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「SHIFT」に学んだ課題解決のフレームワーク

濱口秀司さんの「SHIFT:イノベーションの作法」を読み返したんですが、読めば読むほど素晴らしいことに気づかされました。

4500円くらいしますが、その価値全然ある。

濱口さんはUSBフラッシュメモリーやイオンドライヤーなどを生み出した世界的ビジネスデザイナー。

彼が訴えるのが、アイデアを実行する段階(具体的な段階)においては多くのフレームワークが整備されているが、アイデアを考える段階(抽象的な段階)にはフレームワークがない問題。

アイデアを生むときにこそフレームワークがないと、イノベイティブは生み出せないと考えてらっしゃいます。

特にこの本で感銘を受けたのは、国立競技場問題に触れた思考実験。

トレードオフの関係を見つける

コンペで選ばれたのは、世界的な建築家である故ザハ・ハディッド氏のデザイン案。ただ、蓋を開けてみると予算の倍近い建設費がかかることがわかりました。

税金が使われるわけなので、当然、国民からの猛反発を食らいます。コンペはやり直しとなり、予算内で建設可能な案で作られることになりました。

濱口さんはこれを題材に、解決方法の思考実験を展開します。彼はまず、トレードオフの関係を抽出することから始めました。

ザハの案を通せば、建設費は膨らみ国民から反発される。つまり「金額」と「国民の許容度」が相反関係にあるわけですね。

なのでその関係を逆にすればいい。

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こんなイメージ。ザハ案に近づけるほど金額が上がり、国民の許容度が下がっていくので、右のように金額を下げて許容度を上げればいいんでしょ?と。

「いや、それがむずいから問題なんでしょ!」とツッコミが入りそうですが、まだ我慢です。ここでは「金額が上がる要因」だけにフォーカスして考えるのです。

例えば「アフリカでやれば、土地代も人件費も安く済むのでは?」と。

ええ。おっしゃりたいことはわかります。東京五輪のための国立競技場なのにアフリカにあったら意味ないじゃんって言いたくなりますよね。ただ、ここで着目すべきは「場所を変えるとコストが下がる」という視点なんです。

日本国内でコストが下げられる場所はないかと調べてみる。するとお台場に建築予定の選手村の存在に気づきます。しかもお台場は港が近いという特徴がある。

建築資材は、それそのものにかかる金額もそうですが、海外から輸入する資材の輸送費や、運びやすくするため「資材の分解と組み立て」のコストがかかります。

渋谷区に運ぶための輸送費や、資材の組み立てコストを考えると、港に近いことはコスト削減に繋がる。じゃあ、競技場と選手村の場所をスイッチするのはどうか。

競技場建設予定地は都心ですから、選手村用に作った宿泊施設はその後のインバウンド需要のために残しておけば、長期的には得かもしれないという視点も生まれてくる。

なるほど…!と膝うちまくりました。

このトレードオフを逆転させる発想法は、かなり使えるフレームワークだと感じます。

パスワード忘れがち問題

トレードオフの関係にあるものとして、パスワードの安全性と覚えやすさの問題があります。パスワードの複雑度が上がると安全性は上がるけど、覚えやすさが下がっていく。

なので、どこかを逆にする。

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複雑なままであれば安全性は担保されるので、複雑で覚えやすい方法はないだろうか、と。

覚えにくい要因は文字数の組み合わせが多いからなので、じゃあ全部覚えなくて済むようにできればいいんじゃね?みたいに考えてみる。

するとパスワードに使われる文字のうち、覚えおく箇所と覚えなくていい箇所をつくる方法ってないかな?ってアイデアを思いつきました。

パスワードを使うサービス名の冒頭3文字+サービスロゴの色を英語にして冒頭1文字を大文字で+自分専用のパスワードを組み合わせて、間を「-」でつなげる方法とか。

LINEなら、あたまの3文字は「LIN」。ロゴは緑色でGreenなので「G」。そして自分でいつも使う「hogehoge」。これらを「-」でつなげると「LIN-G-hogehoge」となります。

応用してFacebookなら「Fac-B-hogehoge」、noteなら「not-B-hogehoge」、Googleなら「Goo-BRYG-hogehoge」みたいに、パターンで覚えてしまえます。サービスごとに違うパスワードにできるので、どれかが漏洩しても、被害が広がることはないというメリットもあります。

このようにトレードオフ関係にあるものをひっくり返す思考法は、かなり使えます。課題解決に悩んでる人は、ぜひトライしてみてください〜。

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桜川和樹
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