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【WSH】レーン・トーマスを放出
トレード期限が迫り、市場の動きが活発になってきました。ナショナルズが主力外野手のレーン・トーマスをガーディアンズに放出するトレードを成立させました。売り手トレードは先日のハンター・ハービー、ジェシー・ウィンカーに続いて3件目です。それでは今回のトレードを整理していきます。
☆トレードサマリー
The Nationals acquired LHP Alex Clemmey, INF José Tena and INF Rafael Ramirez Jr. from the Cleveland Guardians in exchange for OF Lane Thomas on Monday.
— Washington Nationals (@Nationals) July 29, 2024
More: https://t.co/Fw8OZupmm5 pic.twitter.com/FNxtaajcHi
ナショナルズはFAまで1.5年のトーマスを放出。見返りとしてMLB公式でCLE傘下内8位のアレックス・クレミー、22位のラファエル・ラミレスJr.、開幕時22位(現在圏外)のホゼ・テーナという3名のプロスペクトを獲得しました。
CLEサイドとしては、現在外野のレギュラーとして新人のジョンケンシー・ノエルとエンジェル・マルティネスを起用していましたから、プレーオフに向けて実績のある外野手を獲得できたことはプラスでしょう。WSHサイドとしては、トーマスは来季まで保有できましたが、来季保有したところでコンテンドできる状況ではないので、売るのが賢明でした。
トーマスは左殺しな反面、対右投手に弱く(今季対左OPS.922/対右.633)、コンテンド球団ではプラトーン要員になる可能性があった点、来季まで保有できるものの、すでに今季年俸が$5.45Mで、来季は$7~8M程度と考えるとプラトーン要員としては割高になってしまう点から、メインの見返りは傘下20位程度にとどまるのではないかと見ていたので、今回の見返りには驚きです。
そもそもトーマスは21年にジョン・レスター(16先発/防御率5.02)の1対1トレードで獲得した選手なので、プロスペクト3名に錬金術した時点で素晴らしいです。マイク・リゾーGMはハービー、ウィンカーに続いてセルハイの素晴らしい働きをしたと思います。
☆トーマスについて
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前述のとおり、トーマスは21年にレンタルトレードとなったレスターの見返りとしてSTLから移籍してきました。獲得時は「4番手外野手になれば御の字」という評価でしたが、予想外のブレイク。23年には28本塁打/20盗塁の活躍でfWAR3.1をマークしました。今季は5月終了時点でwRC+65と不調でしたが、6月以降131とブーストに成功。結局シーズンのwRC+は108で、大ブレイクだった昨季の109とほぼ同じ水準まで戻しました。守備指標が悪いためWARは昨年よりも落ちそうですが、CLEは手薄な外野陣の補強に成功したと言えるでしょう。
Lane Thomas: "It would fun to see this thing through with a lot of these young guys, but they're going to be fine. The talent you've seen from James and CJ and MacKenzie and all the guys who have so much time to improve. It'll be fun to watch. I'll be rooting for them for sure."
— Mark Zuckerman (@MarkZuckerman) July 30, 2024
移籍に際してのトーマスのコメントが泣かせます。
ざっくり意訳「若い選手達を見ているのは楽しいだろうね。でも、彼らは大丈夫だよ。ジェームズ(ウッド)、CJ(エイブラムス)、マッケンジー(ゴア)など、まだ若くて成長の余地がたくさんある選手たちから見てきた才能...見ていて楽しいでしょう。もちろん、彼らを応援します。」
4年間ありがとう!新天地での活躍を願っています。そしてまた縁があればまたナショナルズで…。
☆見返りについて
①アレックス・クレミー(LHP)
アレックス・クレミーは23年ドラフト2巡目の19歳左腕です。MLB公式でCLE内8位、Baseball America中間期で7位の評価を得ていました。常時95マイル/最速98マイルの4シームを中心に、80マイル中盤のスライダー、80マイル後半のチェンジアップを投じるパワーレフティです。今季は1Aでプロデビューし、19先発で防御率4.67・奪三振率32.6%・与四球率15.8%。防御率は今一つですが、FIP3.62/xFIP3.53は良好です。
エフォートフルなフォームでコントロールに欠点があるので、フォームの修正が必要でしょう。ハイリスクですが、エース級の球威がある点は魅力です。
②ラファエル・ラミレスJr.(SS)
ラファエル・ラミレスJr.は22年に国際アマチュアFAで入団した19歳のSSです。MLB公式でCLE内22位、Baseball Americaの中間期で20位の評価を得ていました。同名の父は球宴SSというサラブレッドで、スムーズな左スイングと野球IQの高いプレースタイルが特徴です。
昨季17歳の若さでRに抜擢されるとwRC+133と結果を出して評価を上げました。今季はAで打率.187、wRC+89、三振率32.9%と苦戦していますが、年齢を考えればそう悲観する必要は無いでしょう。普通ならRでプレーすべき年齢です。傘下内に有望なSSプロスペクトが枯渇しているので、長い目で見守りたいところです。
③ホセ・テーナ(SS)
ホセ・テーナは17年に国際アマチュアFAで入団した23歳SSです。MLB公式で開幕時CLE内22位(現在圏外)、Baseball Americaの中間期で28位の評価を得ています。ハンドアイコーディネーションの高いハイセンスな打撃とSS中心に2B/3Bもこなせるユーティリティー性が強みです。
今季は3AでwRC+116と頑張っていますが評価は開幕時よりも落ちています。昨季MLBデビューして18試合に出場したものの、今季は他選手の台頭に押され、MLB定着に至っていない点がマイナスポイントでしょうか。4月は不調でしたが、5月以降はwRC+143と素晴らしい内容です。ホームランバッターでもないのにフリースインガーで、アプローチに難があるのが欠点です。
ですが、23歳で3Aで平均以上打っていて守備も内野全部そこそここなせる選手は貴重です。MLBではアプローチ難から数字を落とすでしょうが、今ロースターにいるナシム・ヌネスやトレイ・リプスカムよりは打撃面を期待できるでしょう。即戦力のベンチ要員として期待です。
おわりに
今日0.1回5失点で見事にバリューを落としたカイル・フィネガンはどうなるでしょうか。また動きがあったら更新したいと思います。
長文をお読みになっていただき、ありがとうございました。よろしければ「スキ💓」をいただけると、記事作成の励みになります。
Photo:https://x.com/Nationals/status/1818069940689125705