寝袋あおむし
アウトドア好きな父は、夏になると家族みんなをキャンプに連れて行ってくれた。
十数年、毎年の恒例行事だったので思い出はたくさんある。その中で最も記憶に残っているのは、寝袋あおむしだ。
テントを建てて、その中で昼間から寝袋を広げる。その寝袋で寝るのではなく、頭からかぶって遊ぶのが私たち兄妹の楽しみだった。長身の兄が緑色の寝袋をかぶると、巨大な虫のようになる。そしてゲーム調の音楽を口ずさみながら、私と妹をテントの中でひたすら追い回す。ちょっとした恐怖と楽しさがはじけて、みんな汗だくだ。
そんなことを思い出したら、久々にまたキャンプをしたくなった。