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『スガシカオ史上最も泣けるアルバム Acoustic Soul 2014-2024』

2024年10月30日、スガシカオさん待望のNewアルバム『Acoustic Soul 2014-2024』がリリースされた。

Acoustic Soulというアルバムは、そもそもスガさんが前事務所から独立したインディーズ時代の2014年に最初に配信限定(ライブ会場と通販のみでCDを販売)で発表された、FUNKと並ぶスガさんの原点であるSoul Musicに特化したアルバム。
配信当初からかなり評価が高く、iTunesチャートで1位も獲得した人気アルバムとなった。

その第2弾として2020年にはライブ会場と通販のみでの販売で、『Acoustic Soul 2』のCDが発売された。
この時も収録曲である『ヤグルトさんの唄』が有線やラジオで多くのリクエストを集め評判になり、また小林武史さんとのコラボ曲『ぼくの街に遊びにきてよ』は、あの桑田佳祐さんが自身のラジオ番組で年間ベスト2位に選出するなど、やはり良質かつ話題性を持つアルバムとなった。

そんなAcoustic Soulシリーズの集大成とも言えるアルバムが、今回発売された『Acoustic Soul 2014-2024』だ。

2枚のAcoustic Soulの中からの既存曲が5曲。
配信シングルの既存曲1曲。
完全なる新曲が4曲。
計10曲で構成された今回のアルバムだが、既存曲多めだと侮るなかれ。

アレンジが変わった曲、この曲順だからこそ、より響く曲。。
とにかくアルバムとして、本当に素晴らしい1枚なのだ。

ちなみに最新のオリコン週間アルバムランキングでは初登場8位にランクイン。
初回限定盤は各ネットショップにおいて早々に完売してしまうという人気ぶりを見せている。

では、僭越ながらスガマニアの端くれである私けんりきが、ライナーノーツ的な文章を綴ってみたいと思う。

『Acoustic Soul 2014-2024』(スガシカオ:2024年10月30日発売)

1.ゼロジュウ

1曲目から最高に気持ちいいSoul Funk✨
前奏から自然と身体が動いてしまう。
シニカルでスガシカオ節が炸裂してる歌詞も最高!

3年前アルバム『Sugarless Ⅲ』収録の『もういいよ』という曲で「もういいよ もういいんだってば」と歌ったスガシカオが、今度は「冗談じゃないぜ 水に流そうなんて」と歌う。
人間ってそんなもんだよね、と3年越しで自分の本質を見抜かれたような感覚になって・・・もう、脱帽です😂

『自己中でごめんね だから許せないんだよ』


2.Let's get it on

今年、2024年6月。
スガさんにとって、いや俺たちファンにとっても大変ショックな出来事が起きた。
スガさんの独立以降の波瀾万丈なアーティスト人生を支えてきた大切なスタッフの1人、恒川理さんが天国に旅立ったのだ。

スガさんのライフワークとでも言うべき弾き語りツアーHitori Sugarの際には恒川さんは毎回ツアーに帯同し、機材を担いでスガさんと共に全国を回り、あの最高のライブを作り上げてくださっていた。
本当に感謝しかない。

この曲は、そんな悲しみや痛みを受け入れ、それでも前を向いて明日へ進むんだというスガさんの決意と、同じ悲しみを抱えた仲間たちにも、そして勿論恒川さんにも届くようにというスガさんの優しさ溢れる楽曲。

タイトルはマービン・ゲイの名盤へのインスパイアなのだが、まさに本家マービン・ゲイを彷彿とさせるような超オシャレかつソウルフルなサウンドに心奪われてしまう。

そして、このタイトルにしたのも意味があると思っていて。
この『Le'ts get it on』って、翻訳サイトなんかで調べると「さぁ楽しもう!」みたいな訳が出てくるのだけれど、実はスラングで性的LOVEを意味する言葉で。

たぶんだけど、スガさんの曲を大好きだったという恒川さんに笑ってほしくて付けたタイトルなんじゃ無いかと勝手に思っています😂

『だってあの日がなければ もし君と出会わなければ 昨日と同じ暗い部屋で 何もできずにいたんだ』



3.ヤグルトさんの唄

デビュー当初からスガさんの曲の歌詞には両親がよく登場するが、少年時代から「家族というシステムが気持ち悪い」と感じていたからか、自分と家族の関係性をどこか俯瞰的に見ている曲が多かった。

そんなスガさんが、高齢になられた母親への素直な愛と感謝を歌ったこの曲は、“ どこまでも個人的な事を歌っているにも関わらず多くの人のココロに刺さる ”という、まさにスガシカオの真骨頂と呼べる1曲。

ちなみに初回限定盤には、スガさん自ら書き下ろした、この曲と同じタイトルの実録小説が特典として付いている。

『人はみんな 誰かの命を支えて生きる 愛情にくるまってると それに気づかない』



4.発芽

『Acoustic Soul 2』では1曲目に収録されていたこの曲が、今回インパクトの強い1〜3曲目の後に配置された事によって、よりシティ・ポップのオシャレ感、清涼感が増した感じ。
自分ではどうにもコントロールできない恋心を歌った楽曲自体、本当に素晴らしいのだが、個人的に田中義人さんの渋く優しいギターの音色が凄く好きな1曲でもあります。

『気付かないうちに 心に芽吹いた君という名の蕾は 甘い匂い放って ものすごい力で花を咲かせようと 心の内膜ごと ぼくを破ってきそうだ』



5.Soul Music

この曲、めちゃめちゃいい曲!✨✨
この曲の“あなた ”はアーバンソウルの象徴とも言えるマービン・ゲイの事であり、“ぼく ”はスガシカオ当人で有るわけなのだが、聴いているうちに自分自身を“ぼく ”に投影させて聴いてしまう。スガマニアである僕らにとって、勿論“ あなた”はスガシカオだ。

「あなたの言葉が寄り添うように いつも繰り返し響く 心に」

「ぼくが笑えば明日は変わる それがただ思い過ごしでも」

自然と涙が頬を伝ってしまう。。😭

『あなたが歌うと世界が変わる たとえ同じような日々でも』



6.あなたへの手紙

今年2024年元旦に起きてしまった能登半島 地震。
スガさんはマスコミを引き連れる事もなく、大した予告をするでもなく、単身歌のボランティアに出向いた。
2日間で6公演というハードスケジュールだったのだが、スガさんは全く苦に感じなかったらしい。

“ お金を稼ぐための仕事”なら苦しく感じる事も、“ただただ誰かを勇気づけ笑顔を取り戻してもらうため ”なら、いくらでも頑張れる。。

そんな事を実感したスガさんが書き上げた「自分のためだけじゃなく、誰かのために・・・」という“利他の心 ”を歌った、スガシカオ渾身の名曲。

毎日毎日一生懸命に働いている日常の中で、上手くいかない事、何となくモヤモヤする事、“ こんなに頑張ってるのに・・・”とやり甲斐を見失いそうになる事、、有ると思う。
この曲は、そんな「あなた」にこそ聴いてもらいたい。

あなたが「誰か」を救えれば、守れれば、抱きしめられれば、その優しさはきっと繋がっていき、いつか自分にも必ず返ってくるし、一生出会う事のない遠くの国の人にまで、それは繋がっていく。
そうやって、いつの日かこの世界が優しさでいっぱいになれたら。。
絵空事かもしれなくても、スガさんのこの曲を聴く度に、俺はそう願いたくなるんだ。

『もしあなたの心のどこかに 勇気という光があれば(well)それをあなた以外の誰かのために使うのがいい』



7.見る前に跳べ.com

2013年、スガさんの独立時代に、「キリン のどごし<生>」と12誌の雑誌のコラボレーションで『のどごし 夢の雑誌ドリーム キャンペーン』が開催された。

12誌がそれぞれ夢の企画を立ち上げ、人気投票で上位3位に入った雑誌の夢の企画を実現させる!というキャンペーンで、音楽雑誌MUSICAは「スガシカオに、世界に一つだけの私のためのテーマソングを作ってほしい!」という企画を立ち上げたのだ。

当時、MUSICA以外のほとんどのメディアが大手事務所を辞めたスガさんを腫れ物扱いし、表舞台に立てなくなっていた事もあり、我々スガマニア一同は気持ちを1つにして毎日頑張って投票したのを、昨日の事のように覚えている。

その甲斐あって見事にTOP3に入ったこの企画で、マジシャンを目指しているというファンのためにスガさんが書き下ろした曲がこの曲だった。
(※ちなみに、そのファンの方は見事に夢を叶えてプロのマジシャンの道に進まれてます。)

このアルバムに入った事で、あの頃逆風に立ち向かっていたスガさんを「この人(の存在)を消されてたまるか。私たちが消させない!」と必死になっていたスガマニア一人一人の想いも、無事に昇華できたんじゃないかと思う。

『鏡に向かっていつも言ってたら最近は 自分が天才に思えてきて 友達はきっと まだそれを知らないゆえ 一斉メールで宣言しておこうかと』


8.きみが好きです

スガシカオの音楽が、何故他の音楽では届かないようなココロの奥の一番暗く柔い部分に響くかと言うと、そこに一つもウソが無いからだ。

恋に破れた時の、あのどうしようもなく恥ずかしい、消えてしまいたいような辛い気持ちを、ドロっとした剥き出しの感情を、スガさんの声が1番映える7thコードに乗せて歌われる歌唱が本当に素晴らしい。

「死ね」という強烈なワードが3回出てくるんだけど、その歌い方の使い分けといい、歌うたいとしてのスガシカオの魅力が詰まった楽曲だと個人的に強く思っている。

『キレイな言葉でそっと嘘を隠したでしょう? 君が好きです 君が好きです 君が好きでした』


9.6月9日

2曲目の『Le'ts get it on』の所でも触れたが、今年の6月9日にスガさんの大切なスタッフであった恒川理さんが天国に旅立たれた。

葬儀の弔辞を依頼されたスガさんは、弔辞の中で「つねちゃんのことをうたった歌、ニューアルバムに入れるよ」と言われたそうで、その約束を果たして作られたのが、この曲。

恒川さんに語りかけるスガさんの悲しみが、やりきれない想いが、淡々と、でも優しく響く歌声から伝わってきて、聴く度に胸がいっぱいになる。

歌詞の内容からも、スガさんと恒川さんが本当にいい関係性だったんだなぁと感じて、スガさんが一番キツかったであろう独立直後からの道程を共に歩んでくださって、スガさんにとってどれだけ心強い存在だっただろうと思いを馳せてしまう。

スガさんがちゃんと歌にしてくれて、このアルバムに入れてくれて、本当に良かった。

恒川さん。この曲が有る限り、僕らファンも貴方のおかげであの素晴らしいライブが有った事を決して忘れません。
本当に本当に、ありがとうございました!

『明日は君がむかし遅刻したあの場所で 集合時間は同じ13時半だぜ』


10.情熱と人生の間(2024 ver.)

2014年にAcoustic Soulシリーズの“はじまりの歌 ”となったこの曲を、2024年にAcoustic Soulシリーズの“終わりの歌 ”としたのは、それだけスガさんにとって自信作である証だと思うが、内省的かつ深い歌詞といい、ライブ映えするサウンド、グルーヴ感といい、まさにこの曲こそスガシカオ流Soul Musicの頂点だと個人的に強く思っている。

そして、2014ver.と2024ver.の演奏陣で共通しているのは(スガさんを除いて)ベースの坂本竜太さんとSaxのジュニアくんのみ。
2つのバージョンを両方聴けば、スガシカオの歴史とも言うべき演奏者がほぼ勢揃いするというのが、マニアにはたまらない😂

アレンジがスガさん→森俊之さんに変わった事で、逆にのびのびと躍動するスガさんの歌声と、FIRE HONESという枠組みから出た事で良い意味で主役感が増したジュニアくんのサクソフォンが、まさに情熱が絡み合うかのような高揚感を産み出していて、初聴きの時「もう!最高かよ!」って思わず叫んでしまった✨

『⚪︎でも×でもない ただ過ぎる毎日と風景 生きる意味なんて 生きてるうちは見えないみたい』


以上10曲!「近しい人に手紙を書く」というコンセプトで作ったとスガさんが公言している通り、このアルバムには“ ありのままのスガシカオ”が詰まってる、最高に素敵なアルバムでした!
間違いなく、「スガシカオ史上最も泣けるアルバム」だと、ここに断言しておきます😭

更に、初回限定盤に同梱されてるスガさん初の書き下ろし実録小説は、スガさん曰く「11曲目」との事なので、奇跡的にどこかに初回限定盤が残っているのを発見した方は、ぜひとも初回限定盤の方の購入を強くオススメいたします!

いや、現役書店員の俺から言わせてもらっても、小説マジで名作です!笑えて泣けて、たぶん読み終わった時には、今よりスガシカオさんをもっと好きになっていると思います✨

そして、この「スガシカオ史上最も泣けるアルバム」を引っ提げての全国ツアーが、12月9日東京公演(たましんRISURUホール)からスタートするんですが、『Shikao & The Family Sugar TOUR 〜Acoustic Soul〜』というツアータイトルからお察しの通り!そう、スガさんのデビュー当時からブレイクまでを支えていたオリジナルファミシュガが、遂に復活するのです✨✨

間違いなく伝説のツアーになるであろう今回のツアー、本当に本当に楽しみです!
スガシカオの音楽を一度でも良いと思った事がある方、特に初期の曲が好きだという方、今回のツアーは必見ですよ!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました😊


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