【最終報告書】 6ヶ月で子育てと仕事の両立で困っているフリーランスを行動科学は救うことが出来たのか?
本記事は新しい働き方LABの自主企画の最終報告書となります。
企画の概要は上記のリンクからご確認ください。
はじめに
フリーランスという働き方を選択する人々は、収入や働く場所・時間を制限されない「自由な働き方」を模索する傾向にあります。
しかし、実態としては時間に追われ、家族と過ごす機会を失いがちであり、収入によって一喜一憂することもしばしば。
今回の企画では「人生の運転席に座る」をテーマに育児とフリーランスで揺れる参加者4名の「行動」を変えて
・家族と過ごす環境
・心
・仕事
に良い変化が起きるかを確認しました。
参加者の人生の運転席に座るサポートはできたのでしょうか。
さらに、今回の結果から、私自身の「人生の運転席に座る」について考察してみたいと思います。
実施結果
企画に参加したフリーランス4名へのアンケートから抜粋した内容を以下に記載します。
結果として、ご参加いただいた4名の育児フリーランスのライフスタイルと働き方に良好な変化が見受けられました。
起きた変化の評価
参加者に起きた変化は、実施期間終了後のアンケートを用いて評価を行いました。また、アンケートの質問事項は4項目としました。
1:あなたがこの企画に参加する前のワークライフバランスや働き方について、どのように感じていましたか?
2:企画に参加していかがでしたか?
3:目標と課題設定に対する評価
4:行動のアドバイスの評価
5:現状の変化について、気づきや感じることがあれば教えてください。
以上の質問から、参加前と参加後で参加者にどのような変化があったのかを分析します。
参加前と参加後の変化
以下は、質問1と質問5の回答を用いて、参加前と後を比較した内容を紹介します。
さきなさんの変化
参加前
参加前、私は個人事業を始めたいけど上手く集客ができず、周知認知してもらう機会さえ行動に悩み売り上げが出せずにいました。しかし母子家てでありながらフルパート勤務では子供達と関われる時間に制限がある事から抜け出したい想いもあり、ライフワークバランスに対して、どのように行動をしていくといいかが分からず立ち止まっていました。収入と時間の使い方に不安な感情を持っていて、子供達に強く当たってしまう時もあり、その不安感は人間関係にも影響していき孤独な環境になってしまっていました。
参加後
企画に参加後、思考が整理されて圧倒的に仕事の運営力が改善されました。私自信の生活バランスは仕事への不安感から、子供達との関わりにストレスが加わり良好ではなかったので、家庭内のストレスが減って皆んなが安心感を持てるようになってきています。自分だけでは生み出せない行動パターンやそのアプローチを知って、前進できている感覚がこれからを楽しみにさせてもらえています。
以下、参加者からのメッセージ(noteが無いため、テキストにて表示)
元々は子供達に笑顔で接する為にも関わる時間を長すぎないように学童へ預ける時間が多かったですが罪悪感がありました
仕事するだけじゃなく、療養もふくめた時間確保だったので休んでいる姿を見られるのも子供達に見せられないと言った感覚があったからです
櫻井さんのコーチングが入ってから"働き方"を知ることができて
1番理想だった放課後そのまま帰宅できる子供達との時間もありつつ、これまでよりも私1人でいる時間が少なくなったけども
程よいお仕事をする事ができています
働く時間、子供と関わる時間、家事をする時間、1人の女性として過ごす時間
以前よりも濃縮してそれぞれ有効な時間の使い方になっていると感じます
ここ数ヶ月ではバランスを取りながらの練習中ですが、この感覚をもっと正確に自分のものにして、母親でありながらフリーランスで働く。を将来も続けていきたいです🙇♀️
さとみさんの変化
参加前
仕事柄、自分の時間の使い方がコントロールできず、どんどん休めなくなっていました。自分がどれだけタスクを抱えているのかも明確でなく、こなす事で精一杯。それに加え、やる気が起こらないこともしょっちゅうで、初動が遅いこともありました。その原因が分からず、出来なかったことに目を向けがちになり、自己肯定感が低くなっていました。
参加後
意外と私は色々やってたんだなというのが大きな気づきでした。あとなんとかやろうとしちゃうというのも全く気づいていませんでした。それゆえに自分の首を絞めていたということも。今は前よりはオンオフがしっかりつけられて、不安に思いながら過ごしていた休む時間を楽しんで休めています。 また家族にも自分の状況を発信できるようになったので、コミニュケーションも増えました。
TAKAさんの変化
参加前
家族と一緒に過ごす時間をもっと持ちたい。自分がやりたいことに時間を使いたいというところで理想と現実とのギャップにフラストレーションを感じていた。
参加後
細かいストレスが激減しましたというか、ほぼなくなりました。 時間がない、いそがしいは思い込みだということにも気づけました。
MegHiraさんの変化
参加前
仕事に重きがあった時期に子どもが荒れたので仕事をセーブしてました。そろそろ仕事の割合を増やしたいなと思いながらも不安があり動けずにいました。
参加後
仕事も遊びもオンオフの切り替えの大事さを学びました。自分が今何に時間を使っているのか意識しながら行動するだけで、同じ行動・同じ時間数でも満足度が高くなり、自己評価が上がりました。自己評価が上がる事で心にもゆとりが出たように思います。また生活リズムも整いました。
参加者4名の共通した変化として、プログラム参加後、参加者たちは自身の多忙さや、やりたいことへの取り組み方に気づき、オンオフの切り替えや自己評価の向上を実感。仕事の運営力が向上し、家庭内のストレスも減少したと報告しています。
今回の取り組みの結果から、フリーランス本来の「自由さ」を生み出しつつ、家族や育児に関わる部分でも変化が見られる結果につながったことが確認されました。
6ヶ月で結果を生んだ3つの軸
以上で挙げた結果に繋げるために、今回用いた手法は3つです。
コーチング
行動科学「ABA」
時間を生み出す仕事術
それぞれに役割があり「時間を生み出す」という点で非常に重要な働きと意味がありました。それぞれ解説します。
軸1:コーチング
フリーランスは、個人プレーで目の前のタスクやお客様に対処しなければなりません。
実際にはその際、多くの判断に迫られます。
1.生活を支えるための収入
2.お客様の集客や業務成果
3.自分の人生への価値観や理想
こうした視点を日々天秤にかけながら、活動しています。
しかし、日常生活を営みながらタスクに追われお金の管理をする中で、自身の価値観と違った判断をすることもあります。
こうした課題をコーチングを通して
・人生の目的や目標
・自分の価値観
・理想の状態、最悪の状態
を把握し、判断基準とすることにしました。
軸2:行動科学ABA
ABA(応用行動分析学)は、人間を含む全ての動物の行動原理を研究する学問です。
そのユニークな視点は、心理を一切見ず行動に着目することで行動がなぜ「繰り返されるのか」また「繰り返されないのか」を追求します。
ABAでは、行動のきっかけ・行動・結果を分析することで、どのようなタイミングでどんな行動が出て、なぜ繰り返されるのかを科学的に分析し理解することができるので、参加者の目標達成に必要な行動を育て、必要でない悪習慣を減少させるという、今回の取り組みで、最も大きな軸となる技術です。
軸3:時間を生み出す仕事術
仕事術は
優先順位
目標設定と課題の分析
80:20の法則
こうした視点から、自身の手放すタスクを選び経営効率と質の高い業務を目指します。
以上の3つの視点から、参加者の価値観に合った行動変容のアドバイスと本来実現したかったフリーランスとしての姿を模索することを6ヶ月間行いました。
コーチングは月1〜2回とし、行動の相談は随時行いながら、必要に応じてタスク見直しや手放しなどを行うことで、時間を生み出します。
生み出した時間は、家族との時間・趣味の時間・仕事を成長させる時間に使っていただきました。
今後の課題
取り組みの中で、参加者4名にフリーランスとしての働き方や家族との時間に変化を生むことができたと同時に、課題も見つかりました。
課題1:リソース不足
今回の取り組みの大きな軸になった3つの軸は、独自のアプローチであり、多くのフリーランスをサポートするにはリソースが不足しています。
解決策として、ABAに精通した人材へのコーチング技術・仕事術を教育するプログラム構築が考えられます。
課題2:ヒアリング技術の向上
今回の取り組みの中で、ヒアリングの重要性が明白になりました。
ヒアリング1つで、サポートやアドバイスの方向性が大きく変化し、それによって成果を上げる時間が大きく変わってしまいました。
解決策として
ヒアリング技術向上を謳う書籍でのリスキリング技術向上
TAKAさんが主催する自主企画「営業カイギ」の活用
Youtubeなどの動画コンテンツ
を用いて、ヒアリングの品質向上を図りました。
最後に・考察
育児フリーランスに向けた行動変容での生活の質の改善を目的とした企画は、ひとまず満足のいく結果を生んだと考えています。
特に、フリーランスは行動力を持った人間の集まりとして、実施期間中でも自身の変化を生むために行動をし続ける姿を目にしました。
参加者への「自分の人生の運転席に座る」サポートは上手くいったんじゃないでしょうか。
しかし、フリーランスとして忙しさに追われてしまうと、人生の運転席を簡単に見失う結果に繋がることも感じました。
しかも、これが誰にでも起きてしまう。(怖いですね)
今回の軸として使った
コーチング×行動科学×仕事術の組み合わせは「人生の運転席に座る」という点においては、効果的なアプローチだったと思います。
考察:人生の運転席に座る
半年間、新しい働き方LABの研究員制度第3期の自主企画として、人生の運転席に座るをテーマに動きました。
私自身のバックボーンであり、今回の試みの軸になっているイルカの調教師だった過去を振り返ると、
自分の人生の運転席に座り続けることができなくなる瞬間がやってくることもある。
という実感がありました。(魚アレルギーで引退したしね)
でも待てよ。
視点を変えれば、運転席が変わっただけじゃないか?
やりようによっちゃ、運転席に座り続けることができるかも。
そして、現在に至ります。
ここまでに学んだことは、どんな形であれ、自分のコアになる部分(おそらくここが、私の人生の運転席であり、ハンドルになる)を握り続けるというのが、人生の運転席を見失わないことに繋がるということです。
これと同時に、フリーランスになりたてのときのことを思い出しました。
まさに自分のコアになる部分が揺らいで、見失ってた時を思い出すと、考えやサービス内容がブレて、人への関わり方も浅い状態だったと痛感。
自分の人生の運転席を見失って、周りにハンドルを握られている感覚です。
今回の試みに参加したことで、私自身の人生の運転席の輪郭や重み・手応えをさらに鮮明に感じる機会となりました。
「そうそう。この感じ。ここが自分の運転席だわ…」
という感覚。
この感覚を大切にしていきたい。多分、もう運転席は見失わない。
こちらをもって最終報告とさせていただきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
御礼
フリーランスという業態で成果を出しながら育児をする今回ご参加いただいた4名の方々には、貴重なお時間をいただき企画にご参加いただきました。
お忙しい中、お付き合いいただきありがとうございました。
また、貴重な機会を頂いた新しい働き方LABにも、同時に御礼申し上げます。