はじめましての人へ。サクラノキテラス プロジェクトについて
こんにちは、サクラノキテラス管理人/大石循環器内科医院医師の大石悠太です。
はじめましての方へ、簡単な自己紹介から。
私は2011年より医師となり、総合内科/循環器内科医として静岡県や、茨城県で働いてきました。今は(2020年現在)東京の大学院に通ったり、静岡の医院で診療をしています。その過程で、人を健康にするには医療行為だけではなく、”人と人とのつながり”が非常に重要だと思うようになりました。そのため、医院の中庭を勝手に”サクラノキテラス”と名付け、サクラノキテラスで2018年より”鷹匠さくらまつり”を開催してきました。(2020年はコロナウイルス感染症の影響で中止)そのような活動をもう少し広げようとサクラノキテラス プロジェクトを考えました。
このプロジェクトの概要は、コロナウイルス感染症が蔓延する前に考えました。しかし、コロナウイルスの影響で、”人と人とのつながり”がより希薄となり、それが影響して持病の悪化、運動不足、食生活の乱れなどが見られる方がでてきてしまっています。最近は、より一層”人と人のつながり”の重要性を感じています。今すぐにはできないこともたくさんありますが、まずは少人数だったり、Zoomを使うなど、できる範囲で、いずれはみんなで集まり、つながりをつくれたらなと思います。
以下にプロジェクトについてまとめましたので、もし興味があれば読んでください。
【1】サクラノキテラス プロジェクトの概要
サクラノキテラス プロジェクトとは、「地域の人と人とのつながり(コミュニティ)を使いこなす!!」をミッションにした活動です。
最近、つながり(コミュニティ)が色々な分野で注目されています。
医療界でも例外ではありません。
たくさんのコミュニティ(特に多世代・多種多様な人達で構成されている=ごちゃまぜコミュニティ)に所属している人の方が、健康的に長生きできることがわかってきました。
でも、どうやって自分にあった地域のコミュニティを見つけたり、参加したらよいでしょうか?
自分で、探すのはとても大変です。
そこで、私たちは、地域にあふれている皆さんのつながりを集めたり、一緒に作ったり、そしてそのつながりを必要としている人にお薬のように処方します。(社会的処方と言います。後で詳しく説明します)
この活動を通して、鷹匠を中心とした地域が、住んでいるだけで健康になれる街になることをビジョンとして活動していきます。
●concept:多世代・多種多様な人と人のつながり (ごちゃまぜなコミュニティ)
●mission:人と人とのつながりを使いこなす!! (つながりを探したり、作ったり、渡したり)
●vision:鷹匠を中心とした地域が住んでいるだけで健康になれる街になること
●value:ゆるく、楽しく、面白く
【2】プロジェクトの動機は“医療だけでは人は健康にできない“
“医療だけでは人は健康にできない“とは、どういうことでしょうか?
これは医療機関に日々訪れる患者さんを、川に流され助けを求める人になぞらえたものです。
下流で、溺れている人(患者さん)を助け(医療行為;手術、お薬など)続けても上流からどんどん溺れている人(患者さん)が流れてきます。
これでは、きりがありません。
そのため、上流で何が起こっているのかを見に行く必要があります。
川の上流を見にいくと、なんとそこには患者さんを生み出す【病気の工場】がありました。
溺れる人々を救い続けても、川の上流に分け入りその工場を閉鎖しない限り患者さんを減らすことはできません。
つまり手術、薬の処方などの医療活動だけを行うだけでなく(もちろんこれも非常に重要ではありますが)、その人の病気の根源(工場の材料)を解決しなければならないのです。
【3】病気の根源=工場の材料とは
では患者さんを生み出す病気の工場の材料(病気の根源)とは何でしょうか?
それは、人それぞれ原因は様々ですが、
多くは、家族・友人・知人・職場・地域社会とのつながり(社会的ネットワーク)の欠如
や、国の政策、所得や教育環境などと言われており、これらをひっくるめて「健康の社会的決定要因」と呼びます。
例えば、私の患者さんでこんな方がいました。
70歳男性で高血圧の患者さん(Aさん)です。
どうやら食生活はあまり良くないみたいです。
確かに血圧が高いので私は一通りの栄養指導と、運動指導、そして降圧薬を処方しました。
次の診察日、お薬の効きがイマイチでした。食生活も改善されていないみたいです・・・
私は、降圧薬を増量します。
次の診察日、やはりお薬の効きがイマイチで、食生活も改善されていません。
初めて診察してから1年以上過ぎた頃、私はようやく気が付きました。
Aさんは、奥様に先立たれ、また仕事も定年退職しており【社会的な孤独】状態にありました。
そういう状況ですから、健康に気を使う余裕もなく、食生活が乱れ、お薬も飲んだり飲まなかったりだったのです・・・
つまり、Aさんの病気の根源は【社会的な孤独】だったのです。
【4】人とのつながりは最高の健康法
病人を生み出す悪しき工場とその材料を見つけたので、みんなで工場を閉鎖しましょう!!
どうやったら閉鎖できるでしょうか?
一般的に言われている健康の社会的決定要因(工事の材料)をよ〜く見てみると、
キーワードはやはり“人と人とのつながり、コミュニティ”です。
ここで、人と人とのつながりがいかに健康によいかを示したいくつかのデータをお見せします。
①
長生きするには、様々なつながりを持つことは、禁煙することよりも効果があることを示しています。
②
社会とのつながりが希薄な人(孤独な人)は、つながりが多いひとに比べて死亡率が高いことを示しています。
③
健康のためには、週1回以上人と交流する必要があることを示しています。
④
少し、びっくりするデータですが、お見舞いに来てくれる人の数で、死亡率が違うというデータです。
このように、たくさんのコミュニティ(特に多世代・多種多様な人達で構成されている=ごちゃまぜコミュニティ)に所属している人の方が、健康的に長生きできることがわかってきました。
人とのつながりは、最高の健康法なのです!!
しかも、みなさんが住んでいる地域には実は、たくさんの面白いコミュニティがあるはずです。
とは言え、なかなか自分にあったコミュニティを自分で探したり、参加するのはハードルが高いですよね。
そこで、コミュニティを処方する=【社会的処方】という取り組みが最近注目されています。
【5】社会的処方とは
社会的処方とは?
先ほどのAさんの話に戻りましょう。
よく話を聞くと、この患者さんはサッカーが大好きで、今ではサッカーの試合をテレビで見るのが一番の楽しみだそうです。
そして、私の別の患者さんに93歳ながら少年サッカーの監督をやっている鉄人がいます。
その方が、この年なのでさすがに自分のアシスタントが欲しいと言っていたことを思い出し、Aさんを紹介し実際アシスタントになってもらいました。
その後、Aさんはお薬の飲み忘れが減り、食生活もかなり改善し血圧の値も随分よくなりました。
このように、お薬の処方箋だけでなく、少年サッカーの監督のアシスタントという“社会とのつながり”を処方する、つまりこれが社会的処方です。
他にも、ボランティア活動、ウォーキング、登山、スポーツ観戦、釣りなどのコミュニティを医師が紹介できたらどうでしょう?
Aさんのように、すでに病気の方だけではなく、今は健康な方も健康なうちにコミュニティに入ることで病気を予防できるかもしれません。
つまり、みなさんが持っている、知っている「まちの中のつながり」がだれかのお薬になります。
【6】サクラノキテラス プロジェクト 構想図
さて、この構想図の解説をしていきます。
このプロジェクトには4つの機能があります。
①探検・探索 ②工房 ③倉庫 ④医療
①探検・探索は健康屋台やSNS等を使って、街中に眠っている社会的処方のタネを探しに行く活動です。
また、健康屋台、Zoomでは地域の皆さんの健康相談にのったり、講演会を行います。
②工房(サクラノキテラス(大石内科中庭))では、集めた社会的処方のタネをもとにみんなで集まって楽しいイベントやワークショップを行い処方箋をつくります。
③倉庫(鷹匠カフェ(ギャラリー悠))では街中で見つけたつながりや、みんなで工房で作ったつながりをためておき、必要な人に適切な処方箋(つながり)をお渡しします。
④医療(大石内科)では、患者さんの健康の社会的決定要因を見つけ出し、医療行為だけではなく、社会的処方が必要な方たちを倉庫(鷹匠カフェ(ギャラリー悠))へ紹介します。
これらを4つの機能をつかって 地域のつながりを探したり、作ったり、そしてそれを保管しておき、必要な人に届けます。
そして、鷹匠を中心とした地域が住んでいるだけで健康になれるまちになればと思います。
コロナウイルス感染症の影響で、今できないこともたくさんありますが、できる範囲で、私達自身もみなさんとゆるくつながり、何よりも楽しく面白がりながら活動していけたらと思います。
・サクラノキテラス (工房)で何かやりたい方
・この活動に興味があって協力してくれる仲間
・街中の面白い情報持ってる方
などなど大募集中です。下記まで、連絡下さい。よろしくお願いします。
sakuranoki.terrace@gmail.com