライの道具も、メートル法表示でも実サイズは「フィート、インチ、ヤード、ポンド、オンス」とヤードポンド法だったりします。

 仕舞寸法、すなわち畳んだ時の長さですが、自転車やバイクでの移動ですと短いほうが有利です。いえ、徒歩(+公共交通機関)の移動でも便利ではあります。しかし、短い=細かく分割されている=継数が多い=高価、となりますので、そのへんは予算との相談でしょう。
 3m以下ですと、下の写真のような、畳んだ時に30cmにも満たない竿もあります(ただし、この手の安物は折れやすかったりするのでご注意を)。ちなみに上の細いものがグラス製1.8m、下のグリップ部が太くなっているものがカーボン製の2.4mです。

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 ただこの素材なんですが、こういう短くて軽い竿の場合、カーボン繊維使用の高価なもののメリットは少ないので、グラス(ガラス繊維)を使った廉価なもので十分です。お値段は千円〜数千円といったところでしょう。

 これで竿の扱いに慣れてきて、釣り場で不足を感じたら、3.6〜4.2mクラスの長いもの、あるいは2.1m以下のテナガエビタナゴを釣る小物専用竿を用意するといいでしょう。
 釣り場によっては金魚竿と呼ばれる、釣り堀用の1.2mほどの竿が欲しくなるかもしれません。少年時代、釣具店で売っていた1.2〜1.5mほどの竹の1本竿をあれこれ工夫して、クチボソ釣りに行っていたのを思い出します。

※振出竿、すなわち元竿の中からスルスルと出していく竿を伸ばす場合は、竿先から慎重に、一本ずつ引っ張り出して、確実に止まったところで次を伸ばしていくようにしましょう。勢いよく振り回すように伸ばすと、継ぎ目が固着したり、中が真空状態になって割れたりすることがあります。
 なお、釣り場で維ぎ目が固着したときは、継ぎ目近くをしっかりと持ち、ゆっくりと回すようにねじります(輪ゴムなどで滑り止めにするとなお良い)。地面にトントンと打ち付けるのも一案ですが、ときに打ち付けている側が割れたりすることがありますので、やるとしてもごく軽く。

 蛇足ですが、百均で捕虫網や魚捕り網に混じって売られている、竹製二本継ぎ竿が入った釣りセットは、性能的にもいろいろ問題ありなのでやめておきましょう。ザリガニ釣りくらいには使えそうですが。

●釣り仕掛けを買う

 竿に付ける釣りの仕掛け、昔はイチから作ったため、結び方とかいろいろ覚えなくちゃならないことがあったのですが、今では下のリンク/写真のように竿の長さに合わせた完成品の仕掛けが売られています。これをトラブル対応の予備を含めて3セットほど用意しましょう。
 完成品なので、結び方はほとんど知らなくて十分です。知っておくべき結び方は、竿先に付ける結びと、鈎に付いた糸(ハリスと言います)を接続用の金具の輪に結ぶ方法くらいでOKです。仕掛けの台紙に書いてありますけど、これはまた後ほど、詳細に説明します。

ハヤブサの仕掛け完成品の例

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 ただし、スペアの鈎は用意しておいたほうがいいですね。もし購入する場合は「ハエスレ」「ヘラ鮒スレ」のようなスレ鈎=かかった魚が外れにくいようにつけられたカエシのない鈎がいいでしょう。魚を外すのが簡単ですし、魚にもダメージが少ない、そして自分の服や指先などに鈎が掛かったときも簡単に外せます。

 それから、この台紙から外して使った仕掛けを、再び使うときのためにもう一度台紙に巻き取るのはちと無理がありますので、「仕掛け巻き」という糸巻きをひとつふたつ買っておいてください(台紙ではなくはじめからこれに巻いてある仕掛けセットもあります)。板状のものと円形のものがありますが、円形のものの方が糸に折れ曲がりの癖がつきにくい利点があります(でもちょっと高価。あと大きくかさばるのが難)。

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 この他に必要なものがあるとすれば、交換用のウキ……流れがあるところでは丸い玉ウキが使いやすいとか、微妙なアタリは細いウキ(形からトウガラシウキと呼ばれます)の方が取れるとか、いろいろあります。またその浮力に合わせてオモリの調整も必要になることがあります。そうなるとオモリも追加で購入しておく必要が出てきますね。
 このあたりは次回、ちょっと詳しく解説します。

●エサ箱やバケツ(の代用品)は百均でも買えるけど

 あと必要なのはエサ箱ビク(どうせリリースするにしても、ちょっとは手元で見てみたいでしょう)、玉網折りたたみ椅子あたりでしょうか。
 まぁこれは見出しのまんまで(苦笑)、エサ箱代わりの小型密閉容器や、ビクの代用としてのバケツ、玉網なんかは最初は百均で買ってもOKです。300円くらいで椅子(とか折りたたみ踏み台)も売っていますね。

 ただし、持ち運びや釣り場での使いやすさが考えられている、畳めるバケツビク(ズックビク)を釣具店で買っても数百円です。バイクや自転車、徒歩(+公共交通機関)での釣りに「畳める」は重要な要素ですから、最初に釣具店に行って、本物を見てからのほうがいいかな?と思います。
 あと、ビク/バケツには魚が飛び出さないように蓋や網などが必要な場合もあるかも。オイカワなんかは水が多いとアッサリ飛び出そうとします(百均モノでは、回転蓋付ゴミ箱が把手の装着さえできればいいかも……)。

 また釣具店にある専用のエサ箱は、下の写真のようにベルトに付けられるようになっていたり、さらに蓋が開閉しやすいように工夫されていたりするので、動き回る釣り、川の中に入る釣りには、普通の密閉容器よりも便利ですよね(生きエサのための通気穴も開いています)。

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 でも百均で買える汎用性の高い小物はいくつか……。もちろん玉網=魚捕り網は、川や池での小物釣りなら、あのくらいでも十分です。
 そして糸を切るハサミ的なもの……これは、百均のステンレス製爪切りが専用品よりベターかも。釣具店の爪切り型ラインカッターって(いろいろ便利ものが追加されて)めちゃくちゃ高価なので。小さなハサミにしてもメイク用品のところにある、眉毛を整えたりするやつで十分ですね。
 他には、小さく糸の輪を結ぶのに、ピンセット的なものもあると指の太い人は楽かも。飲み込まれた時の針はずしにも使えます。下の写真のものは手を離してもつまんでいてくれる、便利なやつです(百均の衛生用品売り場にあった)。
 そうそう、仕掛けやウキなど道具全体を入れる道具箱/工具箱も、百均で良いものが見つけられるかもしれません。というかそういう名目で売っていますね。

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 川釣り編に関してのマガジンはこちら

※釣り糸、鈎はもちろん、オモリ(鉛)も環境にとってはよろしくありませんので、帰るときには釣り場に放置してはいけません。むしろ、そこに捨ててある糸や釣り仕掛け、パッケージなどを見つけたら、ゴミとして回収していく方向で。釣り場近くのゴミ箱などに捨てると、拾い上げてイタズラする輩がいるので、できるだけ自宅まで持ち帰って処分してください。

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なお姉妹編 フライフィッシング入門・目次 はこちらからどうぞ。


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佐久間 功
フライフィッシング、および海川の小物釣り入門の実用記事を書いています。気に入っていただけたらサポートしてくださると励みになります。 (モバイル決済不可/note社経由したくない等の方はお問い合わせを。ギフト券などもご相談ください) もちろん出版企画は大歓迎します。