小物釣り入門・番外編-1「釣り糸の結び方」
ベースとしては完成品の仕掛けを買って来て使うにしろ、途中で切れたときやハリの交換、仕掛け全長を変えるなどするには、やっぱり必要になるのが糸の結びですね。今回は海川共通でそれについて話していくことにしましょう。
本稿は「心身の健康のための、近所で楽しめる気軽な小物釣り」を想定しています。小物釣りという枠内で、竿も短めの延べ竿+ウキ釣りです。
なお他の記事もありますのでご覧ください(マガジンはこちら)。特に川編の1=エサのパートは、食料品店などで手に入るエサ(として使えるもの)も紹介。本来は虫エサを使いたくない人向けですが……。
同様のコンセプトの海釣り編もあります(マガジンはこちら)。
なお、ベテランが糸を結んでいるとき、締め込む前に一度口にくわえているのを釣り場で見るかもしれません。これは、ナイロン糸が熱に弱いため、締め込んだ瞬間の摩擦熱で変形してヨレてしまったり、強度が低下するのを防ぐため、滑りを良くし、熱を散らすためツバで少し濡らしているのです。カッコつけでもおまじないでもありませんので、積極的に真似していいスタイルです。もちろん、手元に水の入ったバケツがあれば、そこで濡らしてもOKです。
ここで覚えて欲しいのは8の字結びとユニノットのふたつだけです(もうひとつ、最後にオマケを付けてありますが)。いろいろ覚えなくていいんです。まずこのふたつを完全にマスターしましょう。いろいろ覚えようとすると、複数の結び方が混乱して、何度やっても結べないとか、すぐ切れてしまうとか、普通に起きますので(何人も見ました)。
あと、余った糸や仕掛け、ハリの付いた糸を釣り場に捨てていくのは絶対にダメですから。むしろ落ちていたら、自分の釣りゴミといっしょに拾う気持ちで。備え付けのゴミ箱も、ほじっていく人(釣り人ではなく観光客の遊びが多い)がいますから、ポリ袋に入れて自宅まで持ち帰りましょう。
竿先に仕掛けを結ぶ
さて。まずは基本中の基本、チチ輪結びですね(海釣り編では既に触れていますが)。市販仕掛けの竿先側先端も、このように「輪」になっているものが少なくないと思います。
で、通常はこれでOKなのですが、ひと工夫しただけで運用が飛躍的に楽になります。それが以下に紹介するダブル・チチ輪です。
●着脱簡単なアドバンスドVer.「ダブル・チチ輪」
上級編とは言い難いのですが、着脱が簡単になるので、仕掛けの再利用、場所に合わせての交換などがスムーズになります。
ちなみに、シングルのものに追加して小さい側を作ることも可能です。キモは必ずセンターを揃えること。小さいチチ輪の位置がずれていると緩みやすくなります(市販仕掛けで初めからひとつ、小さめにできている場合には、無理せず1回切って作りなおしたほうが楽で確実ですね)。
取り付け方に関してはシングルのものと差はありません。大きい方の輪で普通に固定しちゃってください。ただ、糸が太い/硬いときには、小さいチチ輪の結びコブが干渉して、緩みやすくなってしまうことがあるので、そこが難点ではあります(4号以上の太い糸を使う場合、稀に起きます。小物釣りではまず使わない太さなので、大丈夫だとは思いますが、念のため)。
そして外すとき。これがダブル・チチ輪ですと、図解の通りに一瞬でできます。仕掛けをまるごと交換して、釣り物をチェンジするとき、大物に備えるとき(そして絡まってしまってどうにも解けないとき)にはとても有効ですね。
道糸(竿先からの糸)を糸同士/接続金具に結ぶ
釣り場の状況や竿の長さに応じて、(市販の)仕掛けに糸をを足す場合、糸同士の結び方が必要になってきます。いくつも方法はあるのですが、接続金具への結び方とほぼ同じ方法で結べる「ユニノット」が一番簡単に覚えられるでしょう。何通りもの結び方を覚える必要はありません。下に図にして並べてみましたが、何しろこれ一個、覚えるだけでいろいろできるということです。
仕掛けが絡まってしまい、仕方なく一度切って結び直すとき(これ、意外に多いです)も、この糸と糸の結び方は重要になります。
ハリス(接続金具からハリまでの糸)を接続金具に結ぶ
普通のヨリモドシなどの接続金具にハリス(ハリの付く側の糸)を結ぶなら、やはり上に同じく、この方法ですね(コピペともいう)。何しろ結び目の強度が、元の糸の強さの95%以上とも言われているので、きちんと結べれば最強の部類です(ちなみに普通の固結びだと45〜60%くらい)。
と言っている矢先に何ですが……小物釣りの仕掛けには、簡単に糸を止められる「自動ハリスどめ」系統の接続金具が使われることがあります。金属部の折り曲げられた溝に、ハリスを挟み込んで止める、という仕組みです。
滑り止めの玉結び(固結びでもいいですが、より大きくなる8の字結び推奨)はしておいたほうが安全ですが、いちいちユニノットなどのようにグルグルと結ばないため、ハリの交換(大きさを変える、糸の太さを変える、糸を切られた、飲み込まれて取れなかった……など)が簡単になります。
また、タナゴや小ブナ釣りで使われる極小ハリスどめのようにオープンになっているものは、あらかじめハリスの側にチチ輪を作っておくことで、より安全に扱えるということも知っておくといいでしょう。
このハリスどめ、タナゴ用←→フナ用の交換とか、管理釣り場でのニジマス釣り(簡単に飲まれるので)、海だと何度もフグに噛み切られてしまうときなど、利用範囲は広く便利なのですが、やはり強度や信頼性の問題で、用途としては小物釣りが中心となります。
あとはあくまで参考までに、ですが……ガッチリしたタル型ハリスどめの一部をニッパーで小さく切ってオープン形状にし、極小ハリスどめ用として紹介したような、輪を作ったスペアのハリスを用意して次々替えていく……という方法も、頻繁にハリを飲まれる放流ニジマスの数釣りでやる人がいるとも。いちいちハリを外さず、ハリスごと替えていくんですね。
枝バリをつけてみる
ハゼ釣りなどで使われる「枝バリ」、つまり途中から枝のようにハリス(とハリ)が出る仕掛けですね。フナ釣りなどでも、エサを2個つけることで目立たせる、効率を上げるなどで使う人もいます(ヘラブナ釣りではちょっと違う形で2本バリを使いますが、ここでは紹介しません)。
何通りも作り方はありますが、シンプルなところをふたつ、紹介しておきましょう。
まずは極めてシンプルな直結法。この他にもハリスと道糸を束ねて8の字結びにするといった方法もありますが、ハリスの長さをコントロールしにくいので。こちらを紹介します。ユニノットはもう覚えていると思いますので。
道糸に何もしていないため、使っているうちにずれてきますけど、元々の位置まで押し戻し、もう一度ハリスを引いて締めなおせばいいのです。
また小物釣り限定のアイデアとして、あらかじめ道糸の「これ以上ズリ落ちてくれるな」という場所に、8の字結びのコブをストッパーとして作っておくのも一案ではあります。
最初に言ったオマケ=ちょっとハイレベルな方法が下のこれです。道糸の途中にハリスを結ぶ輪を作ります。船の沖釣りや砂浜からの投げ釣りなどにも使われる本格的なものですが、覚えてしまえば簡単。ねじる回数は4〜6回程度が目安でしょう。
* * *
あと残るのはハリの結び方ですけれど、多くの場合は既に結んであるハリス付きのハリを買うことになるでしょうから、今回は割愛します。覚えておいて損はない……と言えないこともないですが、慣れるまではだいたい糸が締め付けの際によじれてしまって、糸に対してハリが真っ直ぐ付きません。これは致命的ですので、既製品を買ったほうがはるかに良策です。
なお一部に「管付き」という、結ぶ部分がリングになっている製品もありますが、これはユニノットで結べます。海釣り用のハリが中心ですが……。
* * *
次回は…できている人は意識せずともできるし、全くできない人にはとてつもなく難しいもの。
すなわち「狙ったポイントへの振り込みから魚が食った信号=アタリ、魚をハリに掛けるアワセ、そして取り込みからハリの外し方、リリースの方法」まで、一連の動作を見直してみましょう。
それではお楽しみに。
※釣り糸、鈎はもちろん、オモリ(鉛)も環境にとってはよろしくありませんので、帰るときには釣り場に放置してはいけません。むしろ、そこに捨ててある糸や釣り仕掛け、パッケージなどを見つけたら、ゴミとして回収していく方向で。釣り場近くのゴミ箱などに捨てると、拾い上げてイタズラする輩がいるので、できるだけ自宅まで持ち帰って処分してください。
* * *
なお姉妹編 フライフィッシング入門 もどうぞご覧ください。