【WSH】主力5選手をトレード放出へ
今年のトレード市場で売り手に回ることが報道されていたナショナルズが、主力5選手を放出する4件のトレードを立て続けに成立させました。ここまでの動きは完全にTDLの主役となっています。それでは4件のトレードを振り返っていきます。
①B.ハンドをTORへ放出
まずは日本時間30日の夜中に発表された1つ目のトレードから。抑え左腕のブラッド・ハンドを放出し、見返りとして25歳の若手捕手ライリー・アダムスを獲得しました。アダムスはMLB公式でTOR内17位のプロスペクトで、6-4/246というガッシリ体型のパワー型捕手です。マイナー4シーズンでOPS8割超え3回、今季3Aで35試合/7本塁打と長打力を発揮する一方で、三振が多く打率の低さが弱点です。将来像は「低打率だが一発が狙える控え捕手」でしょうか。
実績十分のハンドの見返りとしては物足りない印象ですが、今季はリリーフ転向後ワーストとなる防御率3.59と不調なことを考慮すれば、MLBデビュー済みの選手を得られただけ良しと見るべきでしょう。また、正捕手ヤン・ゴームズをトレードで売る布石かもしれません。
②K.シュワバーをBOSへ放出
6月に16本塁打を放ち月間MVPに輝くなど爆発的なペースで本塁打を量産していたカイル・シュワバーはBOSへ放出。見返りとして20歳のメキシコ出身右腕アルド・ラミレスを獲得しました。カーブ&チェンジアップをコントロール良く扱う投球技術を評価されていましたが、今季は90マイル前半だった速球が平均93.5マイルに達するなどパワーアップ。Aで8先発して防御率2.03・K/BB=4.00と好投していました。
シュワバーは来季$11Mの相互オプションがありますが、相互オプションはほとんど行使されることがないため、実質レンタル物件です。また現在ハムストリングの故障でIL入りしていますから、復帰後も以前のように打ちまくれるかは未知数です。ラミレスは球威的に平凡でローテーション下位タイプのプロスペクトですが、今季評価を上げた選手を故障中のレンタル物件で取れたのなら良かったと思います。
③ダニエル・ハドソンをSDへ放出
続いて、今オフにFAとなるダニエル・ハドソンをSDへ売却。見返りとして23歳右腕メイソン・トンプソンと21歳内野手ジョーディ・バーリーを獲得しました。ハドソンは今季防御率2.20・K/BB=6.86と好投しているだけあって、個人的にはハンドよりも良いパッケージかと思いきや、更新されたMLB公式のプロスペクトランキングを見ると、ハンドの対価であるアダムスは10位、トンプソンは13位、バーリーは23位とそうでもない様子。(個人的にアダムス10位は過大評価だと思います…)
トンプソンは今季MLBデビューし4試合に登板しているパワーリリーバーで、少ないサンプルながら平均球速98.0マイルを計測しています。制球面に不安がありますが、ハドソンの後釜として期待です。バーリーは身体能力の高い内野手で、今季Aで33盗塁と足があります。打撃の評価が高くないため、メジャーまで上がれるかは微妙なところですが、レンタル物件の見返りですからもらえただけでOKでしょう。
④M.シャーザー&T.ターナーをLADへ放出
オフにFAを迎えるマックス・シャーザーと来季まで保有できるトレイ・ターナーをLADへ放出。見返りとして球界のトッププロスペクトであるキーバート・ルイーズ&ジョシア・グレイに、MLB公式でLAD内17位のプロスペクトのジェラルド・カリーヨ、19年にマイナーで20-20を達成のドノバン・ケーシーという4人のプロスペクトを獲得しました。
LADはチームのNo.1、No.2プロスペクトを両方放出するという超大型トレードになる見込みです。特にキーバート・ルイーズは今季3Aで打率.311・16本塁打・OPS1.012と課題とされていた長打力が開眼。個人的には+α枠となるカリーヨ、ケーシーに物足りなさを感じますが、それだけ今季のルイーズがバリューを上げた、ということなのでしょう。グレイはややアンダーサイズながらローテーション半ばクラスのポテンシャルの投手で、シャーザーの後釜として期待です。
LADが出し過ぎという声もありますが、個人的にはトントンだと考えています。ルイーズ、グレイ共にマイナーでは無双していますが、少ないMLBのサンプルではまだ結果を出せていません。適応にはまだ時間がかかりそうですし、今が評価のピーク(売り時)と見たのかもしれません。また、カリーヨ、ケーシーの放出はLADにとって痛手にならないでしょうし、そう考えると両者にとって思惑通りのトレードだったのかもしれません。
おわりに
完全に今日の主役だったナショナルズ。放出した5選手のうち、ターナー以外の4名はレンタル物件だったので、オフに補強して来季もう一度勝負、という可能性も否定しきれません。
ヤン・ゴームズとジョシュ・ハリソンも今オフFAのため、売れるなら売ることになるでしょう。また、来季まで保有できるジョシュ・ベルも場合によっては放出の可能性があります。この後、日本時間31日の午前5時がデッドラインとなりますが、まだまだナショナルズの解体ショーは続くのでしょうか。目が離せません。
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