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第7回Zoomで健康 講演スライド(がん検診の)

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早速ですが質問です。
20代女性で、特に症状は無いとのことですが、有名人が若くして乳がんになり亡くなったというニュースをみて、心配になり乳がん検診(マンモグラフィ)を受けると、なんと陽性(異常あり)となってしまいました。
この方が本当に乳がんである可能性は何%でしょうか?
ただし、20代の乳がんの有病率を0.12%、マンモグラフィーの感度84%、特異度92%とします。
今回の講義では、これが計算できるようになるのが目標です!

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答えはたったの1.24%です。
マンモグラフィー検査で陽性になったにも関わらず1.24%です。
かなり低い確率と感じたと思います。
それでは、解説していきます。

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この計算を行う上で、上記4つを理解する必要があります。
これらは、コロナのPCR検査で最近ニュースでよく聞く言葉ではないでしょうか?

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まず感度です。
疾患に罹患している人で検査の結果が陽性になる確率
罹患してる人を「疾患あり」と正しく識別する
つまり、乳がんと確定している人に、検査を行い結果が陽性(=乳がんですよ)となる確率。乳がんの人を乳がんと正しく識別する確率です。
検査の種類・方法によって値が決まっていてマンモグラフィーの感度84%と言われています。

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続いて、特異度です。
疾患に罹患していない人で検査の結果が陰性になる確率
罹患していない人を「疾患なし」と正しく識別する
つまり、乳がんでは無いと確定している人に、検査を行い結果が陰性(=乳がんではないですよ)となる確率。乳がんでない人を乳がんでないと正しく識別する確率です。
検査の種類・方法によって確率が決まっていてマンモグラフィーは特異度92%と言われています。 

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さて、ここまでを整理していきたいと思います。
まず、このように2×2表を作成します。
分かりやすいように20代の全人口を10000人だと仮定します。
20代の人が乳がんにかかる確率を0.12%とすると、10000人×0.0012=12人が実際に乳がんということになります。

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ということは、当然10000人-12人=9988人が乳がんではないということになります。

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ここで感度84%を使います。
感度は、乳がんと確定している人に検査を行い結果が陽性(=乳がんですよ)となる確率ですので乳がんでかつ検査陽性の人は12人×0.84≒10人となります。

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そうすると、当然乳がんがあるのに、検査が陰性と出てしまう人は12-10=2人となります。

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次に特異度92%を使います。
特異度は乳がんでは無いと確定している人に、検査を行い結果が陰性(=乳がんではないですよ)となる確率ですので、乳がんではなくて、検査も陰性の人は9988×0.92≒9189人となります。

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そうすると、当然乳がんではないのに検査が陽性とでてしまう人は9988-9189=799人となります。

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そして最後に、
検査陽性の合計人数は10+799=809人
検査陰性の合計人数は2+9189=9191人  これで表がすべて埋まりました。

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重要なので、もう一度復習。

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ここでもう一つだけ用語の確認です。
陽性反応的中率とは、検査陽性の人のうち本当に病気のある人の割合、つまりマンモグラフィー検査で陽性となった人のなかで本当に乳がんである人の割合です。

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陽性反応的中率とはずばり、この問題の問いになります。

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この表を使って陽性反応的中率を計算してみます。
マンモグラフィー検査で陽性となった人のなかで本当に乳がんである人の割合なので10÷809×100≒1.24%となります。

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このようにして答えが導き出せました。

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乳がん検診では、マンモグラフィー検査が推奨されています。
そんな検査をせっかく受けて、陽性となっても本当に乳がんの確率が1.24%しかないのは、よっぽど検査能力が悪いんだ。医学の進歩が足りないという人がいますが・・・
例えば、検査能力が感度99%、特異度95%だったとします(ものすごくよい)
同じように計算してみると2.3%とわずかな上昇しか認められません。

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ここまで計算してきて、結局何が言いたいかというとがん検診などのスクリーニング検査は、むやみに受けても意味がないということです。
そもそも20代女性が乳がんになる確率は低く、心配だからという理由で検査を受けても意味がないだけではなく、この方は検査陽性になってしまったのでより侵襲の高い検査を受ける羽目になり最終的に乳がんでないことが分かりました。
余分な時間、お金、ストレスがかかってしまいました。
では、どういう方が検査を受ければよいか? それはリスクが高い人です。
上記グラフを見て頂ければと思いますが、同じ検査でもリスクが高い人(=有病率が高い人)に検査をすると陽性反応的中率が上昇しているのがわかります。

先ほどの例では、有病率0.12%→陽性反応的中率2.3%でしたが、有病率1%→5%→10%→50% 陽性反応的中率17%→51%→69%→95%と上昇しています。

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コロナのPCR検査で復習しましょう。
自分や周囲の人にも症状なし、人混みにも行っていない人(有病率 0.04%と仮定)がPCR検査を受けて陽性だったとします
PCR検査の感度80%,特異度99%とすると、本当にコロナの可能性はどれくらいでしょう。

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自分に症状あり、数日前に東京で会食した人(有病率 30%と仮定)がPCR検査を受けて陽性だったとします
PCR検査の感度80%,特異度99%とすると、本当にコロナの可能性はどれくらいでしょう。

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さてここで、今までの話を踏まえてどうやってがんを見つければよいか考えてみます。

方法は、①がんが疑われる症状をほっておかない②適切ながん検診を受診するです。

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がんが疑われる症状があるということは、がんである可能性が疑わしい状況つまり、検査前確率が高い状況なので積極的に病院を受診し検査を受ける必要があります。

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こちちらは、がんが疑わしい症状の例です。このような症状があれば、積極的に病院を受診しましょう。

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つづいて、適切ながん検診についてですが、どのようながんに対して、どのような人が、どのくらいの頻度で、どのような検査をしたら良いかというのは概ね決まっています。こちらが、日本で推奨されているがん検診項目です。こちらに関しては特に症状がなくても積極的に検査したほうがよいと思われます。

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甲状腺がん、卵巣がん、すい臓がん、精巣がんなどはリスクが高い人、なんらかの症状がある人を除いて、定期検診をおこなってもメリットが少ないといわれています。

最後に繰り返しになりますが、がんを適切に見つけるには、①がんが疑われる症状をほっておかない②適切ながん検診を受診する ことが重要です。

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