【WSH】来年のドラフト全体1位は誰?
前回の記事と時系列が逆転してしまいますが、ナショナルズが来年のドラフト全体1位指名権を獲得しました。事前の1位オッズは10.2%で、球界4位。マーリンズとロッキーズが22.5%でオッズのトップでしたが、そこを上回って奇跡の大勝利を収めました。ナショナルズのドラフト全体1位指名はスティーブンソン・ストラスバーグ(2009年)、ブライス・ハーパー(2010年)に次ぐ球団3度目となります。
神様、仏様、アダムス様
今回のロッタリー1位の裏話。2019年ナショナルズ世界一メンバーであるマット・アダムス氏がロッタリー抽選で1位を引き当てました。アダムスはコーチになりたくて人脈つくりのためにウィンターミーティングに参加していました。そこで偶然マイク・リゾーGMと遭遇して、ナショナルズのロッタリー代表を依頼されました。そして抽選で1位を引き当てたと。本当にありがとうございます。ぜひいつかナショナルズでコーチをやってください。
来年の1位候補は?
やはり気になるのは来年全体1位でナショナルズが誰を指名するかです。現在ナショナルズは再建が整いつつあり、C.J.エイブラムスやジェームズ・ウッドらと並んでチームのコアとなる即戦力選手が欲しいところです。狙うべきは①大学生、②内野(外野は飽和気味)でしょうか。
ジェイス・ラビオレット(OF):テキサスA&M大
ラビオレットはMLB公式のドラフトリストで2位にランクインしています。6-6/230という迫力ある巨体にパワーと運動能力を兼ね備えた5ツール候補です。特にパワーは上位10%打球速度109マイル/最速打球速度116マイルを計測しており、ダブルプラス水準です。1年時に21本塁打/OPS1.047、2年時は29本塁打/OPS1.175とすでに国内屈指のスラッガーに成長しています。唯一にして最大の欠点はコンタクト能力です。通算132試合で156三振、三振率25.4%を記録しています。四球も稼げていますが、直立不動でストライドの小さいガチッとしたやや硬い印象のあるスイングで、ゾーン内の空振りが多いようです。守備は1年時は両コーナー、2年時からセンターに転向しています。センターとして優秀な守備を見せているようですが、最終的にはライトに落ち着くとの予測です。大学生選手という点ではドンピシャですが、すでに外野コーナーはディラン・クルーズとウッドと再建の柱になりそうな選手が2枚いるので、そこが悩みどころです。
アイバ・アーケット(2B/SS):オレゴン州立大
アーケットは広角にラインドライブを量産する打撃力を評価されており、素早いバットスピードと身長6フィート4の恵まれた体格からパワーも20~25本塁打級への成長が期待されています。守備面の評価も高く、大学では2年間2Bを守ってきましたが、夏のケープコッドリーグではSSとして経験を積みました。来季はワシントン大からオレゴン州立大に転校予定です。現時点では、ナショナルズの内野陣は不透明な部分が多いです。2Bのルイス・ガルシアは良いとして、3Bは固定できておらず、SSのエイブラムスも守備難で数年後にコンバートされる可能性があります。内野の有望株ではブレイディ・ハウスが3Aまで上がっていて、今年のドラフト1巡目選手シーバー・キングも控えています。2-3年後の内野の布陣は予想もつきません。アーケットはプラスの強肩の持ち主で、プロフィール的に3Bにもフィットしそうですし、ジョーダン・ウェストバーグのような複数ポジションOKのスーパーユーティリティに向いている気がします。ただ現時点では全体1位としては能力不足でしょうか。
イーサン・ホリデイ(SS):スティルウォーター高校
ジャクソン・ホリデイ(BAL)の弟です。高校生選手ですが、MLB公式のドラフトリストで1位にランクインしている超有望選手です。BAの最新モックでもナショナルズが指名すると予想されていました。6-4/190のガッシリ体型で、二遊間をハイレベルでこなせる兄ジャクソンよりも、球宴7度の父マット似とされています。スイングは兄ジャクソンにそっくり。30ホーマー相当のパワーポテンシャルと辛抱強いアプローチで四球を稼げる打撃スタイルが評価されています。守備面はSSに定着できるとは見なされておらず、最終的には3Bや外野コーナーがフィットすると予想されています。
タイラー・ブレムナー(RHP):カリフォルニア大学サンタバーバラ校
全体1位で投手を指名するのはあまり気乗りしませんが、エースポテンシャルの右腕です。24年は9先発/10救援で計88.2回を投げて防御率2.54・K/9=10.6・BB/9=2.1をマークし国内屈指の投手プロスペクトに成長しました。特筆すべきは球種の質の高さです。特に4シームは、下の投稿主によると、IVB(ホップ変化量)19.1インチ/HB(シュート方向への変化量)14.3インチとMLBトップクラスの変化量を誇ります。変化球ではチェンジアップが横変化19.2インチと平均を大きく上回っており、MLB公式のレポートによるとシーズンで空振り率46%を記録したようです。先発として1年間投げ抜いた経験がなく、6-2/190と体格も平均的なため、耐久力を証明していく必要があるでしょう。
ジェイミー・アーノルド(LHP):フロリダ州立大
今季19登板で105.2回を投げて防御率2.98・K/9=13.5・BB/9=2.2、国内3位の159Kを奪った左腕です。独特のサイドアングルから94マイル前後のシンカーと大きく横滑りするスライダーのコンビネーションで打者を翻ろうします。下の投稿によると、シンカーとスライダーはいずれも横変化量が大きい一方で、投球の約95%が速球&スライダーであること、球速が平均93マイル台と平均的であることがマイナスポイントでしょうか。十分優秀な投手だと思いますが、全体1位で指名するならもう少し球速を伸ばして欲しいところです。
おわりに
ここまでルール5ドラフトでの補強のみですが、何だか夢が広がりました。来年のドラフトが今から楽しみです。