見出し画像

【WSH】プロスペクトランキング【2024夏】

FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表してランキングを作成しています。
*選手のポテンシャルと現在のスタッツをベースに選手の将来的な価値(≒WAR)を総合的に評価しています。
*選手成績は24年8月12日時点のものです。

年齢・階級は24年8月12日時点のもの

FV65

1.ジェームズ・ウッド OF 21歳/MLB

MLBトップ級のパワー&スピードを備える巨漢選手。今季3AでwRC+174と大ブレイクを飾り、Baseball Americaでは全体1位プロスペクトに選ばれています。攻守の理想像は期待を込めてアーロン・ジャッジです。3Aでは平均打球速度95.1マイル/上位10%の打球速度108.7マイルとすでMLBトップクラスのパワーポテンシャルを示していますが、平均ランチアングル4度、フライ率18.4%と低弾道すぎてポテンシャルを生かしきれていません。MLB昇格後もこの傾向は変わっていません。フライ性の打球を増やしてジャッジのように本塁打を量産できるかが今後の課題となるでしょう。

FV55

2.ディラン・クルーズ OF 22歳/3A

昨年のドラフト全体2位指名。プロ1年目はソリッド(2AでwRC+122、3Aで)ながら、「ブライス・ハーパー級の逸材」というドラフト時の期待に見合う成績は残せていません。内角/高めの速球の対応に課題がありますが、3A昇格後は引っ張り率が27.3%から47.8%に上昇するなど、速球を引っ張って長打にする場面も増えています。適性は逆方向重視のラインドライブヒッターと見ていますが、プルヒッティングをマスターできれば30HR以上も狙えるのではないでしょうか?昨年は「CF版アンソニー・レンドン」でWAR6.0前後が将来像と書きましたが、ランディ・アロザレーナやブライアン・レイノルズのようなWAR2.0~3.0のソリッドレギュラーが成功例でしょうか。

FV50

3.ブレイディ・ハウス 3B 21歳/3A

21年のドラフト1巡目選手。今季は各媒体で評価を落としていますが、21歳のシーズンで2AでwRC+107は十分です。(BABIP低めなので運が良ければ120くらいも狙えた?)昨年より四球率アップ、低ゴロ率維持と課題のアプローチ面で成長が見られたことの方が収穫です。3A昇格後は雑なアプローチでサードゴロを連発していますが…。ジョシュ・ヤン(TEX)のような「25本塁打・OPS8割・3B守備平均レベル」でWAR3.0前後が完成型という見立ては昨年と変わらずです。

4.DJ ハース SP 23歳/MLB

良い意味で期待を裏切ってくれました。「最終的にリリーフの一角になってくれれば…」との見立てでしたが、ローテーション中軸クラスのポテンシャルを見せています。平均90マイル程度と見られていた速球もMLBでは平均93.4マイルに上昇。好不調の波が大きいのが欠点ですが、11先発でK/9=11.6・BB/9=3.1は立派です。来季はゴアと二枚エースで頼みます。

5.ハーリン・スザーナ SP 20歳/A+

MAX103マイルの速球と90マイル超のスライダーでねじ伏せる剛腕です。今季途中から課題のコマンドが大きく改善され、直近10先発(Aで6試合/A+で4試合)で50イニングを投げ、防御率1.62・K/9=13.5・BB/9=2.5・被本塁打1本と覚醒しています。来季次第では球界トップクラスの投手プロスペクトに評価を上げるかもしれません。

6.トラビス・シッコーラ SP 20歳/A

23年ドラ3の高卒右腕。6-6/232の巨体から95マイル超の速球とスライダーを軸に対左打者にはスプリットチェンジを織り交ぜ、コマンドも安定しています。今季はフルシーズン1年目ながらしっかりとローテを回し、Aでの15先発で防御率2.42・K/9=13.6・BB/9=3.0と申し分ない成績。特にここ2先発で11イニング無安打無失点18K/1BBと完璧な内容です。投げ方を含め、ポール・スキーンズのような雰囲気があります。

7.ケイド・カバリ SP 25歳/MLB

TJ手術で昨季全休、今季もやっとA+でリハビリ登板を始めた程度で、本格復帰は来季になりそうです。プロに入ってすぐに台頭した印象でしたが、来季26歳でようやくMLB本格デビューと考えると、TJによるリスク低下って怖いですね。来季は開幕3Aで調整してもらって、中盤からはローテーションの一角として活躍を期待したいです。

FV45

8.アレックス・クレミー SP 19歳/A

レーン・トーマスのトレードのメインパッケージ。23年ドラ2の高卒左腕で、6フィート6の長身からMAX99マイルを投げ込むローテーション上位ポテンシャルの持ち主です。CLE傘下では、5月以降は14先発で防御率2.48とフルシーズン1年目にして適応しつつありました。コントロール向上が課題です。

9.シーバー・キング 3B/CF 21歳/A

今年のドラフト1巡目大学生。パワーとスピードを両立し、内外野こなすユーティリティー性も持ち合わせています。フリースインガー傾向があり、選球眼に課題がある点と守備位置が不透明(一応SSとしてドラフト指名)な点が懸念事項です。どことなく、オースティン・マーティン(現MIN)を連想させます。早期昇格でコンテンドのラストピースになってくれれば…!

10.ケイレブ・ロマビタ C 21歳/A

ハンター・ハービーの見返りである全体39位指名権で指名した捕手。高い打撃センスと捕手離れしたアスリート性が魅力で、MLB公式はウィルソン・コントレラスと比較していました。俊足を生かして3BやOF適性もあると見られていますが、捕手に残れるなら捕手で起用した方がアドが取れるでしょう。まぁ2032年まで保有できる正捕手がいるので、OFで起用できた方がチームとしては理想なのかもしれませんが…。

11.ヨハンディ・モラレス 3B 22歳/2A

昨年のドラフト2巡目選手。60ツールのパワーが武器のスラッガー候補で、3B守備も軽快です。今季は開幕から37試合でwRC+90。その後左親指の怪我でILに入っていましたが、7月30日に復帰。以降10試合で打率.361・3本塁打・OPS1.106と絶好調です。フルシーズン1年目でいきなり打者不利な2A(しかも北部の球場が多く、春先はプレーしにくい)にぶち込まれていたことを考慮すれば、春先の不調も仕方なかったと思います。

FV40+

12.ケイデン・ウォラス 3B 23歳/2A

ハンター・ハービーのトレードでKCから獲得したプロスペクトです。三塁手としてはパワー不足ですが、ライナー率が高く、今季2AでwRC+120とまずまず。どんぐり正三塁手争いに食い込めるか。

13.タイラー・スチュアート SP 24歳/2A

ジェシー・ウィンカーとの1対1トレードでNYMから獲得した右腕です。6-9/250の巨体から94マイル前後の速球と横滑りするスイーパーのコンビネーションでゾーンを揺さぶります。ナショナルズ傘下加入後、3先発で防御率1.62・K/9=14.6・BB/9=2.2と素晴らしい投球を披露しています。トレード時傘下20位程度の評価だった点と2Aですでに好投している点から、今季飛躍を遂げたDJハースと立ち位置が似ていると思います。ハースのように来季MLBに定着できると良いですね。

14.ジェーク・ベネット SP 23歳/A+

23年はAで防御率1.93と好投も、23年9月にTJ手術で今季は全休。来季の復帰を目指しています。完成度の高いワークホースタイプで、球速のレンジは91-94マイルほど。健康に復帰できれば、6フィート6の巨体も含めてジョーダン・モンゴメリーが理想の完成型と見ています。

15.ルーク・ディッカーソン SS 19歳/---

23年ドラ2の高校生。非1巡目選手としては現行のボーナスプール制度が始まってから最高額となる$3.8M(全体22位相当の契約金)で契約しました。ホッケーとの二刀流で鳴らしたアスリートで、今春トラウトと並ぶニュージャージー州記録タイの18本塁打を放ちました。スイングや雰囲気もどことなくトラウトっぽさを感じます。

FV40

16.アンドリー・ララ SP 21歳/2A

昨年「個人的にトップ100プロスペクト級のポテンシャルを秘めている」と書きましたが、今季はその期待に見事応えています。A+を6先発/防御率2.35であっさり卒業。21歳のシーズンで2Aに到達し、14先発で防御率4.13/xFIP4.04なら上出来です。

17.ホセ・テーナ IF 23歳/MLB

トーマスの見返りの1人です。ユーティリティー枠ですが、今季3Aで上位10%の打球速度105マイル(MLB平均104)、ハードヒット率51.5%とパンチ力があります。アプローチの荒さを改善できればブレイクの可能性を秘めています。ルイス・ガルシアJr.のようになれれば…。

18.ロバート・ハッセルⅢ OF 22歳/2A

フアン・ソトの見返りの1人で、ヒットツールが高評価のCFです。トレード時は完成型をアンドリュー・ベニンテンディ(CWS)と見ていましたが、伸び悩んでおり、ジェーコブ・ヤングとのプラトーンCFもしくは第4の外野手が現実ラインでしょう。今季は3年目の2AでついにwRC+114をマークしましたが、ISO.091・ゴロ率59.9%とパワーレスは相変わらず。

19.デイレン・ライル OF 21歳/2A

21年ドラフト2巡目。ヒットツールが良い両翼選手で、FanGraphsはデービッド・ペラルタやラモンテ・ウェイドJr.を比較対象に挙げています。今季はA+でwRC+116、2Aで105とまずまずな内容ですが、計100試合で4本塁打のみ。LFメインの選手としてはパワー不足が否めません。ペラルタやウェイドJrほどのパワーナンバーがついてくればよいのですが…。

20.ケビン・バゼル C/3B 21歳/---

今年のドラフト3巡目。大学でゾーン内コンタクト率93%(MLBだとスティーブン・クワンとかホセ・ラミレスと同水準)という並外れたコンタクト能力が武器の攻撃型捕手です。昨季まで3Bメインだったため、捕手能力の向上が今後の課題でしょう。

21.アライジャ・グリーン OF 20歳/A

22年ドラフト全体5位指名の5ツール候補です。打球速度116マイルのHRを放つなどポテンシャルは凄まじいのですが、Aで打率.197・三振率44.1%はさすがにひどすぎます。それでも7月以降はwRC+150と開花の兆しが…。三振率は相変わらず40%を超えていますが。

22.ビクター・ウルタド OF 17歳/DSL

今年1月に$2.8Mで契約した原石です。DSLではwRC+76と苦戦しましたが、今後の成長に期待です。

23.アンドレス・チャパロー 3B/1B 25歳/3A

ディラン・フローロとの1対1トレードでARIから獲得したスラッガータイプのプロスペクトです。今季3AでwRC+141ともうマイナーではやること無し。ナショナルズ傘下加入後も10試合で4本塁打と好調です。あとはMLBでどれだけ打てるか。フリースインガー傾向が懸念事項です。

24.ケビン・マデ SS 21歳/2A

昨夏ジェイマー・キャンデラリオのトレードで獲得しました。守備力を高く評価されていますが、打撃で伸び悩んでおり、完成型は守備型ユーティリティーとの見立てです。今季はA+での72試合でwRC+102と及第点レベルのパフォーマンスで、2Aまで来ました。年齢的には今年のカレッジドラフト組と同級生なので、それで2Aまで来てると考えれば割と有望です。

25.ラファエル・ラミレスJr. SS 19歳/A

トーマスの見返りの1人で、同名の父は元球宴SSです。昨季RでwRC+133をマークし、今季はAに積極昇進を果たしましたが、wRC+91、三振率33.5%と苦戦しています。学年的には26位のバケーロより1歳下で、今季18歳扱い。まだ若いので来年Aに適応できればOKだと思います。

26.クリシアン・バケーロ OF 19歳/A

21年に契約金$4.9Mで入団したキューバ出身のトップアマチュア選手。ダブルプラスのスピードが武器の5ツール候補です。22年(DSL)、23年(R)とwRC+100以上のまずまずな成績を残してきましたが、今季はAでwRC+76、三振率34.2%と玉砕。

FV35+

27.エンジェル・フェリス SS/3B 17歳/DSL

今年1月に$1.7Mで契約したトップアマチュア。身長6フィート3と体格に恵まれており、パワーポテンシャルを期待されています。DSLではwRC+116と順調なプロデビューを飾っています。

28.ブラッド・ロード SP 24歳/3A

22年ドラフト18巡目という下位指名ですが、今季2Aで12先発/防御率1.40、3Aで8先発/防御率3.27とブレイク。速球は平均92マイル程度ですが、リリース高5.49フィートという低リリースから繰り出されるため打ちにくく、スライダー&チェンジアップとのコンビネーションで打者を打ち取ります。来季もパフォーマンスを維持できれば、スポットスターターで試されるでしょう。

29.アンドリュー・ピンクニー OF 23歳/2A

23年のドラフト4巡目選手で、ヒットツール△な5ツールタイプのアスリートです。CF中心に外野3ポジション守れ、完成型は覚醒前トーマスのようなWAR1.0前後のバックアップ外野手と見ています。今季2AでwRC+100なら及第点でしょう。

30.ザック・ブリークシー RP 25歳/3A

今季TJから復帰してR/A+/2Aで27.1回を投げて防御率2.30・K/9=11.9と順調な回復ぶりです。先日3Aへの昇格が決まりました。昨年の30位をジェーコブ・ヤングにしていた無能アカウントですので、ブリークシーも来季頑張ってほしいですね。

その他の注目選手

30位から漏れてしまった「プロスペクト」っぽい選手を何名か紹介したいと思います。

①T.J.ホワイト 1B/OF 21歳/A+

パワーが自慢の両打ちスラッガー。しかしコンタクト能力が弱点で、A+で打率.204・三振率31.2%と才能を発揮できていません。

②マーキス・グリッソムJr. RP 23歳/2A

同名の父はMLB通算227HRの元名選手です。速球は92-94マイルほどですが、70評価のチェンジアップを武器にA+/2Aで防御率1.52と好投しています。

③ダシル・デヘーダ OF 18歳/DSL

スピードが武器の選手で、今季DSLでwRC+136・38盗塁の活躍。リーグのオールスターチームにも選ばれました。

④ブレナー・コックス OF 20歳/A

22年ドラフト4巡目の高卒選手でポテンシャルは非凡です。今季は2年目となるAでwRC+126と結果を出しましたが、三振率35.4%は黄色信号です。

⑤サー・ジェイムソン・ジョーンズ C 18歳/---

今年のドラフト15巡目高校生。オーバースロットとなる契約金でプロ入りを決めました。パワーが武器の攻撃型捕手です。

⑥オーランド・リバルタ RP 26歳/3A

今季2A/3Aで41試合に登板して防御率2.58・K/9=13.3をマークのリリーバー。平均95マイル超/スピンレート2549rpmの4シームが魅力で、スライダー&チェンジアップも優秀です。

⑦ジャクソン・ケント SP 21歳/---

今年のドラ4カレッジ左腕。今春に球速・制球いずれも向上しました。緩急で打ち取るバックエンドSPタイプです。

長文をお読みになっていただき、ありがとうございました。よろしければ「スキ💓」をいただけると、記事作成の励みになります。
Photo:https://flic.kr/p/w9jDLx

いいなと思ったら応援しよう!