小物釣り入門・川編-3「どんなところに魚はいるのか?」
魚がいないところで釣りをしていても、釣れるわけはありません。ということで川編の第3回は、魚が潜んでいる場所についてです。
本稿は「心身の健康のための、近所で楽しめる気軽な小物釣り」を想定しています。小物釣りという枠内で、竿も短めの延べ竿+ウキ釣りです。
なお他の記事もありますのでご覧ください(マガジンはこちら)。特に川編の1=エサのパートは、食料品店などで手に入るエサ(として使えるもの)も紹介。本来は虫エサを使いたくない人向けですが……。
同様のコンセプトの海釣り編もあります(マガジンはこちら)。
さて、川編の第3弾は、多種多様なウキの使い分けと釣り方の話へ振るつもりだったのですが、現状を鑑みて「どんなところに魚がいるか」に絞ってみたいと思います。その釣り場別、釣りもの別に細かく、ウキや仕掛けの使い分けを絡める予定だったのですが、ここはもう「悩んだら玉ウキ」でOKとします(一応、形状別のウキの使い分けは後ほど少し触れますが)。玉ウキの大きさは3サイズ(号数表示で3、5、6号。直径で9、15、18mmくらい)用意しておきましょう。
●見てわかる用水路や小川の釣り場とは
まず用水路や小さな川の釣りです。模式図で描いてみると、こんな感じでしょうか? 川の大きさにもよりますが、ここにあげた6つが代表的な魚の付き場(釣り用語でいうとポイント)と考えていただければ良いと思います。ザックリ言って、サギやカワセミなどの天敵から魚が隠れやすいところ、エサが多く流れてくる/落ちてくるところとすれば、他にもいろいろ見つかるでしょう。
開けていて水が澄んでいるため、魚がダイレクトに見えてしまう川もありますが、そういうところはあちら(魚)からも人間が見えているので、影を映さないのは前提として、できる限り動かないとか、物陰に隠れるとかの工夫が必要なこともあります。
※なお、護岸の斜面は、タイル/ブロック状に貼られた場所、コンクリートで固めたものとも、絶対に踏み込んだり釣り座を構えてはいけません。45度より強い勾配は、落ちたら這い上がれない可能性が高いのです。地形のままコンクリートで固めた丸みを帯びているものは特に危険で、大丈夫だったところから数センチ動いただけで、いきなり足を滑らせることもあります。
また、草が生えているからと安心してそこに立っていても、その草の根ごと落ちたり、這い上がるときに掴んだら抜けて再度転落なんてことも……。
●どのくらいの水深を狙うべきか
それでは、川の形を横から見て見ましょう。上から見ただけではわからない魚の付き場もありますからね。
水草、捨て石の周囲は当然ですが、底の傾斜の角度が変わるところ、護岸と底の境目なども魚が寄り付きやすい場所になっています。上から見て何もないようでも、釣れるところには理由がある……わけですね。またアシや杭の周りは、底でなくとも魚が付きやすいので、ウキ下の糸の長さを変えて底から水面近くまで探ってみましょう。
なお、アシや水草も生え方にムラがあります。窪みがあったり、周りを囲うように生えて穴になっているなど、変化があればそこが狙い目になります。等間隔に打ち込まれた杭も、1本欠けていれば、そこは水中に折れた残りが沈んでいたり……。また図にはありませんが、意外なところでは湧き水も好ポイント。一年中水温が安定していて、特に冬は水温が高いために魚が溜まっています。
そのウキからエサまでの長さは、水深とほぼ同じところからスタートしましょう。コイやフナ(ギンブナ、キンブナなどのいわゆるマブナ)などは底のエサを拾って食べていることが多いので、まずはここからです。流れがある、食い渋っているといった条件によっては、オモリを底に着けてしまうこともあります。
虫やプランクトンなどを食べているその他の魚、モロコ、モツゴ(クチボソ)、タナゴ類、オイカワなどは、底べったりよりも底の少し上から中層を好みますので(底スレスレから水深の半分までが基本ですが、ときに表層わずか10cmということも)、その長さ=深さに調整して狙います。
ということで、基本/基準はありますけど、魚の習性という自然相手ですから、何かひとつに決まったものはありません。対象魚の大きさや流れの速さ、深さなどによって、ウキの大きさやオモリの重さを変えながら、いろいろ試してみましょう。
魚が小さいときや、アタリ(魚がエサに食いついて出るウキの動き)が小さいときはウキも小さく(当然オモリも小さく)します。
ウキとオモリのバランスですが(ウキのパッケージに目安となるオモリのサイズが書いてあったりしますけど)、ウキの半分が沈み、半分が水面から出るのが基準となります。アタリが小さい、食い込みが悪いなどの状況によっては、さらにオモリを重くして少し沈めることはありますが、後述する「瀬のフカセ釣り」を除き、オモリを軽くすることはほぼありません。
さらに流れがほとんどなければ、玉ウキよりも細いトウガラシウキのほうが浮力が弱く水の抵抗が少ないので、アタリが出やすくなります。もっともっと微妙なアタリをとるには棒ウキや小さなヘラウキタイプにするのが一般的ですが、狭い水路でタナゴや小ブナを釣るときは、極小のトウガラシウキの下に目印をいくつも付けて、その目印のわずかブレや動きでアタリを感知したりもします(このへんの詳細は川編の第4回で)。
●清流のハヤ類(ウグイ、オイカワなど)はどこに?
ウグイやオイカワ、カワムツ、ヌマムツ、アブラハヤ、タカハヤ……こういった魚が好む水が綺麗な川なら、泳いでいる魚が見えることもありますし、キラキラと水中でヒラを打つ煌めきが見えるかもしれません。橋の上から、あるいは偏光サングラスを使うと、よりよく見えるでしょう。とはいえ漠然と見ていて見つかるものではありません。最初はどこを見ればいいのかわからなくて当然なので、代表的な「魚のいる場所」を図解してみました。
これらの魚は、流れのある綺麗な川が好きとはいっても、それほど急流に住める魚ではありませんので、速い流れの中に淀みがある場所を好みます。岩の裏や淵の岩盤まわり、淵の最下流部(淵尻)で浅くなっていくところも狙い目です。堰堤の上にある深みの残ったところ、あるいは堰堤下の水が落ち込んで掘れているところの周囲にできた深み、淀みも定番です。
これらの魚たちは、水深20〜30cmくらいの浅瀬にもいますが、流れの速さは20cm/秒(1mを5秒以上かけて流れる)より速いところは見なくていいと思います。こういう浅瀬で釣りをするときは、あえてオモリをウキに対して思い切り軽くする、あるいはオモリを付けないで流す「フカセ釣り」という釣り方をすることがあります。
流れのままに流しきったら上流に投げ込み直す、を繰り返す釣りになります。浅く、流れが早いので、オモリが落ち着くまで待つような釣りは無理なんですね。ウキからハリまでの長さは、水深の2〜3倍程度とります。
頻繁に上流へと打ち返す釣りですから、エサは練りエサでは無理。鈎持ちの良い、5mm程度に短く切ったパスタに集魚材をまぶしたものや、刻んだ魚肉ソーセージ、虫エサが使えるならばサシ(養殖されたハエの幼虫)などがいいでしょう。
本来は、ちょっと採取が面倒ですが、現地の川で石裏にいる川虫=カゲロウやトビケラの幼虫を採って使います。ここまでいくと「お気軽な釣り」からはかなり離れますけど……。
もちろん、重量のあるウキに毛鈎が何本もついた「毛鈎流し釣り」セットで釣りをするのも面白い場所です。ただし毛鈎の釣りは3〜6月を中心に、アユ釣りとの兼ね合いで禁止されている河川もあるので現地漁協の案内を注意して読みましょう。
こういった清流の釣り場、自分自身の経験では……魚など住めそうもない急流の用水路に、横から小さな枯れた排水路が入っていたため、そこに逆流してできた淀みにウグイが何十匹も固まっていたり、増水した本流を避けて、その横にあった用水路が一旦まとまるコンクリートで囲われた溜まりにウグイとオイカワが群れをなしていたり、なんてこともありました。そんな思いもよらない釣り場が見つかると、ワクワクしますね。
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ということで、取り急ぎまとめてみました。平野部で用水路が数多く走っていたり、小川が流れているようなところにお住いの方(恵まれてますね……)は、参考にしていただければと思います。
※釣り糸、鈎はもちろん、オモリ(鉛)も環境にとってはよろしくありませんので、帰るときには釣り場に放置してはいけません。むしろ、そこに捨ててある糸や釣り仕掛け、パッケージなどを見つけたら、ゴミとして回収していく方向で。釣り場近くのゴミ箱などに捨てると、拾い上げてイタズラする輩がいるので、できるだけ自宅まで持ち帰って処分してください。
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