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小物釣り入門・川編-4「ウキと釣りかた」

さて、川編の第4弾は、多種多様なウキの使い分けと釣り方の話。第3弾で「悩んだら玉ウキ」でOKとしました(ある意味それは真実です)が、いろいろ売ってますし、見れば欲しくなりますよね? ということで使い方/使う場所を考えていきましょう。

 ※なおトップ写真の顔の描いてあるウキは「蒲克工房 スマイルウキ」ですが、楽しいので自分で描いてもいいかも(球面はちと難しいですが)。小さなお子さんには、ウキを見続ける集中力のアップにもなるかもしれません。

本稿は「心身の健康のための、近所で楽しめる気軽な小物釣り」を想定しています。小物釣りという枠内で、竿も短めの延べ竿+ウキ釣りです。
なお他の記事もありますのでご覧ください(マガジンはこちら)。特に川編の1=エサのパートは、食料品店などで手に入るエサ(として使えるもの)も紹介。本来は虫エサを使いたくない人向けですが……。
 同様のコンセプトの海釣り編もあります(マガジンはこちら)。

●ウキの種類で釣り方を考える

 さて。ウキといってもいろいろな形がある=その形に意味があるわけです。その意味=使い方から釣り方のバリエーションを見ていきましょう。大きく分ければ、細長い立ちウキ系と丸い玉ウキ系があります。小物釣りではヘラブナ釣り用のウキの小さいものも使うことがありますが、それはあくまで立ちウキのバリエーションということで考えていきたいと思います。

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 糸への固定方法ですが、中通し系のウキを除いて、基本的に、専用のゴム管を介して糸に取り付けます。釣具店には、長いチューブを必要に応じて5mm程度に切って使うもの(多くは飴色。海の夜釣りに適した夜光もあり)と、テーパー状に整形されているもの(多くは黒。昨今はカラーの製品もあり)がありますが、どちらでも構いません。釣り場で便利なのは、整形済みの方ですね(ハサミは結構、落としたり忘れたりしがち+最近は爪切り型のラインカッターの方が普及しているため切りにくい)。
 ごく小さなウキには、極細のシリコンチューブを使うこともあります。

立ちウキ系(トウガラシウキ、棒ウキなど)
 流れの緩やかな川や、池、湖沼で使われます。細くて水の抵抗が少ないので、微妙な魚の食い(アタリ)にも敏感に反応します。その一方で浮力が弱く、また斜めになってしまうとアタリが見難いので流れの速い川には向かないという欠点もあります。まぁ、そのへんはバランスで、太さ・長さ・浮力、そして色分けなど、多数のバリエーションがあります。
 また、重量バランスがシビアなので、オモリは調整のしやすい板オモリ(ごく薄い鉛板のロールを適宜ハサミで切って使う)が適しています。

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 ヘラブナ用の「ヘラウキ」の機能を取り込んだものもあります。トップと呼ばれる、目盛りのように色分けされた部分がウキの上部に付いたものですね。これは、スパスパとエサを吸ったり吐いたりするような魚の、ひと目盛りに満たないような「微妙なアタリ」を読み取るためのものですね。ウキ本体は完全に沈めてしまうくらいにオモリのバランスが取れていると、ウキが引き込まれるだけでなく、食い上げ(エサをくわえて上に向かって泳ぐこと)の僅かなアタリすら読むことができます。
 本家ヘラウキは短いものでも20cm、長いものは30cmを超えますが、小物釣り用にサイズダウンしたものは全長6〜10cmといったところです。

 もうひとつヘラウキ的な要素として、糸に通したゴム管に差し込んで留める部分に、ウキがフリーになるよう、短いリリアン紐(編み込んである紐)が付いているものがあります。この「ブランコ」と呼ばれる機構は、魚とやりとりしている最中に、ウキが振り回されてそのやりとりを妨げないように/破損しないように付いていると考えてください。他には糸が斜めになっても、ウキがまっすぐ立つなどの効果もあります。便利は便利ですが、その分コストも上がるので、ごく一部に採用されているのみです。

◆玉ウキ
 ウキといえば!の代表選手とも言えるのがこの玉ウキ。万能ですが、大きくなると浮力が強すぎて微妙なアタリが出にくい一方、立ちウキ系のように倒れることがないので流れの速い川波立った川でも使えます。
 重めのオモリにも耐えます
し、負荷についてもシビアにならずに済むので、糸に噛ませて止める「カミツブシ」「ガン玉」のような整形済みオモリでも使いやすいのも特徴です(もちろん板オモリで、アタリが出やすい=沈むかどうかのギリギリの重量をを攻めるのも面白いですが、これは入門者向きではないですね)。
 また立ちウキ系統と異なり、ウキ本体にもそこそこ重量があるので、仕掛け全体の長さを長くした場合は、ウキの重さを使ってやや遠方に投入することもできます。意図的にやるときは、発泡素材や中空整形のものより重い、木製のウキを使うことが多いです。

 一般的なゴム管に足の部分を挿して使うもののほか、センターに糸を通す穴の空いた中通しタイプもあって、一個付けのほか、複数つけた「シモリ仕掛け」というものもあります(後述します)。

 ウキに重さがある+波立ちに強いという玉ウキのメリットを生かした釣りが浅瀬でのフカセ釣りでしょう。オモリの付けられないような浅い、流れのある釣り場で、流れのままにエサを漂わせる釣りです。

フカセ釣り

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 なお、重い玉ウキですと引き上げたときに上下が逆になってしまうことがあります。ヘラウキなど立ちウキの一部にある「ブランコ」はそれを防ぐためのもので、玉ウキでも大きめのもの(どちらかというと防波堤釣りで使うようなものに多い)にはこのブランコを装備した「ポリカンウキ」があったりしますが、川の小物釣りで使う小さい玉ウキ系には少ないですね。

 代わりに下のイラストの逆付け法を知っておくといいでしょう。

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シモリウキ(中通し玉ウキ)の使い方
 まずはシモリ釣りという中通し玉ウキならではの釣り方からご紹介。下のラストの通り複数の玉ウキを使ってベタ底を好むマブナを狙う釣り方です(コイ、ハゼなども釣れますけど)。
 釣り糸とウキは別の糸を使って、輪ゴムを糸通し穴に貫通させてウキ止めとしたり、小さなプラスチックの栓、木製の楊枝の端を使って固定します。ゴムを通すやり方は、ちょっと説明が手間なので今回は割愛。そういうものがある、とだけ知っておいてください。

シモリ釣り

 これによく似た仕掛けで、一番上が立ちウキになって下のウキがほとんど浮力がないほど小さいもの(タナゴ仕掛けが代表的)がありますが、これは底ベッタリではなく中層/底スレスレ狙いで使います。エサをゆっくり沈める効果は同じですが、一番上のウキにすら出ない微妙なアタリを下のウキを目印にしてキャッチするという意図です。

糸ウキ

●ウキを使わない釣りもある

 ウキがあるとむしろ釣りにくい条件もありますので、ここでは2例、その釣りを紹介します。

脈釣りと目印
 ウキをつけずに、手元にくる感触や糸の途中につけた目印の動きで、魚が食いついたのを知る釣り方が脈釣りです。ヤマメアマゴイワナなどを狙う渓流釣りに代表される、ウキがあっという間に流されるような、川の流れが早い場所でよく使われます。小物釣りの範疇ですと、前記した瀬釣りでは探れないような、小滝の落ち込みのキワ深い瀬でのウグイやオイカワなどの釣りですね。

ミャク釣り

 渓流釣り/清流釣りの目印矢羽型のプラスチックや、毛糸のような専用素材が主力です。糸への固定方法は、矢羽型は切り込みが付いているので、そこにジグザグに糸を挟んでいく、毛糸タイプは二回通しの固結びで糸に縛り付ける……といった方法をとります。とりあえずパッケージの説明を参照してください。

 目印は複数つけますが、これはアタリを見るだけではなく、糸の位置を知るためでもあります。また、何番目の目印まで沈めるかで水深に合わせた深さにエサを流すことも可能です。基本的にアタリは、一番水面に近い目印が止まったり、上流へ遡ったり、引き込まれたり、逆にたるむことで知ることができます。手元に「コツン」と振動がくることもあります。

 流れはないものの、水生植物や落ちた木の枝などが複雑な魚の付き場を作る細い川(というより溝)をピンポイントで探っていくタナゴ釣りなどでもこの釣り方を好む人がいます。ただし、タナゴの脈釣りは「通」人の技になって来ていますので、ここでは詳細については割愛します。

脈釣りの派生=延べ竿でのぶっ込み釣り
(川釣りに入れるかは微妙ですが)ハゼ釣りなど底べったりを釣るとき、やや重めのオモリ(ナス型0.5〜1号。ハゼ用は赤いものもあります)を使い、ウキはなく(目印は糸の位置を知るためにつける人もいます)、オモリを底に着けて糸をピンと張り、竿先の動きや手元に来る感触で魚が食ったのを知る釣り方をします。
 これも「脈釣り」と言うこともありますが、オモリが底に着いているので、イメージ的にはリール竿を使う「ぶっ込み釣り」に近くなります。

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 なお、オモリとハリスを取り付ける「てんびん」という三又になった接続金具、オモリが簡単に交換できるスナップ付きヨリモドシ(スナップ付きサルカン)などもありますが、延べ竿&小物釣りの場合はシンプルに糸で直結でもOKです。
 オモリとハリス、鈎を一直線にしない理由は底掛りを避けるためですが、砂泥底で、引っかかるものが何もないような場合は、カミツブシ特大やナツメ型オモリ1号程度で、普通の仕掛けのように一直線にするのもアリです。

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 次回は…お待たせしました。糸の結び方をやろうと思います。ここでは少し応用編も交えて、上のハゼ釣りでも使える「枝針」の結び方なんかもやろうかなと考えています。リンクはこちら

それではお楽しみに。

※釣り糸、鈎はもちろん、オモリ(鉛)も環境にとってはよろしくありませんので、帰るときには釣り場に放置してはいけません。むしろ、そこに捨ててある糸や釣り仕掛け、パッケージなどを見つけたら、ゴミとして回収していく方向で。釣り場近くのゴミ箱などに捨てると、拾い上げてイタズラする輩がいるので、できるだけ自宅まで持ち帰って処分してください。

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なお姉妹編 フライフィッシング入門・目次 はこちらからどうぞ。

このへんはエサ釣りにも参考になると思います。
フライフィッシング雑談:魚と音
魚の視界 〜水面、空中に対して〜
フライフィッシング雑談・魚の視界Part2

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佐久間 功
フライフィッシング、および海川の小物釣り入門の実用記事を書いています。気に入っていただけたらサポートしてくださると励みになります。 (モバイル決済不可/note社経由したくない等の方はお問い合わせを。ギフト券などもご相談ください) もちろん出版企画は大歓迎します。